この秋、群馬県前橋市の公立美術館アーツ前橋で、国内外からの著名アーティストを招聘した大規模なアートイベントが開かれる。その名も『アーツ前橋 開館10周年記念展 ニューホライズン 歴史から未来へ』(10月14日~24年2月12日)。アーツ前橋を拠点に、藤本壮介の設計で話題のアートホテル・白井屋ホテルや、平田晃久建築設計事務所が手がけた新しいアート複合施設・まえばしガレリアを拠点に、繁華街のビルや商店街にまでエリアを広げ、街全体がアートで活気づく予定だ。
参加アーティストは30組。海外からは大御所のオラファー・エリアソン、蔡國強やニューヨーク近代美術館(MoMA)での展示が話題になったメディアアートの先駆者、レフィーク・アナドール、光の芸術家ジェームズ・タレル、NFTで約3.7億円の作品が落札されているマッド・ドッグ・ジョーンズやアンドリュー・ビンクリー、ザドッグ・ベン=デイヴィッド、ビル・ヴィオラら現代アートの先鋭たちが集まる。
日本から参加するのは遺伝子工学を用いた作品を出展するスプツニ子!、世界各国にコレクターをもつ井田幸昌、ニューヨークを拠点に活動する松山智一や山口歴、厚塗りの絵の具で描かれたポートレートで知られる武田鉄平、写真家の蜷川実花、そして岡田菜美、川内理香子、木原共、五木田智央、袴田京太朗、ハシグチリンタロウ、WOW、横山奈美など、いま注目したいアーティストたちの名前がずらりと並ぶ。
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前橋の建築を巡るツアーや演劇公演なども
さらに、新進気鋭の建築家たちによる新施設オープンが相次ぐ前橋市の中心地では、建築の魅力を探る街歩きツアーや各施設との連帯展示で、建築のいまを感じられる機会も提供される。期間中はイベントプログラムも目白押しで、前橋市生まれの藤田貴大による『マームとジプシー』が演劇公演を行うほか、市内各所で村田峰紀、木原共、石多未知行、関口光太郎がワークショップを開催する予定だ。
今年5月からアーツ前橋特別館長に就任した南條史生は、「いまはアートの時代。ビジネスでもアートが頻繁に顔を出し、社会に欠かすことのできない重要な要素になっている。創造性に働きかけるアートを展示することで人々を刺激し、街の力にしていきたい」と語る。
同館では2020年に作品紛失問題が明るみになり、職員の長時間労働の実態なども判明したが、館長やチーフキュレーターなども一新。この開館10周年記念展で未来へ向けた指針が示されるはずだ。「歴史から未来へ」、新たな一歩となるだろう。
『アーツ前橋開館10周年記念展「ニューホライズン 歴史から未来へ」』
開催期間:2023年10月14日(土)〜24年2月12日(月・祝)
開催場所:アーツ前橋、前橋中心市街地等
群馬県前橋市千代田町5-1-16