あえて“考えない時間”をつくる、AI研究者・今井翔太が実践する3つのリラックス方法

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    60 今井翔太|AI研究者

    各界で活躍する方々に、それぞれのオンとオフ、よい時間の過ごし方などについて聞く連載「My Relax Time」。第60回は、、ChatGPTの登場以降、生成AI分野で第一線の研究者として注目を集める今井翔太さんです

    写真:殿村誠士 構成:舩越由実

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    今井翔太●1994年、石川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻。2024年に博士課程を修了し、博士号を取得。AI研究の第一人者である松尾豊教授のもとでAI研究に従事する。著書に『生成AIで世界はこう変わる』(SBクリエイティブ)など。

    研究室に引きこもって研究する日々だったのですが、生成AIの書籍を上梓してから人前で話す機会が増えました。AIが影響する分野は多岐にわたるので、教育や金融、スポーツなどと絡めた質問を受けることもあるのですが、その分野に詳しくないので困ることもあります(笑)。でも、作家の九段理江さんと対談したときは嬉しかったですね。九段さんは芥川賞受賞作『東京都同情塔』の一部の執筆に生成AIを使ったことが話題になりました。生成AIを疑問視している人もいるなかで、生成AIによって芸術が死ぬわけではない、というお話を聞けたのはよかったです。僕が出した本では、AIに奪われやすい仕事と奪われにくい仕事についても書きました。僕のような研究者やアナリストは影響を受けやすく、人と接する仕事や体を使う仕事は代え難い。将棋は人間同士の戦いだから面白いように、人間だからこそ生み出せる価値はたくさんあると思っています。

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    最近、タイパ(タイムパフォーマンス)という言葉を知ったんですよ。休憩中に勉強をしたり、話題のドラマを倍速で視聴したりするんですよね。僕はオン・オフをはっきりさせるほうで、休むときは休みます。リラックスする方法は3つあって、ひとつめはイヤホンをしてなにも考えずに横になって動かないこと。そうして頭を空っぽにすると、ピカッと考えが思いつくことがあります。考えない時間を意識的につくることがいいみたいですね。ふたつめはひたすら歩くこと。10年前に東京に出てきてから、歩いた範囲は西は高尾山、東は千葉船橋、北は大宮、南は横浜を超えたあたり……最後に歩いた地点まで電車で行って、その範囲を広げたりしています。3つめがゲームです。高校生までは大会にも出ていて、あるゲームでは世界7位にまで到達したことがあるんですよ。今は世界レベルで戦うのは無理ですけど、空いた時間にやっています。いつかまた大会の場に戻りたいですね。

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    今まで所属していた研究室の仲間は休憩時間、コーヒーやエナジードリンクを飲んだり、たばこを吸ったりと思い思いに過ごしていました。僕はコーヒーをよく飲んでいて、缶コーヒーを1日5本も飲むことも。黒い血が流れていそうだと言われます(笑)。予備校時代には自動販売機のコーヒーをよく飲んでいたのですが、あるときその自販機が撤去されてしまいました。その味が忘れられず、ずっと探していたのですが、最近、コンビニで買ったコーヒーが同じ風味で感動しましたね。香りと記憶の関係は密接らしいですね。たばこは父が吸っていました。部屋やベランダでたばこを吸っていたのですが、僕にとってたばこの香りは、幼少期の記憶と深く結びついているのです。

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    生成AIで世界はこう変わる』今井翔太 著 SBクリエイティブ ¥990

    問い合わせ先/JT
    www.jti.co.jp