最適な画と音を自動調整、色再現に優れるAIテレビ

  • イラスト:信濃八太郎
  • 編集:一ノ瀬 伸

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〈4K有機ELテレビ〉
SHARP AQUOS QD-OLED FS1 line(シャープ アクオス QD-OLED FS1 ライン)

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FS1は、量子ドット有機EL(QD-OLED)パネルを採用し、高輝度、広色域、広視野角を実現した。¥605,000前後(65型)、¥440,000前後(55型、いずれも市場想定価格)

色が抜群の有機ELテレビ、シャープの「FS1」シリーズが登場した。テレビの画質は、ディスプレイパネル性能と回路のエンジン性能で決まるが、本機は画期的なパネルを搭載し、色再現を格段に上げているのである。

有機ELパネルは、韓国のLGが開発した白色+カラーフィルター方式と、サムスンのQD‐OLEDがある。シャープはFS1に後者を搭載。世界的にほとんどのメーカーがLG方式を採用するなかでなぜか。それは色再現が抜群に優れるから。色のためにはRGB原色で発光するのが理想だが、大型パネルの製造は工程上の問題から不可能。そこで青色の有機EL発光を、量子ドット(QD)という素子を通すことで波長変換し、RGBを得るのがQD-OLEDだ。RGBそのもので色を形成するので、発色が実に鮮やかなのだ。他方式では淡い色付けになる部分も、FS1ははっきり、くっきり。細部のコントラストも豊穣だ。

色の魅力だけでなく、手を煩わすことなく、映像を自動的にきれいに見せる仕掛けも満載だ。ひとつが「AIオート」。100万以上の映像を学習したAIが、人物の顔や空などのオブジェクト情報を検出し、映画、ドラマ、スポーツなどの放送ジャンルと組み合わせ、最適な画調に自動調整する。音声もAIオートが効く。ニュース、ドラマという声が主体のコンテンツでは、セリフが聞き取りやすいように、またスポーツでは臨場感を高揚させるように音特性を調整。周辺環境によってコントラスト調整を自動で行う「環境センシング」機能も有用だ。暗めの映画を明るい場所で観ると暗部の情報が見えにくくなるが、そんな場合でも階調を整える。FS1は個性派の有機ELテレビとして、人気を博すに違いない。

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画面の下部だけでなく上部にもスピーカーを配置。前面に20°傾斜させることで音を前方向に放出するため、映像を音で包み込むような臨場感を実現している。

麻倉怜士

デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。著書に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)などがある。

問い合わせ先/シャープお客様ご相談窓口
TEL:0120-001-251

※この記事はPen 2023年10月号より再編集した記事です。