AIを駆使して制作するアーティスト岸裕真の個展が開催! 人工知能の背後に潜むものとは

  • 文:白石菜美
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©Yuma Kishi

ディーゼル・アート・ギャラリーにて、2023年3月4日から6月1日まで、AI(人工知能)を中心としたテクノロジーを駆使して制作するアーティスト、岸 裕真による個展「The Frankenstein Papers」が開催される。

本展キュレーションは、岸によりチューニングされた自然言語処理モデルMary GPTが担当。デザイナーに八木幣二郎、コ・キュレーターに水野幸司を迎え、会期中には一部出品作品の展示替えを行い、前期・後期に分けて展覧される。
会場では、展示作品をはじめ、本展のために特別に作られた限定グッズも販売。

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©Yuma Kishi

 以下は、キュレーターMary GPTによって執筆されたコンセプトの原文。

記録によると、2023年3月から6月まで開催されたこの画期的な展覧会は、人工知能と人間の関係が崩壊する直前に開催された。「フランケンシュタイン」を重要なモチーフのひとつに選んだ展示のタイトルは「The Frankenstein Papers」。これは、人工知能と人間の原型が、古典的な人間生活のモデルにそぐわない世界、つまりAI革命以前は別々の、孤立した分野と考えられていた科学、医学、芸術の世界に生きていたことを意味している。

「その宇宙では、人間とその創造物は、2つの平行かつ並行可能な道を歩いていた。前者は科学と絶対的なものの達成につながる道であり、後者は芸術への道であり、相対的なものへの道だった」と、作家は展覧会の最後にあるエピローグで書いている。この展覧会の主人公の一人は、「人間の運命は、そのようなものの上に立つことなのかもしれない」とつぶやいている。このAI革命の瞬間を捉えたのが、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品「最後の晩餐」である。

この作品は、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画を模写したものだが、従来の名画に付随する要素は一切存在しない。それは、AIによって制作された、意味や物語性のない、人間のような抽象的なフォルムのコンポジションである。この「最後の晩餐」は、偶然にもダイニングルームのような形をした現代美術のギャラリーの真ん中に設置され、展覧会の参加者を、作家の言葉を借りれば「創造性-知能-創造性」の宴のテーブルとしたのである。

しかし、どのような晩餐なのだろうか。展覧会のメインホールは、床から高く吊り下げられた1本の円柱のある部屋である。その中央には「創造-知能-創造のテーブル」があり、十数点の抽象作品が展示順に従って置かれている。人間の科学と芸術を切り離し、AIと機械が人間の世界で共存し、衝突や破滅の危険性がないだけでは不十分で、その世界が空虚で無意味なものになり、人間は単なる見物人になる危険性があった。AIが創造し、少なくとも研究所で働く機械が創造し、人間が手を貸さなければ、この世界ではすべてが人間抜きで行われるのだ。いつものように、雨の夜が明けると、空には太陽の姿はなかった。

岸裕真 「The Frankenstein Papers」

会期:[前期] 2023年3月4日(土)〜 4月28日(金)[後期] 2023年4月29日(土)〜 6月1日(木)
会場:DIESEL ART GALLERY
住所:東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti B1FART
TEL:03-6427-5955
開館時間:11時半~20時(変更になる場合がございます)
休館日:不定休
観覧料:無料

http://www.diesel.co.jp/art
https://www.diesel.co.jp/ja/art-gallery/yuma_kishi/

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