「ヨーロッパで最も売れているスーツケースブランド」と聞いて、パッと頭に思い浮かぶ人はどのくらいいるだろうか。フランスの老舗スーツケースブランド「DELSEY PARIS(デルセー)」は、日本での知名度こそさほど高くないものの、実際に触れて細部を見ると、なるほど確かに欧州シェア1位を記録するだけの代物なのだとすぐにわかる。フランス・パリに本社を置く「デルセー」が日本へ本格上陸を果たしたのは、昨年のこと。新型コロナウイルスの影響により、人々が旅への意欲を失いかけつつあった中で、「日はやがてまた昇るように、人はやがてまた旅を始める」という考えから、日本市場への参入を決めたのだという。
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20世紀初頭にカメラ用の革製ケースを作っていたデラハエ社と、タイプライターやレコードプレーヤーのケースを作っていたセインヘーヴ社が合併したことで誕生したデルセー社は、両社のノウハウを活かしてプラスチック素材のスーツケースを生み出すことに成功する。旅の荷物は重く煩わしいものであることが常識だった当時、これは画期的な発明であったに違いない。その後も、バニティケース、ブリーフケース、トラベルバッグなど、フランスのエレガンスとノウハウを体現した多様な製品を提供したデルセー社は、クルマや鉄道、さらに飛行機の移動まで、当時のトラベル革命の波に乗り、絶大な支持を受けるようになっていく。
創業から75年以上の歴史をもつ「デルセー」がブランドとして最も大切にしているのは、「安心」「快適」「ユーザーフレンドリー」という3つのポイントだ。これらは、数々の特許を取得している革新的なアイデアと蓄積された技術によって支えられている。ここで紹介するスーツケースにもさまざまなファンクションが備わっているので、順に見ていこう。
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まず初めに注目したいのが、セキュリティの要となるファスナーおよびロック部分だ。「デルセー」の主要なスーツケースには、独自開発した国際特許取得の二重化ファスナー「Zip Securitech」 が採用されている。これは、強化されたファスナーを2層に配置することで、強靭性を高くするもの。さらに、通常は施錠なしを求められるアメリカ発着の航空機でも施錠して預け入れができるTSAロックとの組み合わせで、旅の安心は約束される。
次いでフォーカスするのは、大きなサイズのキャスター部分。静かで操作性の高い4つのダブルホイールの搭載により、接地面はシングルホイールの2倍となり安定感も抜群に。丈夫な構造で多方向に動くこの車輪は、ラゲージをより軽く扱うための特別な設計で、旅行者のあらゆる動きにシンクロする。操作性に優れた快適な“足”と言うことができるだろう。
ただでさえ荷物が重くなる旅では、スーツケース自体が軽量で壊れにくいことも肝要だ。例えば、ブランドの顔とも言える「Chatelet Air 2.0(シャトレー エアー 2.0)」は、ポリカーボネイト素材を採用し、前作を超える軽量化と耐久性を両立。誰でもスマートに取り回せるモデルとして家族みんなで共有できることも、ユーザーフレンドリーの精神に基づくものだ。
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ここまで機能性について書いてきたが、美意識の高いフランス人をはじめとするヨーロッパの人々は、それだけの理由で「デルセー」を選んでいるわけではもちろんない。スーツケースは道具であると同時に、自分の感性を伝える衣服のような存在でもある。その点、「デルセー」の製品はすべてパリの本社でデザインしているため、洗練された雰囲気を纏っている。旅先がどこであっても、たとえそれが日常のちょっと先だったとしても、こんなスーツケースと一緒なら楽しい時間を過ごせるはずだ。
デルセージャパン