独自の世界観で魅了する、最注目の若手ミュージシャンCHO CO PA CO CHO CO QUIN QUINがこだわる音づくり

  • 写真:竹之内祐幸
  • 編集&文:井上倫子

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左からベースのYuta、サウンドエンジニアでDJのSo、作曲・映像担当のDaido。

「CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN(チョコパコチョコキンキン)」。不思議な名前のこのアーティスト、2021年に本格的に活動をはじめ、2年というキャリアでありながら、2023年7月に配信リリースしたファーストアルバム『tradition』がヒットし話題を呼んでいる。Spotifyが選ぶ2024年に躍進を期待する次世代アーティスト 「RADAR: Early Noise 2024」にも選出され、24年3月には楽曲「ワタツミ」がJR東日本「TOHOKU Relax」のCMソングに起用。いま注目の若手アーティストといえる存在だ。そんな彼らに、楽曲制作のプロセスと5月1日に配信リリースされたばかりのニューシングル「Correspondances」について訊いた。

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リアルな音にこだわり、その場の空気を閉じ込める

20240419_PEN_0064.jpgCHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN(チョコパコチョコキンキン)」ミュージシャン
小学4年生で結成するも、全員がギターだったため小学5年生で解散。その後Daidoが中南米音楽に傾倒し、キューバのハバナ大学に留学。2021年に再結成し、現在はパーカッションを軸にした電子音楽にフェイクのシャーマニズムを足した音楽を模索中。

――CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUINという名前、響きがとても面白い言葉ですが、どういう意味があるのでしょうか?

Daido:これはコンガのリズムを覚えるときの音の呼び名です。僕がキューバに留学している時にコンガのリズムを習ったのですが、先生が「チョ、コ、パ、コ」などと言いながら、それに対応した音を叩いて教わるんです。キューバから帰ってきてすぐに3人で活動を始めたので、キューバ気分のまま、このグループ名をつけました。

――そうだったのですね。リスナーとしては一度聞いたら忘れられない名前だと思います。 

Yuta:友人に「検索しづらい」って言われて、最初は失敗したなと思いましたが、結果的に色々な人に覚えられるインパクトがあるので、よかったかなと思っています。

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マンドリンを手にするYuta。

――楽曲を制作する際にはまずどこから始めますか?

Daido:まず僕が家で打ち込みで曲をつくるところから始めます。楽曲が形になったところで、実際に3人で集まって、打ち込みで入れた音を生の楽器に置き換えていったり、新しいアイデアを追加していったりします。 

――デジタルだけで音楽をつくることも可能だと思うのですが、やはりリアルで演奏することを大切にされていますか? 

Daido:CHO CO PAのコンセプトが、土着的でパーカッシブな音と整頓された電子音を融合させるところにあるので、3人で集まって生音を入れていく時に、どこまで電子音を残すかというバランスを考えていくことを大切にしています。

So:それは大事だよね。僕はサウンドエンジニアですが、パソコンでつくった音だけだと、キレイで整頓され過ぎてしまうようにも思います。 

――先日リリースされた『日本全国酒飲み音頭 -集音歌詞ver-』では、カエルの鳴き声やコップの音など周囲の音を録音し楽曲に取り入れていますよね。TikTokでバズった、クルマで録音している動画でも、周囲の音が入っていますし。

Daido:TikTokの動画は、タント(クルマ)で録音したからこその音になっているんです。タントの“鳴り”がCHO CO PAの音になっていると思います。

So:通り過ぎるクルマの音とか、誰かの足音や笑い声もなども消さずにそのまま使っています。そうすることで、その場の雰囲気を閉じ込めた、音の生々しさにつながっていたらいいなと思っています。

@cho_co_pa 都内の路上にて曲を作る #music #originalsong #songwritersoftiktok #オリジナル曲 ♬ オリジナル楽曲 - Cho Co Pa
TikTok - @cho_co_pa

――たしかにCHO CO PAの音楽を聴いていると、みなさんが楽しんでいる空気感が伝わってきます。歌詞はどのタイミングでつくりますか?

Daido:曲がある程度出来上がってからつくることが多いです。詩に強いメッセージがあるというよりも、言葉のもつ音の面白さを重視していて、曲が持つ雰囲気を支えられるようなものになったらいいなと思ってます。

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ペットボトルのキャップを集めたものや、ベリーダンサーが腰に巻くヒップスカーフなど、さまざまなものを楽器として使用。

――ライブを拝見しましたが、見慣れない楽器もありました。楽器に対してはどのように考えていますか?

