発売以来、高い人気を誇るSUVシリーズ「ボルボ XC40」。最新のEV(電気自動車)モデル「Recharge(リチャージ)」を、ファッション系メディアを中心に、本誌でも活躍するエディターの佐野慎悟が試乗した。日々最先端の情報や価値観を追い続けるクリエイターの目に映った、スマートEVの真価とは?
佐野慎悟
エディター/ライター
1980年、千葉県生まれ。高校卒業後ロンドンに留学、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業。帰国後、ファッション誌編集部やコレクションブランドのPRを経て、2012年にフリーのエディター/ライターとして独立。雑誌、オンラインメディア、映像制作のほか、ブランドのディレクションなども手がける。
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普段、ディーゼルエンジンの小型のステーションワゴンタイプを使う私は、レンタカーなどでハイブリッド車を運転したことはあるが、EV(電気自動車)を走らせるのは、今回が初めての経験。クルマが専門ではないので、細かいスペックから「XC40リチャージ」の性能を読み解くことや、他車との比較はできないが、フィーリングの部分に関して感想を言わせてもらえば、乗り心地も、機能も、デザインも、あらゆる面で、文字通り〝スマートさ〞が際立っている印象を受けた。
まず初めてのクルマだと、ナビの設定に戸惑うことも多いが、フロントのタッチパネル操作の簡潔さに加え、グーグルアシスタントを採用した音声操作システムのサポートによって、驚くほど直感的に目的地を設定することができた。地図表示も馴染み深いグーグルマップで、目の前のドライバーディスプレイにも縮小版が表示されるから、ドライブ中もタッチパネルの表示や操作に気を取られることなく、常に前方だけに意識を集中しながら、余裕をもって次の進路変更に備えることができた。
普段乗る内燃機関のクルマから最新EVへと乗り換えると、走行時の静かさに驚くはずだとは予想していたが、その心構えをもってしても、いざ「XC40リチャージ」の静粛性や、ストレスのないスムーズな加速と、エンジンとは違う伸びやかな走りを体験すると、異次元のスマートさには感心せざるを得ない。
そして、個人的にはクルマ選びにおける最大のチェックポイントであり、今回の試乗で最も「XC40リチャージ」のスマートさを感じたのはデザイン性だ。先進的で高級感もありながら、かといってそれをひけらかすことのない自然体の佇まいは、洗練されたミニマルなモードブランドのニットや、上品なルックスながら、普段着としてカジュアルに着こなせるモダンなスーツとも価値観を共有する。シート素材に機能的でエレガントなテイラード・ウール・ブレンドを採用するなど、どのパーツにも、さりげなく環境へのインパクトが少ない素材を選択している点も共感できる。自分が毎日身に着けるものや乗るものには、そういうものを選びたい。
初めてEVと過ごした数日間は、なにげない生活の中で、地球環境のことを意識するきっかけを与えてくれた。そして、そんな意識をもってスマートなEVに乗っている自分が、少しだけかっこよく思えた。まだまだ先のことと考えていたEVとの生活は、すぐ目の前に迫っていた。「XC40リチャージ」は、毎日をともに過ごすクルマとして、どこまでも心地のよいクルマだった。
ボルボ XC40 Recharge Ultimate Single Motor
サイズ(全長×全幅×全高):4440×1875×1650㎜
バッテリー容量:73kWh
最高出力:238ps/4000-5000rpm
最大トルク:418Nm/1000 rpm
駆動方式:後輪駆動
航続可能距離(一充電走行距離、WLTCモード):590㎞
車両価格:¥7,190,000
ボルボ https://www.volvocars.com/jp/