大巻伸嗣の展覧会から麻布台ヒルズギャラリー開館記念の個展まで【今月の展覧会2選】

  • 文:青野尚子(アートライター)

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強烈な光や映像が示す、大巻伸嗣の深化する思考とは

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『Gravity and Grace』2023年 photo: courtesy of A4 Art Museum

大巻伸嗣がダイナミックな空間で展開するインスタレーション。「Gravity and Grace」シリーズは2011年の東日本大震災と原発事故から、原子力という諸刃の剣を抱える私たちの状況を暗示する。新作の映像インスタレーションはパンデミック下で制作されたもの。近年、言語に大きな興味を抱く大巻が、言語学の研究者にリサーチする中から生まれてきたものだ。鑑賞者を包み込むような作品を見せてきた彼が、自らの想いをどう深化させてきたのかがうかがえる。

『大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ』

開催期間:~12/25
会場:国立新美術館
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル) 
開館時間:10時~18時(金、土は20時まで) ※入場は閉館の30分前まで 
休館日:火曜日
料金:入場無料
www.nact.jp

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感覚に深く訴えるアートが示す、サステイナブルな社会への道

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『蛍の生物圏(マグマの流星)』2023年 photo: Jens Ziehe

11月に開館した麻布台ヒルズギャラリーの開館記念として開かれる個展。麻布台ヒルズに設置されたパブリックアートで扱ったテーマである幾何学的形態の研究や、地質学的な時間に関する問いを軸にしたものだ。会場ではストロボの光で水を瞬間的に照らし出す大型インスタレーションや、再生金属に特化したサステイナビリティに関する作品などが展示される。彼が長年取り組んできたかたちや環境についての考察を、身体で感じることができる。

麻布台ヒルズギャラリー開館記念
『オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期』

開催期間:~24/3/31
会場:麻布台ヒルズギャラリー 
開館時間:10時~19時(火曜は17時まで。金、土、祝前日は20時まで)
休館日:24/1/1
料金:一般¥1,800
https://project.azabudai-hills.com

※この記事はPen 2024年1月号より再編集した記事です。