人の気持ちに優しく寄り添う、もてなしの道具たち

  • 写真:吉田塩
  • 文:猪飼尚司
Share:

 

DMA-3_0701_pen11-18-35.jpg

中原慎一郎
コンランショップ・ジャパン代表

1971年、鹿児島県生まれ。99年にランドスケーププロダクツを共同設立。その後、インテリアショップやカフェなどを次々に展開し、22年から現職。 

 

Pen最新号は『デザインと手仕事』。テクノロジーの進化が目覚ましい現代において、いま改めて人々は、手仕事に魅了されている。しかもそれを、使い手である私たちだけではなく、つくり手であるデザイナーや建築家たちこそが感じている。手仕事に惹かれるのは、手の温もりを感じられるから──そんなひと言にとどまらない答えが、ここにある。

『デザインと手仕事』
Pen 2023年10月号 ¥880(税込)
Amazonでの購入はこちら
楽天での購入はこちら

---fadeinPager---

「手仕事による日用品のなかでも、僕が気に入って集めているのは工芸と工業のちょうど中間にあるようなもの。暮らしの道具としてきちんと機能する一方で、手わざを通してつくり手の人柄や感覚のよさが伝わってくるところが好きなんです」

そう話すのは、コンランショップ・ジャパンの代表を務める中原慎一郎。4月にオープンしたザ・コンランショップ 代官山店では、中原さんとスタッフがアジアを中心に各国を旅しながら見つけた手仕事の道具を数多く揃えている。

「実用品ほど、日常の暮らしに静かに寄り添ってほしいもの。人の手でつくったものには、微細な表情の違いやクセがあって、使い続けるなかで、徐々にそれぞれの魅力に気づく密かな楽しみもありますね」

 

DMA-1_0701_pen10-14-25.jpg
小石製作所のトルティーヤウォーマーと、コーヒーサーバーのハンドル

幡ヶ谷のパドラーズコーヒーを手がける松島大介が、徳島の木工所と協業したもの。ガラスのコーヒーサーバーのネックにはめるハンドルは、既製品を手わざでアレンジ。トルティーヤウォーマー(φ160㎜)¥16,500、木製ハンドル¥5,500/小石製作所 TEL:090-8384-9137

 

DMA-2_0701_pen10-55-58.jpg
アトリエ・ツープラスのダイニングチェア

タイの建築デザインユニットがデザインした椅子を、代官山店に併設する茶室「聴景居」のために取り寄せた。モンキーポッドの木は適度な重みで安定感がよく、脚がソリ型なので引いた時に大きな音が出ない。¥94,600/ザ・コンランショップ 代官山店 TEL:03-6703-6700

手仕事を身近に感じられるよう、新しいザ・コンランショップでは、特にもてなしの道具にフォーカスしたセレクトに力を入れている。

「実家が仕出し屋を営んでいたせいか、僕にも自然ともてなしの作法がしみ付いているのかもしれません。お客さんだけでなく自分を大切にしてあげるのも、もてなしの気持ちを育むコツ。まだ知られていない手仕事のもてなしの道具を、ショップを通じて世界にどんどん伝えていきたいです」

 

DMA-8_0701_pen10-32-46.jpg

タイ ホームインダストリーズのカトラリー

兄妹が営むタイのセレクトショップが、現地の職人と協業したシリーズ。口に入れる先端部だけをていねいに磨き上げ、持ち手はラフな仕上げのまま残すことで、色のコントラストが際立つユニークなプロダクトになった。ほどよい重量感で、握りやすいかたちだ。¥4,180〜¥11,000/ザ・コンランショップ 代官山店

 

DMA-6_0701_pen10-27-44.jpg
山口和宏のトレイ

福岡のうきは市で木工を手がける作家、山口和宏。シェーカー教徒がつくる木皿にも似たシンプルなデザインだが、手馴染みのいい厚みとエッジのフォルムに親近感を覚えるとか。手で削った掘り跡も味わい深い。丸皿(φ180㎜)¥6,600、オーバル皿(200×140㎜)¥13,200/jingoroTEL:0943-73-7773

 

DMA-4_0701_pen10-03-10.jpg
スタジオプレパのガラスの器

長野に工房を構えるスタジオプレパの平勝久、瑞穂の作品。「日本のガラス工芸は厚みがあり、ぽってりとした印象のものが多いのですが、平さんの作品は軽やかでモダン。手仕事ながら、プロダクト的な整然とした佇まいです」。写真の器はすでに完売だが、展示会などで新作を購入できる。スタジオプレパ http://prepa.jp

 

DMA-9_0701_pen10-50-28.jpg

ダブルダブルファニチャーのウッドタンブラー

中原が毎朝コーヒーを飲む時に使うウッドタンブラーは黒いウレタン塗装のマットな仕上げで一見クールな印象だが、触れると細部に手仕事の跡が残り、温かみを感じる。デュラレックス社のグラスにも似た、普遍的なフォルムもいい。¥6,600/ダブルダブルファニチャーTEL:092-328-2010

 

DMA-7_0701_pen10-48-05.jpg

吉田竹物のコーヒーフィルター

奈良のカフェ&ショップ、くるみの木のオーナー石村由起子が使っているのを見て、一目惚れ。極細の竹を編み込んだフィルターは目が細かいので、旨味が凝縮したおいしいコーヒーが淹れられる。ほとんど目詰まりしないのは、精緻な職人技の証し。¥19,800(要予約)/生活購買店reed TEL:0943-76-9480

 

DMA-5_0701_pen10-39-18.jpg

岩切秀央のレンゲ

汁物をすくうだけでなく、料理を取り分けるのにも便利なレンゲ。しかし、柄が短いと料理の中に埋もれてしまうことも。そこで柄の長いものを鹿児島在住の陶芸家、岩切秀央に特注。金属製のものに比べると、使用時の音が静かで、舌触りもいい。¥2,200/ザ・コンランショップ 代官山店

ザ・コンランショップ 代官山店

●東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟 1F・B1

 

 

  

 

 

Pen0828売_表紙_RGB.jpg

『デザインと手仕事』
Amazonでの購入はこちら
楽天での購入はこちら