ヴァシュロン・コンスタンタンの新作はレトログラードの競演!【ウォッチズ&ワンダーズ2023速報】

  • 文:笠木恵司
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寄せては返す波のような独特の表示機構を人気のスポーツモデルにも搭載

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「トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイス」。自動巻き、パワーリザーブ約72時間、18Kピンクゴールドケース、ケース径41㎜、ケース厚11.07㎜。¥28,798,000(税込予価)、2023年5月以降発売予定。

通常の時計は指針が回転するが、一方向に進んで最後の目盛りに達して表示を終えると、瞬時にもとの位置に戻るのがレトログラード機構だ。指針が反復運動するため、目盛り表示を円形ではなく半円形や扇形にできることから、ダイヤルデザインの自由度が飛躍的に高まるといわれる。ヴァシュロン・コンスタンタンでは、このユニークな表示機構を各コレクションに採用した新作を発表した。

段差を付けた丸型ケースにコインエッジを施したケースバックなど、メゾンの高級時計づくりを継承したトゥールビヨンモデルにレトログラードの日付表示を備えた新作が「トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイス」だ。ダイヤルは2層になっており、上部にレトログラードの日付目盛りを配置。その下部にオープンワークを施すなど、立体的でアバンギャルドなデザインになっている。長きにわたる時計製造の伝統を継承するクラシックと、現代的な創造性の華麗な融合といえるだろう。だからこそ、メゾンのシンボルであるトゥールビヨンのマルタ十字が際立つのである。 

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「パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト」。自動巻き、パワーリザーブ約40時間、プラチナ950ケース、ケース径42.5㎜、ケース厚9.7㎜。¥9,970,400(税込予価)、2023年限定生産モデル、ブティック限定、2023年夏以降発売予定。

ヴァシュロン・コンスタンタンのレトログラード表示は近年のスタイルではなく、最初に人気を高めたのは1920〜30年代とされる。新作「パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト」は当時のモデルから着想を得たという。個性的なサーモンピンクのダイヤル上部に半円形の日付表示があり、6時位置には木曜日を除いてフルスペルの曜日表示。どちらもブルーの指針と目盛りを備えたレトログラードであり、月1回だけでなく毎週1回、指針がもとの位置に戻る瞬間を楽しみにできる。

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「オーヴァーシーズ・ムーンフェイズ・レトログラード・デイト」。このコレクションでは初のレトログラードによる日付表示を搭載。月末を表示し終えたブルーの指針は瞬時にもとの1日の位置に戻る。自動巻き、パワーリザーブ約40時間、ケース&ブレスレットはステンレススチール、ケース径41㎜、ケース厚10.48㎜、5気圧防水。¥7,114.800(税込予価)、ブティック限定、2023年夏以降発売予定。

高級スポーツモデルとして人気の高い「オーヴァーシーズ」にも、初のレトログラード表示が搭載された。6時位置の半円形ムーンフェイズと呼応するように、ダイヤルの上半分に日付表示をレイアウト。この日付を指し示す針はブルーであり、ブラーラッカーが施された透明感のあるダイヤルに溶け込むため、18Kホワイトゴールド製のインデックスや時分針の視認性を損ねることがない。

その一方で、指針のトップにある三角のシンボルは色調を薄くしており、ブルーの濃淡を駆使することで、各表示の見やすさを確保している。このモデルのデザインコードを遵守しながら、レトログラードという新しい個性を巧みに取り込んだといえるだろう。

ちなみに、6時位置のムーンフェイズは122年間で1日の修正しか要さない高精度。ダイヤル上部で左から右に進んでいく日付と同じように、月も動いて満ち欠けを繰り返す。時の流れは止められないが、レトログラード表示とムーンフェイズは明確な“区切り”を視認できるのである。

問い合わせ先/ヴァシュロン・コンスタンタン TEL:0120-63-1755

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