奇跡の復活! 昏睡状態から目覚めた男性、ロンドンマラソン完走

  • 文:山川真智子

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2020年、留学中に事故で昏睡状態となり、目覚めた後は話すことも歩くこともできなくなっていた男性が、懸命のリハビリを経て社会復帰。3年前に出場するはずだったロンドンマラソンに今年挑戦することを宣言し、見事完走した。目標達成で、チャリティへの寄付にも貢献している。

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頭から転落 異国の地で昏睡状態に

英ミラー紙によれば、この男性はイギリス人のコナー・ブランデルさん。現在25歳で、ヨークシャー州シェフィールドで環境コンサルタントとして働いている。

2020年、ブリストル大学の学生だったブランデルさんは、1年間の予定でスペインのバレンシアに留学した。その年の10月のある夜、友人たちと外出した際に公園の展望台から転落。頭から4メートル落下して意識を失い、現地の病院に搬送されたが、昏睡状態に陥った。

事故から3週間半後、幸いにもブランデルさんは昏睡状態から脱した。しかし本人によれば、しっかり意識が回復したわけではなく、徐々にゆっくりと覚醒していく感じだったそうだ。目を開けることができるときは、一応起きているような状態だったが、1か月ぐらいの間、言葉を話すことができなかったという。目覚めてからの数週間のことはなにも覚えておらず、記憶しているのは翌月以降に起こったことだと述べている。また、意識は戻っても、歩くことができなくなっていた。

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家族も献身! リハビリに専念し回復へ

スペインでリハビリが必要だったブランデルさんのために、姉は1年間のサバティカル(職務を離れた長期有給休暇)を取り、両親も休職してスペインに渡航。家族一丸となって、献身的にブランデルさんの回復のためのサポートしてくれたという。

ブランデルさんは4か月間、歩行や発話などのリハビリに取り組み、歩行器を使用して歩けるまでに回復。退院後もスペインで通院しながらリハビリに励み、2021年の5月にイギリスに帰国した。帰国後も運動能力、認知力、発話の向上のため、継続的に治療を受け、走れるまでに回復している。

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事故後の目標だった ロンドンマラソンを完走!

ブランデルさんはもともと走ることが大好きで、事故の前にはマンチェスターマラソンで3時間を切るタイムで完走し、ロンドンマラソン出場の資格を得ていたそうだ。事故でその時の出場機会は逃したが、リハビリを続けながら、たとえ10年後になってもまたいつかマラソンに挑戦しようと決めていたという。

そして今年の4月21日、ブランデルさんはついにロンドンマラソンに父親とともに出場。タイムは5時間8分と、マンチェスターの記録よりは2時間以上遅れてしまったが、見事完走を果たした。

病院に運ばれたときは、死ぬ確率が3分の1、永遠に昏睡状態から抜け出せない確率が3分の1と言われていたブランデルさんは、今生きていることに幸せを感じているという。

家族のサポートのみならず、これまで当たり前と思ってきた恵まれた自分の環境にも感謝しており、ロンドンマラソン出場に当たり、チャリティへのファンドレイジングも行ってきた。ホームレスやきれいな水を手に入れることができない人々への支援を行う団体のために、約8000ポンド(約150万円)の寄付金を集めており、結果に100%ハッピーだと自身のインスタグラムでコメントしている。

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ブランデルさんの回復までの長い道のりをまとめた映像。

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大学への復学も果たしており、昨年無事卒業した。

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ロンドンマラソン完走を報告するインスタグラムの投稿。マンチェスターマラソンと比較して4年間の変化を振り返っている。