イッセイ ミヤケ ウォッチによる、高いデザイン性とリーズナブルな価格を両立させたコラボウォッチ5選

  • 文:篠田哲生
  • 編集:倉持佑次
Share:

デザイナーとのコラボレーションは腕時計にどんな化学反応をもたらすのか? 「イッセイ ミヤケ ウオッチ」プロジェクトは2001年のスタート以来、さまざまな著名デザイナーとのコラボウォッチを発表してきた。その中でも大きな話題を呼んだ、異業種デザイナーによる独創性にあふれる腕時計を紹介しよう。

Pen最新号は『腕時計のデザインを語ろう』。腕時計の「デザイン」に焦点を当て、たどってきた歴史やディテールを振り返るとともに、プロダクトとしての魅力をひも解く。同時に、つくり手である人気ブランドのデザイナーにも話を訊いた。デザインの“本質”を知ることで、腕時計はもっと面白くなるはずだ。

『腕時計のデザインを語ろう』
Pen 2023年12月号 ¥950(税込)
Amazonでの購入はこちら
楽天での購入はこちら

これまでにないデザインを求める、イッセイ ミヤケ ウオッチ

一昨年、20周年を迎えたイッセイ ミヤケ ウオッチは、セイコーと三宅デザイン事務所とのパートナーシップから生まれたプロジェクト。デザイナーの人選は三宅デザイン事務所が担当し、国籍もジャンルも多岐にわたる。当然、腕時計のデザインは初めてという人がほとんどで、デザイン界の巨匠であっても、新進気鋭の若手であっても、時間とはなにか? 時計とはなにか? というテーマに挑む。

“デザインウォッチ”というと、その時だけのファッションと捉えるかもしれないが、イッセイ ミヤケ ウオッチの場合は、サイズや機構のバリエーション展開を広げたり、機械式モデルを追加したりと、通常の時計プロダクトと同じように、息の長い製品として開発されているのも特徴だ。

ゆえに三宅デザイン事務所がデザイナーに求める要求レベルは高く、また時計製造を行うセイコーにとっても、デザイナーの意図を受け止めながら、実用的な時計として成立させるために常に素材や製造工程でチャレンジを求められる。そのため、デザインや機構に安易なノリやフィーリングが入り込む隙などない。むしろきわめて緊張感の高いプロジェクトとなっている。

しかしそのおかげで時計たちのそこかしこに、デザイナーの情熱を感じることができるし、時をともに過ごすものとして満足度の高い製品となっている。

---fadeinPager---

1. 深澤直人「エリプス」

02.jpg
エリプス/腕時計では珍しい幾何学的な楕円形のケースは、クロノグラフ積算計の軸に輪っか状のひもをかけ、ペン先をひっかけながらぐるりと描いたデッサンから生まれた。どこか“ふつう”で、やわらかな美しさがある。クオーツ、SSケース&ブレスレット、ケースサイズ45×41mm、3気圧防水。¥44,000/セイコーウオッチお客様相談室 TEL:0120-061-012

2. 深澤直人「トゥエルブ」

03.jpg
トゥエルブ/ケースの内側を12角形にデザインしてインデックスとし、ロゴは時針上に表示。徹底的にシンプル化したが、太い針を動かすためのムーブメントのトルクや12角形の風防できちんと防水性能を保つなど、技術的な挑戦も興味深い。クオーツ、SSケース、ケース径38mm、レザーストラップ、3気圧防水。¥35,200/セイコーウオッチお客様相談室

 

DMA-01_t.jpg

深澤直人
Naoto Fukasawa

1956年、山梨県生まれ。デザイナー。セイコーエプソン、IDEOサンフランシスコを経て、2003年に独立、NAOTO FUKASAWA DESIGNを設立する。電子精密機器から家具、インテリア、建築に至るまで、さまざまな領域のデザインを手がける。18年に「イサム・ノグチ賞」を受賞。

3. 和田 智「ダブリュー ミニ」

05.jpg

ダブリュー ミニ/カーデザイナー目線から生まれたモデル。表現過多な時計が目立つ時代だからこそ、長く使えるシンプルさを意識し、蛇の目など日本文化に着想を得た重なり合う円を基礎とした。小径&モノトーンでシックに見せる。クオーツ、SS(ブラックIP加工)ケース&ブレスレット、ケース径39mm、5気圧防水。¥51,700/セイコーウオッチお客様相談室

DMA-04.jpg

和田 智
Satoshi Wada

1961年、東京都生まれ。カー&プロダクトデザイナー。日産自動車を経て、ドイツのアウディデザインへ移籍。「世界で最も美しいクーペ」と評されたA5をはじめ、A6、Q7、A7などのエクステリアデザインを担当。2009年に独立し、SWdesignを設立。

4. コンスタンティン・グルチッチ「ロク」

07.jpg
ロク/時間の12進法と関係が深く、蜂の巣や雪の結晶など自然界にも多い六角形をケースにした。リューズを4時位置に埋め込むことでシャープな造形にしたが、ケース上面をカーブさせ、やわらかなニュアンスを感じさせる仕上がりに。クオーツ、SSケース&ブレスレット、ケース径39.7mm、5気圧防水。¥38,500/セイコーウオッチお客様相談室
DMA-06.jpg

コンスタンティン・グルチッチ
Konstantin Grcic

1965年、ミュンヘン生まれ。プロダクトデザイナー。イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学び、91年にデザインオフィスを設立。フロスやヴィトラ、無印良品などでプロダクトデザインを手がけ、数々の作品で国際的なデザイン賞を受賞する。

5. ジャスパー・モリソン「プリーズ」

09.jpg
プリーズ/イッセイ ミヤケのプリーツコレクションからインスピレーションを受け、ダイヤルやストラップに立体的なプリーツを取り入れた。インナーベゼル部をポリッシュとマットで仕上げてインデックスに。陰翳が美しい静かな時計だ。クオーツ、SSケース、ケース径40mm、ウレタンストラップ、5気圧防水。¥25,300/セイコーウオッチお客様相談室
DMA-08.jpg

ジャスパー・モリソン
Jasper Morrison

1959年、ロンドン生まれ。デザイナー。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業し、86年に事務所を設立。現在はロンドン、パリ、東京に拠点を構える。家具や食器、電化製品など、幅広い分野で活躍。2005年に深澤直人と「スーパーノーマル」を設立。

Pen1027_RGB.jpg

『腕時計のデザインを語ろう』
Amazonでの購入はこちら
楽天での購入はこちら