絵本原画から映画ポスター、GUCCIとのクリエイションまで!圧倒的没入感のヒグチユウコのサーカスの世界

  • 文・写真:はろるど

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『ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END』からサーカステントエリア。

生き物や少女、キノコから、この世ならぬ不思議ないきものなどをモチーフに、空想と現実を行き交うような発想とタッチで作品を生み出す画家、ヒグチユウコ。2019年の世田谷文学館(東京)を皮切りに、神戸や愛知、福岡などで開かれてきた初の大規模個展は人気を集め、多くのファンの心を捉えてきた。そしていま、各地で展示された約500点の作品をはじめ、最新の仕事や未発表を含めた1000点をゆうに超える作品でヒグチユウコの画業をたどる展覧会が、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーにて開かれている。 

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『ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END』展示風景。所狭しと原画などが展示されている。ヒグチユウコのSNSによると「展示作品数えたら1490作品」とのこと。

赤い幕を潜り抜けた先に広がる世界とは?それがサーカステントによって鮮やかに彩られた「サーカス」をテーマにした空間だ。ここではヒグチユウコが背景を担当した「カカオカー・レーシング」の立体展示を中心に、「ヒグチユウコ画集 CIRCUS」に登場するイラストや描き下ろし原画などを公開し、ヒグチユウコの作品世界を存分に楽しむことができる。またその先にはデビュー作「ふたりのねこ」や「ギュスターヴくん」、それに「ほんやのねこ」など、これまでに発刊された絵本の原画が勢揃い。かわいらしくも、少し不穏な表情をした猫などの生き物のすがたに心が奪われる。

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上段の左から2番目は、映画『風の谷のナウシカ』「ヒグチユウコ×大島依提亜 映画のはなし」(白泉社『MOE』2020年12月号より引用)デザイン:大島依提亜
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『ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END』展示風景

一連の絵本に加え、映画のポスターやGUCCIとのクリエイションなど、さらに広がりを見せるヒグチユウコの仕事にも注目したい。このうち『風の谷のナウシカ』から『ミッドサマー』などさまざまなジャンルの作品を手がけた映画のポスターは、作品の特徴を引き出しつつ、耽美的でありながらグロテスクな味わいもあるヒグチユウコの世界観が滲み出ている。会場では壁を埋め尽くすように所狭しと作品が並んでいて、緻密でかつ時に鮮やかな彩色をともなった1点1点の原画などをつぶさに見ていくと、「とても1日では見切れない…」と思うほどに凄まじいまでのボリュームだ。

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『ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END』展示風景。トルソーの表面に細かく描かれた猫などのモチーフも楽しい。

このほかにも風神雷神をモチーフとした屏風や若冲の鶏を引用した掛け軸、それにこけし型の作品からゴシックテイストな洋服にトルソー、またアニメーションの展示と盛りだくさん。さらに全9会場で描き下ろされたメインビジュアルから、本展のための描き下ろしの大作『終幕』なども公開し、過去から現在までの創作が余すことなく堪能できる。展示は『FINAL END』、つまりここ森アーツセンターギャラリーが最終会場だ。巡回開始から約4年という旅路を経て、質量ともに大幅にスケールアップした圧倒的没入感の『ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END』を見逃さないようにしたい。

『ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END』
開催期間:2023年2月3日(金)~4月10日(月)
開催場所:森アーツセンターギャラリー
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
開館時間:10時~18時 ※金・土曜は20時まで。入館は閉館の30分前まで
会期中無休
観覧料:一般¥2,000 ※事前予約制(日時指定券)を導入。枠に余裕がある場合、会場でも当日券を発売
https://macg.roppongihills.com/jp
https://higuchiyuko-circus.jp