【Penが選んだ、今月の音楽】
『アイ・ホープ・ユー・キャン・フォーギヴ・ミー』
ジャズ界の大御所ボビー・マクファーリンを父にもつ、ネオ・ソウル系シンガーのデビュー作。父親譲りのひとり多重録音によるアカペラは、ザ・ルーツのクエストラヴが「ソウル・アペラ」と呼ぶほど幽玄かつソウルフルで、先行曲「God Herself」ほか、本作最大の聴きどころを創出する。彼女の気品ある歌声と父親のパーカッシブな歌声がしのぎを削るエレクトロ・ソウルやジャジーな4つ打ちトラックなど、生命力あふれる楽曲も魅力。大半の曲を自らプロデュースし、楽器も演奏するなど枠を超えた才能にも心惹かれる好盤だ。
※この記事はPen 2023年7月号より再編集した記事です。