「オートモビル カウンシル 2023」徹底レポート 後編

  • 文&写真:内田栄治
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前編から続く

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【イタリア車編】

さて、後半はイタリア車からご紹介しよう。
まずはマセラッティ。とても美しい色のMC20が展示されている。
今回新たに導入されるスパイダーモデルのチェロ(Cielo)。
チェロとはイタリア語で空の事。展示車はその空をイメージした美しいアクアマリーナという特別色のモデル。
当初リーズナブルと思っていたMC20もこのモデルでは遂に4,000万を越えそうである。 

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クラシックなマセラッティは1964年に発表されたミストラル。3,500CCモデルが展示されていた。

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生産台数はスパイダー全体で124台と非常に希少。インパネ回りも美しい。

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 今なお最も美しいフェラーリといわれるDino246GT。有名な話であるがDinoの名前は
若くして亡くなったエンツォフェラーリの息子の愛称である。ディーノがアイデアを出したと
される65度V型6気筒DOHCエンジンをミッドに持つ。

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 私が後ろ髪惹かれたのはテスタロッサ。過走行(56,000km)とのことで価格がかなり安い。
乗り出しには2-300万位の整備費がかかるとのこと。それでもこの価格なら安いのではないか。

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 悲劇のクルマ ランチアデルタS4ストラダーレ
外見はランチアデルタに見えるが中身は全くの別物。ミッドにエンジンを搭載し
低速はスーパーチャージャー、高速域ではターボで加給。4WDシステムを持ち
グループBのホモロゲーションを取るために開発されたモデル。
あまりに高速になったグループB、1986年のツール・ド・コルスで悲劇が起こる。
トイボネンがコースアウトしクルマが炎上コ・ドライバーのクレストと共に亡くなってしまう。これによりグループBのレギュレーションは廃止となった。

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 アルファロメオ 白のジュリエッタ(妹)と赤のジュリア(姉)。1961年、1963年のクルマ。
排気量はそれぞれ1,300CCと1,600CC。美しく、しかもFan To Driveを約束してくれるクルマ。

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【英国車編】

さて、クルマ好きといえばやはり英国車。ブリティッシュスポーツカーの代表格
BMC社オースチンヒーレー100。100は100マイル(160km/h)のスピードが出るという意味。
1954年のモデル。2.66L 直列4気筒と大きな排気量を持ちビックヒーレーとも言われる。

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筆者も一度は乗ってみたいと思っているモーガン3ホイラー。
ハーレーのカスタムエンジンで有名なS&S製の2L、Vツインエンジンを搭載。
車重は600kgを切り前2輪後ろ1輪で後輪駆動で走らせる。
構造的にもFFにした方がよさそうだがベルトで後輪駆動とするところに
走りへのこだわりが見える。
筆者も運手席に座らさせていただいたがクラッチは重くダッシュボードの位置が高く
視界も悪い。まさにスパルタンなクルマ。スーパーセブンにも乗っていた筆者としては
是非一度は乗ってみたい車である。

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 まるで昔の戦闘機のようなコクピット。

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もはやオートモビルカウンシルのひとつの顔ともいえるALVIS。
1920年創業の英国の自動車メーカーで当時のビンテージカーをレストアし販売する一方
往年のデザインそのままに現代風にモデファイした新車も販売する。

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こちらはそのレストレーションモデルで1927年製のグランプリカー。何と駆動方式が前輪駆動のFWDというのもユニークである。英国グランプリでの出走はかなわかったが、JCC200マイルレースで2台でエントリーしフロント・ロウを独占した伝説のクルマである。

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 そして英国を代表する高級車といえばロールス&ベントレー。こちらは1962年に発売されたベントレーS3である。
何とも重厚なデザイン。エンジンはオールアルミ製の6.23LOHV。ロールス・ロイス・シルヴァークラウドとは兄弟車になる。

 

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 そして英国車のトリを飾るのはやはりアストンマーチン。こちらは1967年式DB6ボランテと呼ばれるモデル。
価格も9,000万に迫り昨今のビンテージアストンの人気ぶりがうかがえる。 

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運転席回りもシンプルかつ機能的でありながらエレガント。エンジンは3,995cc 直列6気筒DOHC。最高出力は4速ATモデルでは282PS。現代でも十分に通用するスポーツカーである。

 

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【番外編】

さて、追加でどうしてもご紹介したいクルマがある。
ひとつめはマツダのMX81。名前の通り1981年にコンセプトカーとして発表されたもの。
イタリアのベルトーネ社がデザインした「グラス・カプセル・デザイン」といわれるエクステリアは今見ても魅力的である。インテリアも未来を予見したかのようにブラウン管に集中して表示するシステムが採用されている。メーターナセルに取り巻いているのは何とステアリング!マツダ社内で発見されイタリアにてレストア、この度40年以上の時を経て公開されることとなった。
写真奥に写っているのは当時このクルマの開発主査だったマツダの山本氏。 

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そして最後にオートモビルカウンシルのフューチャーのキーワードを具現化したようなクルマ
AIM(エイム)社NEV PROJECT EV SPORT 01。バッテリーEVのスポーツカーである。
全長が4mを切るコンパクトなボディに600PS相当のモーター出力をもつ。
デザインは元日産COOの中村史郎氏。クラシックなデザインで余計なラインは全く入っていない。
9ヶ月という驚異的なスピードで開発された。英国の自動車の祭典、グッドウッドフェスティバルに出走予定とのこと。大変な話題になりそうだ。

 

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今年も大盛況だったオートモビルカウンシル。日本にも大人の自動車文化が定着してきただろうか。
ICEと言われる内燃機関エンジンの存続が危ぶまれている今、すべてがEV化してしまっては味気ないと思っているクルマ好きの諸兄も多いはず。是非ビンテージなクルマと未来的なクルマが共存できる世界であってほしい。それが本当の大人の自動車文化の懐の深さだと思う。

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