九十九里浜のビーチ近くで、光と風を感じる“第二の家”【今月の建築ARCHITECTURE FILE #18】

  • 文:佐藤季代

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海岸から徒歩約5分の場所に位置する。屋外にシャワーも完備されるなどサーファー仕様になっている。植栽はヤードワークスが担当。

八ヶ岳や那須、山中湖など自然豊かな別荘地に立つキャビンに滞在できる月額制宿泊サービス、サヌ セカンドホーム。2023年11月に、海沿いでは初となる「一宮ファースト」が誕生した。

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雁行型にすることで各部屋に光と風を取り入れている。外壁に用いた山武杉は調達から加工まで千葉県内で行い、地産地消を実現した。

場所は千葉県の九十九里浜南端に位置し、サーファーの聖地として知られる一宮町。山小屋のような従来モデルと異なるメゾネットタイプのアパートメントで、カフェやコワーキングスペースが入る商業棟も併設。地域に開かれた海辺の新しい拠点となっている。

設計は建築家の加藤匡毅率いるパドルが担当。海へ向かって開くように、広場のような庭を境にしてふたつの棟をシンメトリーに配置。商業棟を含めた全10戸が45度の角度をつけて緩やかにつながる雁行型の建築を提案した。外壁には千葉県産の山武杉を活用し、ランドスケープにも地元の植栽を積極的に取り入れるなど、自然環境にも配慮されている。

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天井高約5mの開放的なメゾネットの室内は、62㎡ほどのゆったりとした広さ。1階のLDKからは、プライベートテラス越しに緑が眺められる。

吹き抜けのある広々とした客室は、樹木に囲まれたプライベートテラスも完備され、ビーチサイドらしい開放感が漂う。経年変化を意識した木の温もりを感じられるインテリアとともに、ゆったりと過ごすことができる。

この一宮ファーストに続いて、年内には全国各地に新たな拠点が続々と完成予定。これまで以上に自然とともにある暮らしを楽しめそうだ。

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2階の寝室には窓面にワークスペースを完備。ダブル1台、シングル2台のベッドがあり、最大4名まで宿泊可。ペット同伴可能な部屋もある。

 

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宿泊者以外も利用できる商業棟には、1階にベーカリーカフェ「オーバービューコーヒーイチノミヤ」と2階にコワーキングスペースが入る。

パドル

住所:千葉県長生郡一宮町一宮10147 
TEL:050-1807-2687
料金:全9室¥55,000~(月額制)
※料金の詳細は公式サイトにて
http://2ndhome.sa-nu.com
【設計者】パドル
建築家・加藤匡毅(まさき)率いる建築・空間設計事務所。15を超える国と地域においてカフェやホテルの空間設計、家具や音響プロダクトの開発などを通し、居心地のよい空間をつくり、高評価を得ている。

※この記事はPen 2024年4月号より再編集した記事です。