野村佐紀子が希少な「コロタイププリント」を受け継ぐ工房と職人を写し撮る。写真展「承前啓後」を開催

  • 文:上村真徹

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明治20年創業の美術印刷・出版会社の京都便利堂では、写真草創期の19世紀に生まれた古典印画技法「コロタイプ」を100年以上にわたって現在も継承し、普及と活用に努めている。その伝承の場である便利堂コロタイプ工房の開設120年を記念し、工房に隣接する便利堂コロタイプギャラリーにて、4月1日から写真家の野村佐紀子による写真展「承前啓後」を開催する。

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本展では、1世紀以上にわたる伝統を受け継いだ現在の工房の風景と14人の職人の姿を野村が写し撮り、職人がコロタイププリントで仕上げた作品を展示。その数は、約50点の撮り下ろし作品を中心に総計70点を超えるという、かつてない規模の展覧会となる。

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写真展に付けられた「承前啓後」とは、過去から引き継ぎ、そして未来へ受け渡すこと。職人から職人へと受け継がれた技術。生と死の繰り返しの中で紡ぎ続けられた命。先達たちを偲ぶとともに、これからもこの技術を伝え続けるという思いを、墓前の供花に託している。咲いては枯れ、種子となってまた新たな生命を芽吹く花。工房で働く一人ひとりの職人。使い続けられてきた工房の道具たち。それらが共鳴する作品世界を体験したい。

また、4月27日(土)にはスペシャルワークショップも開催。野村佐紀子とコロタイプマイスターの山本さんとともに、コロタイプ写真集の制作体験ができるということ。この機会にぜひ参加してみてほしい。

便利堂コロタイプギャラリー〈春季〉企画展示
工房開設120年記念 野村佐紀子写真展《承前啓後》

開催期間:4/1~6/8
会場:便利堂コロタイプギャラリー(京都府京都市中京区新町通竹屋町下ル弁財天町302番地)
開館時間:10時~12時/13時~17時(4/14~5/12を除く日・祝日は休廊)
料金:入場料無料

スペシャルワークショップ

開催日:4/27 13時〜17時
会場:便利堂コロタイプアカデミー(便利堂内)
募集人数:10名
料金:¥22000