東京都渋谷区が2017 年に発足した、災害時の一時退避場所と避難経路に“アート”で知らせる「シブヤ・アロープロジェクト」。第2弾として、日本を代表する写真家、森山大道の写真作品が公開された。
同プロジェクトは、首都直下地震などの大災害発生時における帰宅困難者対策として始まったもの。外国人を含め街を訪れる人が増加する渋谷区では、約23万人の帰宅困難者が発生すると見込まており、一時的に退避できる安全な場所として「一時退避場所」が定められている。そんな一時退避場所の位置を“アート”で指し示すことで、見る者の意識に残るようにしたのだ。現在も渋谷架道橋下や渋谷マークシティ連絡通路など、街のさまざまな場所に一時避難場所を知らせるアートの“矢印”が存在し、「あの作品・この壁画がそうだったのか」と思う人もいるのではないだろうか。
2024年にブランディングを新たにリニューアルを行い、第1弾では現代アーティスト、バリー・マッギーによる大型壁画を公開した。第2弾となる森山は、モノクロのストリートスナップで知られ、国際的に認知される数少ない日本人写真家のひとり。オーエーエムシーやシュプリームなどのファッションブランドとコラボするなど、アートファンだけでなく多くのファンを魅了している。
本作品は1988年にパリで撮影された空に浮かぶ巨大なクジラのバルーンの写真。幅9メートルという大きさで一度見たら忘れられないインパクトと存在感を放ち、現在、渋谷消防署横の建物の壁面に公開されている。最寄りの一時退避場所は明治神宮・代々木公園一帯で、公式ウェブサイトのマップにも記載されている。この取り組みを機に、ぜひ近くの一時退避場所を確認して、災害に備えてほしい。