俳優・井浦新が「エレガンスと力強さが両立する傑作」と語る、IWC「インヂュニア」の魅力とは?

  • 写真:宇田川 淳
  • 文:篠田哲生
  • スタイリスト:上野健太郎
  • ヘアメイク:山口恵理子
  • イラスト:コサカダイキ

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井浦新●1974年、東京都生まれ。98年、映画「ワンダフルライフ」に初主演。以降、映画を中⼼にドラマ、ナレーションなど幅広く活動。アパレルブランド〈ELNEST CREATIVE ACTIVITY〉ディレクター。サステナブル・コスメブランド〈Kruhi〉のファウンダー。映画館を応援する「MINI THEATER PARK」の活動もしている。

実用性やタフさ、機能美など「自分が好きなものが詰まっている」という理由で、IWCの時計を愛用する俳優の井浦新。IWCの質実剛健さに惹かれるという彼が、新作の「インヂュニア・オートマティック 40」の魅力や自身の活動との共通点を語る。

眺めるほどに、新しい発見がある

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ケース径は40㎜。オリジナルモデルでは不均衡な位置にあったベゼルの5つの穴は、きちんとデザイン化され、シンメトリーな配置となった。

「IWCは、知れば知るほどに惹かれるブランドです。長い歴史がありますが、ただ長いわけじゃなくて、時代の流れの中でもブレないオリジナリティがある。流行に流されるのではなく、流行を自分から生み出してきたからこそ、ブレがない。その真面目さに共感できるし、惹かれます」

愛好家らしい目線でIWCを語る井浦。彼の腕には2023年に発表された人気モデル「インヂュニア・オートマティック 40」がある。このモデルは、稀代の天才ウォッチ・デザイナーであるジェラルド・ジェンタがデザインし、1976年にデビューした「インジュニアSL」を範としたもの。ジェンタは薄くてエルゴノミックなデザインを好んだが、当時のIWCには薄型ムーブメントがなく、またインヂュニアというコレクション自体がエンジニアのための耐磁時計であったため、耐磁用インナーケースを搭載する必要があり、どうしてもケースを薄くすることが困難だった。結果としてインヂュニアSLのケース厚は12㎜に。これはジェンタにとって、ギリギリの許容範囲だったと推察できる。

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「インジュニア・オートマティック 40」厚さ4.2㎜の自社製ムーブメントCal.32111を搭載し、耐磁設計でありながらケース厚は10.7㎜に抑えた。自動巻き、SSケース&ブレスレット、ケース径40㎜、パワーリザーブ約120時間、100m防水。¥1,694,000

この「インヂュニア・オートマティック 40」は、彼のデザインに敬意を表する一方で、現在の技術があったら彼はどういうデザインにしたのか? という創造性あふれるプロジェクトによって完成したもの。ジェンタがつくり上げたデザインコードを継承しつつ、ケースは10.7㎜厚となったことで着用感はさらに高まった。

「正面から見たときは無骨さというか、工業的な感じがある。特にベゼルのデザインには、たくましさを感じます。でも、全体を見ると非常にエレガント。そのギャップが面白い。時計を眺める向きによってどんどん印象が変わっていくというのは、かなり計算されてつくられているのだと感じます」

ジェンタは元々ジュエリーデザイナーからキャリアをスタートしたゆえ、たとえスポーツウォッチであってもエレガントさが見え隠れするのだろう。「インジュニアSL」の誕生から40年以上経過しているが、いまもそのデザインがリスペクトされているのは、IWCの指針がいまもぶれていないという証明でもある。

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オリジナルを生み出すアーティストへの敬意

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プライベートでもIWCのパイロットウォッチを愛用しているという井浦。ジャケット¥59,400、シャツ¥31,900、パンツ¥35,200/すべてサージュデクレ(サージュデクレ TEL:03-6452-5188)、他はスタイリスト私物

「長く愛される作品には、必ずオリジナリティがある。その人固有の表現が徹底されているものや、その場所じゃないと生まれなかったものは、トレンドとは無縁です。もちろん圧倒的なオリジナリティは、いつだって賛否両論にはなりますが、それは時代の最先端にあり、前衛的であるからこそなのです。インヂュニアのデザインもまた同様なのでしょう」

