“二重に絡み合う”観覧車!惑星にヒントを得た斬新デザインの新名所、ソウルに誕生へ

  • 文:青葉やまと

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unstudio_architecture-Instagram

ソウルで来年、世界最大のスポークレス観覧車「ソウル・ツイン・アイ」が着工する。2重のリングが交差するユニークなデザインに約1400人を一度に収容し、イギリスのロンドン・アイのおよそ2倍の規模となる。デザインは惑星が軌道を運行するようすに着想を得たという。

観覧車は高さ約40mの複合商業施設の上に設けられ、頂上部の高さは約220mに達する。ロンドン・アイの高さ135mと比較して1.5倍以上の規模だ。

また、リングの中心軸から放射状に延びるスポークを省き、中空のデザインとした。リングの内周および外周にレールを設け、ゴンドラが走行する。こうしたスポークレス・タイプの観覧車としては、世界最大の観覧車となる。2025年に着工し、完成は2028年の予定だ。

2つのリングの内外を走行

建築情報サイトのアーキ・デイリーによると、2つのリングの1方は内側、他方は外側に軌道を有する。ゴンドラは軌道を走行しながら自転し、内部の水平を保つ。

 全体で64台のゴンドラを備え、それぞれが最大20〜25人を収容できる。同時に1400人以上が乗車可能だ。観覧車が入居する複合施設にはこのほか、展示スペース、公演ホール、小売店、飲食店が入る予定だ。さらに、近くの地下鉄駅と観覧車を結ぶモノレールやジップラインの計画がある。

米FOXニュースの在ワシントン州地方局は、「世界最大のスポークレス観覧車が韓国に建設される予定」だと紹介。UNスタジオの創設者であり主任建築家であるベン・ヴァン・ベルケル氏は、「韓国の限りない革新への野心と進歩の精神を反映しており、最先端のテクノロジーと、安定性と美に対する時代を超えた評価がシームレスに融合している」と自信を覗かせる。

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ワールドカップ公園の新名所に

この観覧車は、ソウルの都心にありながら緑豊かな憩いの場となっている、上岩(サンアム)ワールドカップ公園の河川敷に建設される。ソウルでは、ハンガン(漢江)沿いに1000箇所の公共アトラクションを作る大規模な取り組みが進められており、本プロジェクトもその一環だ。

リングはどちらも垂直に近いが互いにわずかに角度がつけられており、まるで惑星の軌道が交差するように交差する。2つの観覧車を1つの場所に重ねたような印象であり、あるいは大きな指輪が地に降り立ったかのようでもある。

設計はオランダの著名建築事務所であるUNスタジオが手掛け、国際エンジニアリング企業のアラップ、および韓国のヒリム総合建築士事務所とのコラボレーションで進められている。

惑星にヒントを得たデザイン、世界で話題に

観覧車は早くも世界で話題だ。英サン紙は「驚異的な」高さであり、「ロンドン・アイが小さく見える」と強調する。英メトロ紙は、非常に高いポイントまで上昇することから、「とても恐ろしい」との視点で取り上げた。

ニューヨーク・ポスト紙はデザインに注目し、とくに「合計64個のカプセルを持つ2つの軌道が、DNAの鎖のようになっている中央部で交差する」点が興味深いと述べている。建設費用については同紙は、推定7億6928万ドル(約1150億円)にのぼると報じた。

建築サイトのアーキネクトによると、交差する2つのリングは「渾天儀(こんてんぎ)」に着想を得てデザインされた。渾天儀は西洋版の「アーミラリ天球儀」にも似た装置で、複数の惑星が軌道に沿って運行するようすを再現する。

宇宙の壮大さを感じながらソウルのスカイラインを一望できるソウル・ツイン・アイは、4年後の2028年に完成を予定している。近場で海外を味わえるとして人気のソウルだが、訪れる楽しみがまたひとつ増えそうだ。

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 設計事務所によるレンダリング画像。2つのリングからソウルのスカイラインを望む。