低予算でもハイクオリティの『ゴジラ-1.0』が、米で大ヒット…「ハリウッドはお手本にすべき」の声も

  • 文:山川真智子

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日本の怪獣映画と言えばゴジラ。これまで数々のゴジラ映画が製作されてきたが、最新作『ゴジラ-1.0』 が全米で公開となり、過去最高レベルの評価と人気を得ている。注目されているのは、心揺さぶるストーリーに加え、怪獣モノに欠かせない圧倒的スリルを低予算で実現した点。超大作の大コケが目立つハリウッドも、お手本にすべきという声まで出ている。

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邦画の記録を塗り替える快挙!上映期間も延長

『ゴジラ-1.0』の舞台は、太平洋戦争後の日本。復興を目指す人々の前に突如現れ、容赦ない破壊を行うゴジラと、それに立ち向かう人々の姿が描かれている。

アメリカでは12月1日に公開され、3日までのオープニング興行収入は1100万ドル(約16億円)超となり、外国映画の最初の週末における興収記録を塗り替えた。東宝の12月7日の発表では、全米での興収が1436万ドル(約20億7000万円)を突破。米公開の邦画実写作品として、『子猫物語(1989年米公開)』を抜きトップに立った。

米エンタメ系ニュースサイト、カミング・スーンによれば、もともと『ゴジラ-1.0』はハリウッドの大作に比べて上映館の少ない限定公開だった。ホラー系サイト、ファンゴリアによれば、現在非常に強力な口コミが出回っていることもあり、多くの映画ファンが劇場での鑑賞に興味を示しているという。人気を受けて、延長上映されることが決まっている。

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異例の高評価!ストーリー、ビジュアルともにハイレベル

『ゴジラ-1.0』で特筆すべきは、レビューのスコアが非常に高いことで、これが集客にかなり影響しているようだ。米映画評論サイト、ロッテントマト(Rotten Tomatoes)では専門家、ユーザーからそれぞれ97%、98%の高い評価を得ており(12月8日時点)、アクション作品でここまでの評価は異例だ。

批評家の多くが、怪獣映画であるにも関わらず、感情に訴える人間ドラマがしっかりと描けていることを好感。さらに、山崎貴監督の特殊効果による見せ方を絶賛している。ファンゴリアのインタビューで、山崎監督はどのように怖いゴジラにたどり着いたかを説明。逃げ惑う人々に降りるゴジラの足、列車に近づきつつあるゴジラなど、視覚効果技術で詳細に“近さ”を表現することで、恐ろしいゴジラが作り出せると感じていたという。

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低予算に驚き! ハリウッドへの教訓か?

ゴジラの快進撃は、ハリウッドへの教訓だという意見も批評家から出ている。ハリウッド・レポーター誌は、わずか1500万ドル(約21億6000万円)とされる予算にも関わらず、『ゴジラ-1.0』は見事な出来栄えだと称賛。その10倍の予算を費やすことに何も思わないメジャーなハリウッドのスタジオは、すぐにでも日本に行って学ぶべきだとした。BBCも、『マーベルズ』などの大作が大コケするなか、肥大化したハリウッドにとっての教訓かもしれないとしている。

評論家の中には、山崎監督に大型予算を与えたら、いったいどんな作品を作るのかという期待のコメントもあった。ちなみにAP通信のインタビューによれば、山崎監督がぜひ作りたいと思っているのは『スター・ウォーズ』だという。アジア的なテーマを呼び起こす作品であるため、続編には自分が最適だと述べており、とても特別でユニークな『スター・ウォーズ』にする自信があると語っている。

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上映拡大を知らせるゴジラのオフィシャルサイトの投稿。

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“新鮮認定”のお墨付きを与える、ロッテントマトの投稿。

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 山崎監督。

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不評だった大バジェット超大作『マーベルズ』の予告編。

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日本版予告編。