数ある地場産業の中でも高級織物として知られ、先に糸を染め上げて生地を織る、先染織物「播州織」。表情豊かで自然な風合いのテキスタイルを織り上げる、兵庫県西脇市を中心とする北播磨地域。そこを流れる加古川・杉原川・野間川は染色に適した軟水の宝庫だ。自然の恵みが生み出した極上の織物は、230年の歴史を誇る。その優れた手仕事を世界へと発信しようと取り組んでいるのが「播州織コレクション」。織物の産地とファッションデザイナーがコラボレートするコレクションで、アイテムの一つひとつに美しい「播州織」を投影。伝統の生地と現在進行形のデザイン力を一つにしたMADE IN JAPANの作品がオンラインで発表された。
播州織の風合いを活かした、調和の取れたコレクション
昨年に続いてデザインを担当したのが、時代背景や事象、さらには自身が日々感じることをファッションに映し出す「superNova.(スーパーノヴァ.)」の山口卓。拠点とする東京から西脇市へと足を運び、今回のコレクションに使用する生地を厳選。10社から提供された生地を使い、計23アイテムものワードローブがデザインされた。どれもタウンユースでリアルに着られるデザインで、山口ならではの足し引きを意識したバランス感覚が秘められている。単色の素材はデザインの効いたマウンテンパーカに、柄物はサラッと着用できる開襟シャツに、またペイズリーの織柄が入った生地は女性らしいジャケットとスカートのセットアップに。全アイテムを見渡すことで、先染の特色を活かしながら、調和の取れたコレクションが完成した。
後世に語り継がれるべき手仕事を世界へ
「前回は柄物が中心でしたが、今回は無地や織柄といった単色の生地も多く使いました。この2回のコレクションで播州織の多様性が表現できたと感じています」と語る山口。その言葉通り、繊細な素材感を活かしたドレッシーなアイテムはもちろん、毎日のように身に着けられるカジュアルウエアにも「播州織」が溶け込むのを証明してみせた。コレクションの全貌は、コラボレーションを記念して製作されたスペシャルムービーにて披露。美しい生地の風合いとモダンなリアルクローズが交錯するアイテムの一つひとつを、映像を通して感じ取ることができる。
滑らかなテクスチャーや奥行きのある柄の色彩をはじめ、数々の魅力を内包する「播州織」。素晴らしき手仕事を身近にした「播州織コレクション」によって、至高の織物が世界中のファッションフリークの目に触れるきっかけとなった。
問い合わせ先/公益財団法人 北播磨地場産業開発機構 TEL:0795-22-7676
https://kitaharima-jibasan.org/
superNova.
https://supernova-online-store.com/