中国内陸部の重慶動物園で、まるで人間のように振る舞うパンダたちが話題だ。テーブルに座って食事をする映像が、人間そっくりだとして海外ニュースで取り上げられている。実は人間の着ぐるみではないかとする、あらぬ噂まで囁かれはじめた。
動画では4匹のパンダが、展示エリア内の木製テーブルに集合。それぞれ椅子に腰掛け、テーブルに載ったエサを食べている。愛らしいパンダの和やかなひとときを収めたもので、まるで人間の家族の夕食風景のようだ。
可愛らしいと注目を集める一方、パンダたちはソーシャルメディアで思わぬ疑惑を呼んでいる。ちょこんと椅子に乗り、あまりにも行儀良く食べることから、着ぐるみとの指摘が飛び交うようになった。
本物?フェイク?
ニューヨーク・ポスト紙は、「可愛らしい動画でパンダが、人間のように座って食事」「待って、これは本物?フェイク?」として取り上げた。
動画冒頭、4人掛けのテーブルに1頭のパンダが座り、テーブルの上に乗ったエサを手で転がしながら食べている。すると、もう1頭、また1頭と別のパンダが寄ってきて、テーブルは4頭で“満席”に。
通常の動物であれば、例えば地面に立ったまま、テーブルに首だけを突き出して食べても良さそうだ。しかし、4頭ともが椅子に上り、まるで座ったような格好でなかよくテーブルを囲む。人間の一家が食事をしているかのような光景だ。
英デイリー・メール紙は、「誰かがパンダスーツを着ているんじゃないの?」など、X(旧Twitter)で交わされた反応を取り上げている。
この食事風景は、重慶動物園では別段めずらしくないようだ。公営放送の中国中央電視台(CCTV)が4月に公開した映像でも、同じ動物園の4頭のパンダがテーブルを囲んでいる。労働節の長期休暇にあわせてて訪れた多くの来園者を、竹などをかじる姿で和ませたという。
先ほどの映像では椅子の上にしゃがむ姿勢だったが、CCTVの映像では椅子に完全におしりを乗せて腰掛けており、いっそう自宅でくつろぐ人間のようだ。
「私はクマです!」夏にもあった人間疑惑
着ぐるみ疑惑は、数カ月前にも発生している。今年夏、中国東部の杭州動物園で、マレーグマの「アンジェラ」が着ぐるみだという説が囁かれた。
後ろ脚で器用に2足歩行し、立ち姿がまるで人間のように見えることから、中に人が入っているのではと疑う人々が相次いだようだ。背中の毛の乱れが、まるでジッパーの合わせ目のように見えたことで、疑惑はいっそう加速した。
米CNNは、動物園が正式に否定の声明を出す事態に発展したと報じている。もっとも、動物園側はユーモアを忘れなかった。発表された声明は、アンジェラ本人が書いたという体裁だ。
「私はマレーグマのアンジェラです。昨日、仕事が終わると動物園の責任者から電話がありました。どこかで代役の人間を見つけてきて、1日怠けて仕事をサボっていたのかと聞かれました」
「誤解のないよう皆さんに何度も言うことになりますが、私はマレーグマです! アメリカグマでもなければ犬でもなく、そしてツキノワグマでもない、マレーグマです!」
ニューヨーク・ポスト紙によると、着ぐるみ疑惑を受け、人間のようなクマを一目見ようと考えた来園者が殺到。1日あたりの来園者数は平時より30%増の2万人を記録したという。
重慶動物園のパンダたちも、すでに多くの来園者たちの興味を惹いており、ほっこりとした食事風景で話題だ。
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