サンフランシスコに鋭利な灯台が出現! 杉本博司の新作パブリックアート「ポイント・オブ・インフィニティ」

  • 文:上村真徹
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ニューヨークを拠点に写真家、現代美術作家、建築家、演出家として活躍し、世界のアートシーンにおいて地位を確立してきた杉本博司。彼の新作数理模型作品「ポイント・オブ・インフィニティ」が、2023年5月にサンフランシスコのイェルバ・ブエナ島の丘の上にパブリックアートとして設置された。なお、本作品が設置された新設の公園は2023年秋ごろにオープンが予定されている。

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Hiroshi Sugimoto, Point of Infinity, Yerba Buena Island. ©Sugimoto Studio/設計:新素材研究所

本作は、サンフランシスコ・アート・コミッションがサンフランシスコにおけるパブリック・アートの新時代を切り開くため、イェルバ・ブエナ島とトレジャー・アイランドに作品を設置するプロジェクトの第1弾。杉本にとって米国内に設置される初めての大規模なパブリックアートとなる。

直径7mの底面から直径21mmの先端部に向かって徐々に細くなっていき、高さ5.6mの位置まではGFRC(ガラス繊維強化コンクリート)のパネル8枚で構成された基部となっている。基部はそのまま鏡面加工を施した316ステンレスによる上部(15.4m)とシームレスにつながり、天に向かって伸びている。

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Hiroshi Sugimoto, Point of Infinity, Yerba Buena Island. ©Sugimoto Studio

こうした構造の意図について杉本は「彫刻のフォルムは、互いに近づきながらも、決して交わることのない2つの双曲線によって創られています。物質界において、はるか彼方にある無限遠点(ポイント・オブ・インフィニティ)を特定することは、物理的に不可能です。しかし、数理模型に基づいた直径21mmの先端部を持つ構造物として近似点を具現化することで、無限を提示することは可能です」と語っている。

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Hiroshi Sugimoto, Point of Infinity, Yerba Buena Island. ©Sugimoto Studio

なお、この数理模型は巨大な日時計でもあり、広場には、春分と秋分の南中時に影が射す正確な位置を示す印が設置される予定となっている。サンフランシスコのベイエリア全体を見渡せる場所に立つ杉本の作品は、灯台のような存在となることだろう。