腕時計の本質を追い求めたパルミジャーニ・フルリエ「トンダ PF」から、大地を表現する新色が登場【ウォッチズ&ワンダーズ2024速報】

  • 文:並木浩一

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パルミジャーニ・フルリエの「トンダ PF マイクロローター」コレクションに、最新モデルが登場した。秒針もなく、ノーデイトのシンプルを極めたスタイル。初登場した2021年9月以来、不必要なものすべてを取り除いて本質のみを生かしてきたコレクションの真骨頂ともいえる新作だ。そのデザインは偶然に委ねることなく、常にフォルムと機能の調和を考慮して設計され、まるで建築のような造形美をみせる。

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トンダ PF マイクロローター/自動巻き、SSケース&ブレスレット、ケース径40㎜、パワーリザーブ約48時間、シースルーバック、100m防水。3,707,000円

一方でダイヤルの新色、繊細さを極めた手彫りギョーシェ、プラチナ950製のマイクロローターを搭載した自動巻きムーブメントと、華やかさも満載だ。パルミジャーニ・フルリエらしい奥ゆかしさとエレガンスが同居する絶対的な美観が、このモデルを貫いているのである。 

由緒正しき新カラーの“ゴールデン・シエナ”

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新色のゴールデン・シエナ文字盤には手彫りギョーシェによるバーリーコーン(麦の穂、フランス語の「グレン・ドルジュ」に相当)のモチーフが施されている。ベゼルはプラチナ。

新作のダイヤルカラーは“ゴールデン・シエナ”。古代から愛されてきた色であり、イタリア・トスカーナ地方の古都シエナに由来する由緒正しいカラーだ。シエナ産の土を材料とするレンガづくりの建築群が太陽を照り返す美しい色の記憶を、ダイヤルに留めた。縞状のモアレ効果を持つ独特の色合いは、他にはない大地の微妙なニュアンスと自然を表現する。

そのカラーの上に展開されるのが、メゾンのシグネチャーモチーフでもある“バーリーコーン”の精巧なギョーシェである。麦の穂を意味するその名の通り、麦畑の光景を描いたような小さなパターンの連続が、繊細なテクスチャーを織りなしていく。デイト表示すらないスペース全面に大胆な展開をみせる文字盤のダイナミズムは、他には見られないものだ。モチーフ自体は高級腕時計の伝統を踏まえたものでありながら、クラシシズムの中に絶妙な現代的解釈をみせる。端正なケースからブレスレットへのラインには、プラチナ950製のローレット加工ベゼルの刻みがリズムを添える。

一方で、サファイアクリスタル製のシースルーバックからのぞくムーブメントも、端正な表側の外見と拮抗する大きな魅力である。装着した状態でわずか7.8mmのスリムなスタイルを実現する秘密のカギでもあるのは、厚さ3.07mmの「キャリバーPF703」だ。

パルミジャーニ・フルリエはこの自動巻きムーブメントの動力源に、ムーブメントを覆うのではなく一体的に埋め込まれたマイクロローターを採用した。小型ながら比重の大きいプラチナ950製の回転錘が確実にメインスプリングを巻き上げ、約48時間のパワーリザーブを担保する。コート・ド・ジュネーブ、ペルラージュなどの仕上げを駆使したムーブメント自身も、また美しい。

美意識と技術、繊細さと精密。両極にある概念がそれぞれを支え合う姿が、パルミジャーニ・フルリエの円熟した魅力をそのまま表現する。「トンダ PF マイクロローター」はそうしたモデルである。

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マイクロローター採用のムーブメントを搭載し、腕時計本体の厚みはわずか7.8mm。ケースからブレスレットへの連続性が美しいラインを描き、表面の仕上げも申し分ない。

 

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マイクロローターは通常の半月型ローターと異なり、視界を遮ることがない。美しいシルエットを描くムーブメント「キャリバーPF703」は、それ自体が美意識の塊だ。

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「ウォッチズ&ワンダーズ2024」現地の様子をお届け!

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パルミジャーニ・フルリエ

eメール:pfd. japan@parmigiani.com