「インジュニア・オートマティック40」を身につけた井浦は、真剣に時計を見つめながら語る。

「僕はまず着る洋服を決めて、最後に時計を選ぶことが多い。毎日に欠かせないものであります。もちろんファッションだけでなく、場所や用途によって使い分けるという楽しみもある。街で使う時計と海や山で使う時計とでは目的が違いますから、ファッションだけでなくシーンに応じて選ぶのが、正しい時計の楽しみ方だと思います」

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ジェラルド・ジェンタは1931年スイス生まれ。宝飾学校を卒業し、ジュエリーデザイナーに。のちに時計デザイナーに転向し、自身のデザインスタジオを立ち上げる。IWC「インヂュニア SL」をはじめ、オーデマ ピゲ「ロイヤルオーク」やパテック フィリップ「ノーチラス」など、多くのブランドで傑作を残した。

そんな井浦にとって、時計とはどういうものなのか?

「日本画で言うところの『花押(かおう)』でしょうか。書判ともいわれるもので、絵を描き終えた絵師が最後に左角に自分のサインとして花押をいれるのです。絵師の作風は変化したとしても、基本的に花押は変わらない。花押そのものは自己主張しませんが、誰が描いたのかという証明であり、それ自体が絵師の個性にもなる。それは絵のタッチとはまた違うものですが、決して絵の世界を壊さず、それでいて存在感を示しています。時計はファッションに華を添えるものであり、だけど主役になることもある。花押の立ち位置に似ています」

アートにも見識が深い井浦だが、もしも転生して芸術家になったら、どういう作品をつくりたいのだろうか?

「自分にはできないとわかっているからこそ憧れをもつのでしょうけど、1本の筆と墨の濃淡だけで表現する水墨画には、いつも驚かされます。でもきっとそういう才能があったら、今度は立体物もつくりたくなりそう(笑)。僕の性分からして、一つのことだけをやり続けることは無理なんです。僕自身、俳優という仕事だけでなく、アパレルや『Kruhi』というサステイナブル・コスメブランドなど、さまざまな活動をしています。一見するとバラバラにもみえますが、どこかでつながっていますし、お互いに影響を与えあっています」

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井浦が共感する、IWCのブレないものづくり

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サステナブル・コスメブランド『Kruhi』。できる限りキシミを軽減した石けんシャンプーやコンディショナーは、キャンディフォレストのアロマの香りも楽しい。髪や肌にもやさしく、地球環境保全にもつながる。

「妻とはじめたサステナブルコスメブランドの『Kruhi』は、自分が具体的にできる環境問題への取り組みの一つで、“循環”が大切なテーマになっています。鹿児島県の南大隅町にあるパートナー工場に製造をお願いし、地元の名産品であるパッションフルーツやタンカンの規格外品を原料に使っています。さらにその搾りかすは、地元の養鶏所に飼料として還元していく。ボトルはアルミニウム製ですが、それはリサイクル時に発生するCO2の排出量が一番少ない素材だから。せっけんシャンプーやトリートメントは、排水として流れても5日間で98.9%が分解されて地球に帰る。そういう循環がきちんと設計できたので、商品として自信をもって送り出せます。今年で一年が経ちましたが、全国各地で開催するポップアップイベントを通して、ユーザーからの声もたくさんいただきました」

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人気の高い「ラグジュアリースポーツウォッチ」というジャンルにあるが、これ見よがしではなく、さりげなくつける人を引き立てる。それもIWCが目指したところだ。

理想を貫き、やり抜く。その姿勢は、IWCからも影響を受けたという。

「すべてのものづくりには、純粋さが求められます。IWCは嘘のない純粋なものづくりをしているブランドだと思います。IWCはどんなに時代が変わっても、やっぱり人の手仕事も大切にしているし、企業として社会貢献活動もしている。もちろん真摯に立ち向かうほど価格は高くなりますが、純度の高いものを妥協なくつくるためには、当然のコストでしょう。『Kruhi』とは歴史が違いますから、比べるのはおこがましいのですが、そういったIWCの姿勢は参考になりますし、とても勉強になります。ものづくりとは真面目にクオリティを追及し、それにこたえる技術者がいて初めて成立するもの。ジャンルは違えど、自分もIWCのように妥協のないものをつくっていきたいなと思わされます」

IWCのものづくりへ共感を示す井浦は、腕時計をみるたびに、限られた時間を有意義に使いたいと考えるという。IWCの時計は時間だけでなく、生き方さえも指し示す、一種の羅針盤となっているのだ。

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井浦新が出演するトーク動画が公開中!

IWC

TEL:0120-05-1868
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