Daido:楽器はみんな大好きなので、ついつい手に入れて使いたくなってしまいます。僕はスティールパンの音が大好きで、2年くらい悩んだ末にみんなで渋谷の楽器屋に行って最近購入しました。スティールパン発祥のトリニダード・トバゴでは、スティールパンが叩ければ現地のチームに混ざって、街を練り歩くカーニバルに参加させてもらえるらしくて、いつか3人で行きたいと思っています。

So:僕は最近、ディジュリドゥという楽器をアボリジニの方からいただいて、たまに家で1人で吹いていますね。 

Yuta:今はプロフェット(シンセサイザー)が気になっています。人が演奏しているのを見て、低音がかなりいいなと思っていて。いつかは欲しいなと思っています。

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「さまざまな音を組み合わせ、調和させる。それが面白い」

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サウンドエンジニアでDJのSoは新作のジャケットも制作した。

――新しいシングル「Correspondances(コレスポンダンス)」は、どんな意味の言葉なのでしょうか?

Daido:人の五感や人の体が、動植物や宇宙・大地などと調和してつながるというような意味で、中世の時代の人間にはあったその失われた感覚を、モダンで取り戻そうとする、という文脈で出てくる単語です。嘘くさい話ですが、そういった時代の感覚を妄想して今回のシングルをつくりました。

So:今回のシングル全楽曲では、シンセサイザーでつくった動物の声が入っていて、さらにそれを本当の動物の鳴き声と混ぜて使っています。音色に関しても、曲を跨いで同じものを使っていたり、タイトルのように境をグラデーションにした形になっていると思います。

Daido:自然の音をデジタルでつくるという反対のアプローチをしています。デジタルの音と自然の音のような、対極にあるもののバランスを考えながら使うことは、CHO CO PAの曲を作る上で唯一意識してきたところだったので、タイトルにもそういった意味を込めました。

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奄美大島の自然を描いた田中一村。東京美術学校の同期には、東山魁夷などもいたが退学し独学で画家になった。 田中一村 『アダンの海辺』 昭和44年(1969年)絹本着色 個人蔵©2024 Hiroshi Niiyama
『田中一村展 奄美の光 魂の絵画』 は2024年9月19日(木)〜12月1日(日)まで東京都美術館で開催。詳しくは https://isson2024.exhn.jp

――収録曲「アダンの海辺」は田中一村の絵画から制作されたそうですが、なぜこの絵から楽曲をつくることにしたのですか?

Daido:昨年ライブで奄美大島を訪れ、素敵な人や景色との出会いがありました。そこで奄美で活躍した画家の田中一村さんの「アダンの海辺」の絵も知って。絵画と、奄美で感じたインスピレーションから楽曲を制作しました。今年9月から東京都美術館で田中一村さんの展覧会が開催されるので、とても楽しみにしています。

Yuta:この絵は、熱帯特有の湿っぽさや奄美らしい“どんより”とした空が描かれていて、実際に訪れた雰囲気と同じものを感じましたね。

――「Correspondances」のジャケットは、煙突が描かれていたりと、自然豊かな奄美大島のイメージとは異なる印象ですね。

So:これは僕が描いたのですが、実際に奄美大島にこの火力発電所があって、みんなでご飯を食べに向かっている途中で見た煙突を描き下ろしました。奥にある山肌は奄美の伝統的な模様である龍郷柄をモチーフにしています。後から知ったのですが、偶然にも火力発電所はその龍郷発電所というところでした。

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「この3人ならではの音を、追求していきたい」

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3人のほかにサポートメンバーもライブや収録に参加している。

――これから挑戦してみたいことはありますか?

So:普段、僕たち以外のメンバーも含めて大所帯でライブをしているのですが、3人だけのライブをやっていきたいですね。実はいままでも、3人セットでのライブや収録が何回かあって、そこで3人での演奏スタイルの可能性も感じました。今年はこのセットでのイベントのお誘いもいくつかいただいていて、大所帯でのライブと並行しながら、形にしていきたいと思ってます。

ファーストアルバム『tradition(トラディション)』

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パーカッションを中心としたエレクトロ・ミュージックをベースに、ラテン・カリブ・ブラジル・アフリカ・インド・沖縄...主に南国の地域の文化を感じさせる。とくに収録曲「空とぶ東京」がヒット。

最新シングル「Correspondances」

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収録曲となる「アダンの海辺」、今作のタイトルトラック「Correspondances」や、「声を聞かせて」をなど収録した合計3曲入りのデジタルシングル。シンセサイザーで奏でられる鳥や動物の声がちりばめられている