ヴァシュロン・コンスタンタンからIWCまで、グリーンダイヤル×ゴールドケースの腕時計3選

  • 写真:渡邉宏基(LATERNE)
  • 文:並木浩一

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1.VACHERON CONSTANTIN(ヴァシュロン・コンスタンタン)
トラディショナル・マニュアルワインディング

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手巻き、18KRGケース、ケース径38㎜、パワーリザーブ約65時間、シースルーバック、アリゲーターストラップ、3気圧防水。¥3,388,000/ヴァシュロン・コンスタンタン TEL:0120-63-1755

ケース厚が7.77 ㎜のスリムな定番モデルをグリーンでアレンジし、これまでにない華やかなドレスウォッチに仕上げた。レイルウェイミニッツトラックやスモールセコンドといったクラシックな意匠を携えた「トラディショナル」コレクションも、ゴールドケースとディープグリーンを纏うことで、表情は一変。サンレイ加工が光を絶妙な緑のフレアで反照する。

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2.PIAGET(ピアジェ)
ピアジェ ポロ デイト ウォッチ

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自動巻き、18KPGケース、ケース径42㎜、パワーリザーブ約50時間、シースルーバック、アリゲーターストラップ、10気圧防水。¥4,334,000/ピアジェ コンタクトセンター TEL:0120-73-1874

クッション型シェイプが特徴的なスポーティな「ポロ」を、ピンクゴールド製のボディと水平のギョーシェ模様を施したエメラルドグリーン文字盤でエレガントに彩った。世界的ジュエラーでもあるピアジェにとって、貴金属づかいは伝統あるお家芸のひとつだ。極薄の自社製ムーブメント「1110P」により、スポーツウォッチでも9.4㎜の薄さにケースを仕上げた。

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3.IWC(アイ・ダブリュー・シー)
パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41

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自動巻き、18KRGケース、ケース径41㎜、パワーリザーブ約46時間、シースルーバック、ラバーストラップ、10気圧防水。¥3,322,000/IWC TEL:0120-05-1868

パイロットウォッチでグリーン文字盤の先駆者ともいえるのがIWC。シンプルな3針からパーペチュアルカレンダー搭載モデルまで豊富なバリエーションを揃えるが、その中で唯一レッドゴールド製ケースを纏うのが、こちらのクロノグラフだ。質実剛健な武骨さの中にラグジュアリーな華やかさが同居する。ストラップは簡単に交換できる「EasX-CHANGE」システムを採用。

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グリーンが腕時計の最新の流行色ということに異論を唱える人は少ないだろう。白と黒の定番2色に加えて、近年はノーブルにもカジュアルにも映えるブルーのバリエーションの展開が広がりを見せていた。そしてその後に続いたグリーンは一時のトレンドにとどまらず、まだまだ大きな可能性を秘めている。特に注目の芽が、グリーンとゴールドの組み合わせだ。

言うまでもなく、ケースにゴールドの素材を採用すると価格は高くなる。投資に興味がある人なら先刻ご承知だろうが、貴金属としての金価格は上昇を続け、現在1グラム1万円近辺の高値圏。プラチナに2倍の差をつけ、シルバーの80 倍以上の“超プレシャス”なマテリアルとなった。ゴールドを素材に用いた腕時計は、それだけでラグジュアリー感を演出する。

そんな艶やかな煌めきを有する素材にグリーンのカラーリングを組み合わせると、不思議なケミストリーを起こす。ストラップも同色に合わせることで、目を惹くカラフルさやゴールド特有の華やかさは残しながらも、どこか落ち着いた印象を醸し出す。そう、これみよがしな“ギラギラ感”が払拭されるのだ。グリーンとひと口に言っても、深みのあるオリーブからエメラルドグリーンまで多種多様。デザインも、スモールセコンドやレイルウェイミニッツトラックを備えた王道のドレスウォッチから、スポーツウォッチやパイロットウォッチまで多彩な選択肢が増えてきている。手元の印象を一変させるコンビゆえに、自分に合った一本を選んでほしい。

並木浩一

1961年、神奈川県生まれ。時計ジャーナリスト。雑誌編集長など歴任し、2012年より桐蔭横浜大学の教授に。新著に『ロレックスが買えない。』。

※この記事はPen 2024年4月号より再編集した記事です。