漫画家、鳥山明さんを世界のファンが追悼…アルゼンチンでは大合唱、メキシコでは元気玉をシェア

  • 文:山川真智子

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Aisyaqilumaranas-Shutterstock ※画像はイメージです

漫画家の鳥山明さんが、3月1日に亡くなったと所属する事務所から発表された。鳥山さんは、1978年に漫画家としてデビュー。『Dr.スランプ』で人気漫画家の仲間入りを果たしたが、1884年に連載を開始した『ドラゴンボール』が世界的大ヒットとなり、各国で熱烈なファンを獲得した。訃報を聞いた海外ファンたちは、日本の漫画の素晴らしさを教えてくれた鳥山さんを追悼し、愛溢れるメッセージを送っている。

ワールドクラスの人気…各国で訃報が報じられる

ドラゴンボールは、単行本の累計発行部数が世界で2億6000万部を超える大人気作品。アニメ化もされており、これまで80以上の国と地域で放送されている。海外では日本の漫画を代表する作品の一つとして知られており、鳥山さんの訃報に、各国の大使館などが続々と追悼のメッセージを出した。

世界の大手メディアも、鳥山さん逝去のニュースを大きく取り上げた。ワシントン・ポスト紙は、鳥山さんこそが世界に日本の漫画とアニメを持ち込み、それまで存在した世界の壁を破った日本人アーティストだと紹介している。

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心に響くメッセージが海外でも伝わる 

アメリカで、アニメ『ドラゴンボールZ』 が初めて放映されたのは、1996年。ワシントン・ポスト紙は、日本以外の人々にとっては、初めての少年漫画体験だったと説明する。そのころのアメリカには、ドラゴンボールのような何話にもわたりゆっくりストーリーを語るアニメ番組はなく、Netflixが流行る数十年も前に、ミレニアル世代の若者を連続モノに馴染ませたとした。

当時は、暴力的な日本のアニメが小さな子供たちに悪影響を与えると批判したメディアもあったが、ドラゴンボールを見て育った世代の経験は逆だったようだ。オンラインメディア、エスケーピストの編集長、リアム・ノーラン氏は、悩める子供時代にドラゴンボールに出会ったという。正しい理由のために自分の内なる力を受け入れるという主人公悟空のメッセージは、大人になりかけている自分に響くものがあったと説明。世の中のあらゆる嫌なことに直面したとき、重要なのは粘りと勇気だということを教えてもらったとしている。

イギリスでも、アニメのドラゴンボールは何度も放映されており、非常に人気が高い。BBCのインタビューに答えた人たちからは、「作品はまさに自分の子供時代そのもの。苦難を乗り越えいい人間になろうと思わせてくれた」「いじめに耐えられた」「小中学校時代の孤独を乗り越えさせてくれた」など、悪影響とは真逆のポジティブなコメントが聞かれた。

ワシントン・ポスト紙によれば、修行や自己啓発などもストーリーに盛り込まれており、ドラゴンボールをインスピレーションの源としてあげるアスリートも多いという。

「悟空はヒーロー」ラテンアメリカでも惜しむ声

世界中で愛されるドラゴンボールだが、とりわけ人気が高かったのがラテンアメリカで、悟空は長い間、一種の民間ヒーローとみなされてきたとワシントン・ポスト紙は述べる。ラテンアメリカ諸国では、日本のテレビ番組が安価だったこともあり、たくさん放送されていたという。

アルゼンチンのブエノスアイレスでは、数千人のファンが集結して大合唱で鳥山さんを追悼。メキシコシティでは、ドラゴンボールの技の一つ、元気玉をシェアするイベントも行われた。エルサルバドルでは、アニメ界に貢献した少年漫画家を称えるため、国家として喪に服すことを宣言している。

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ブエノスアイレスでファンが集結する様子。

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メキシコシティでの元気玉イベント。

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フランス、マクロン大統領の投稿。

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タイ大使館の投稿。

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ドラゴンボールが暴力的だとした1999年のウォール・ストリート・ジャーナル紙。

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サッカーACミランも追悼。

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エルサルバドル政府が国家として喪に服すことを発表。