「ごみの寄せ集め?」 米州立公園に設置された彫像がハイカーから大不評

  • 文:山川真智子

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アメリカの州立公園にお目見えしたいくつかの彫像が、物議を醸している。像は地元が芸術家に制作活動を提供するプログラムの一環として設置された芸術作品だが、周りの雰囲気とは全く調和しておらず、「なぜここに?」と訪れる人々も首をかしげているという。あまりの「これじゃない」感に、設置中止を求める嘆願活動が起きている。

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利用者困惑 場にそぐわないアート

テレビ局、KATVによれば、話題の彫像が置かれているのは、アーカンソー州ピナクル・マウンテン州立公園だ。森の中でハイキングやマウンテンバイクなどさまざまなアドベンチャーを楽しむことができ、多くの訪問者で賑わっている。

彫像は、州内外の芸術家を受け入れ、その活動を支援する『アーティスト・イン・レジデンス』というプログラムの一環で、昨年設置された。“マッシュルーム”と呼ばれるずんぐりした像や、“結晶化した涙”と名付けられた一見災害ゴミのような抽象的な作品が、公園内のトレイル周辺に置かれている。

像を見た人たちからは、「何なのか分からない。何かの塊?」「ごみの寄せ集めのよう」といった戸惑いの声が出た。一部のハイカーたちからも温かく迎えられておらず、人の手が加わらない自然の中に逃避するというハイキングの典型的目的から外れており、あまりにも場違いだという苦情が出ているという。

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設置中止を嘆願 賛同続々

彫像の否定できないインパクトに危機感を持ち、公園内にこれ以上のアート作品の設置を中止することを求めて、嘆願活動を始めた人もいる。ジョシュア・ハミルトンさんが作成したChange.orgの嘆願書には、これまでに3000人以上の署名が集まった。

ハミルトンさんは、アーカンソー州立公園にメールを送付して連絡を取ろうと試みたが、いまのところ返事はないと話している。嘆願活動を始めた理由は、州立公園に来る大多数の人々は自然を楽しむために来ているのであり、彫像に賛成しているわけではないことを、公園側に分かってもらいたいからだとしている。

KATVの取材に対し、アーカンソー州公園遺産観光局は、像の設置には税金は一切使われておらず、民間の寄付で行われたと弁明している。

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設置自体はいいアイデア? 見たくなる作品を

もっとも、すべての人がアート作品の設置を非難しているわけではない。州都リトルロックにある自転車店の店主でマウンテンバイクに乗るマット・シーリングさんは、わざわざ行って見たくなるようなかっこいい作品であれば、森の中にアートを置くことは素晴らしいアイデアだと思うとしている。

今後公園内には、『アーティスト・イン・レジデンス』プログラムの一環で、少なくとももう一つの彫刻が設置される予定だという。誰もが足を止めたくなるような作品の登場を期待したい。

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マッシュルームと呼ばれる像。

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色、形もさまざまなマッシュルーム。

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ニュース映像。

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雄大な自然に囲まれたピナクル・マウンテン州立公園。