5分または1分単位で計測時間をセットできる、もう1本の分針を持つ複雑時計

ラトラパンテとはフランス語で「追いつく」という意味であり、2本の計測秒針を持つ超複雑クロノグラフの名称として知られる。スプリットセコンドとも呼ばれるが、これを2本の時針に応用して2022年に発表されたデュアルタイムが「トンダ PF GMT ラトラパンテ」だ。さらに2023年の新作「トンダ PF ミニッツ ラトラパンテ」では、秒針や時針ではなく、分針がもう1本の分針に「追いつく」世界初の機構を搭載している。
メインの分針の背後には、18Kローズゴールド製のもう1本の分針が隠されており、8時位置のプッシャーを押せば5分単位、10時位置のプッシャーなら1分単位でジャンプして進む。それによって、予め計測したい時間をセットできるわけだ。このローズゴールドの分針にメインの分針が重なれば、設定した時間が到来。それ以降はオーバータイムということになるが、リューズトップのボタンをワンプッシュすれば、この分針がどこにあっても瞬時にメインの分針の背後に戻る。分単位の計測が連続的あるいは頻繁に必要となる講演会やセミナー、イベントなどで活用できる便利な機構ではないだろうか。
ただし、時計の外観にこうした複雑機構の気配はほとんどなく、2つのプッシャーもケースに沿って埋め込まれており、通常はシンプルで格調高い2針モデルに見える。シルエットは控え目でも、求められた時にハイレベルな実力を発揮する、紳士にふさわしい高機能モデルだ。
この新作によって、時間と分に関する“ラトラパンテ2部作”が完成したといえるだろう。
2022年に発表されたデュアルタイムの「トンダ PF GMT ラトラパンテ」はステンレススチールケースだったが、2023年は18Kローズゴールドのモデルが追加された(写真)。こちらはメインの時針の背後にもう1本の時針が隠れており、時差の異なる地域に移動する際にメインの時針を動かせば、この時針が現れてホームタイムを表示する。それだけでなく、リューズトップのボタンのワンプッシュで瞬時にメインの時針を追いかけて重なることが世界初の機構だ。
ダイヤルは濃紺に近いミラノブルーに、精緻なバーリーコーン(麦の穂)パターンのギョーシェ彫りが施されており、エグゼクティブに良く似合う落ち着いた雰囲気に仕上がっている。
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毎秒10振動のハイビート・スプリットセコンド・クロノグラフ

パルミジャーニ・フルリエでは、同じくラトラパンテの機能を備えるスプリットセコンド・クロノグラフをメゾン設立20周年の2016年に開発。しかも毎秒10振動のハイビートで話題になったが、今年は18Kローズゴールドケースの新作が登場した。
1時位置のプッシャーを押すと2本のクロノグラフ秒針が同時にスタート。4時位置のプッシャーを押せば、上の針は停止するが、下の針は動き続ける。それによってラップタイムなどを記録でき、さらに4時位置のプッシャーを押すと、上の針は下の針を追いかけてピタリと重なる。18Kローズゴールド製の手巻きムーブメントを搭載しており、今回はケースも同素材となった。高級時計らしい重厚感が魅力だ。
問い合わせ先/パルミジャーニ・フルリエ TEL:03-5413-5745
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