フランク・ロイド・ライトの未完の建築が蘇る...圧巻の美麗CG画像が公開

  • 文:青葉やまと
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20世紀を中心に活躍したアメリカ人建築家のフランク・ロイド・ライトは、ミース・ファン・デル・ローエやル・コルビュジエとともに、モダニズム建築の三大巨匠に数えられる。

没後60余年が経つ今も、世界に多くのファンが存在する。高さを抑え水平方向のラインを強調した「プレイリースタイル(草原様式)」の作品で有名だ。

ライトはまた、生前に設計しつつも着工に至らなかった数多くの建築デザインを遺している。このたび、スペイン人建築家のデビッド・ロメロ氏が、フランク・ロイド・ライト財団と共同で、こうした未完の建築物のレンダリング画像を製作した。

重厚な建築美が、実写と見まごうようなリアルな画像で表現されている。

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未着工に焼失…現存しないライト建築が蘇る

製作されたレンダリング画像は、イリノイ州の超高層タワー、プラネタリウムと展望台を兼ねたメリーランド州のゴードンストロング・オートモービル・オブジェクティブ、完成したが47年後の1950年に取り壊されたニューヨークのラーキン管理棟、落成翌年に焼失したアリゾナ州のローズポーソン邸などだ。

ほか、クライアントの要望を誤解していたため没案となったオクラホマ州のトリニティ教会、サンフランシスコの崖にせり出す予定だったモーリス邸、詳細な図面も用意されたが廃案となったイリノイ州のナショナル生命保険ビル、カリフォルニア州の浮き別荘、同州に計画された実業家のハンティントン・ハートフォード邸、同州のバタフライウイング橋、アリゾナ州の州議事堂がある。

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建築ソフトの練習のはずが……

画像を製作したロメロ氏は、米アート情報サイトのアートネットに対し、「建築用レンダリングソフトのスキルを向上したく、そのための取り組みをしたのがすべてのはじまりでした」と語っている。、

完成した作品をアマチュア向けのネット掲示板に投稿したところ、これが大変な好評を博した。ライト財団から氏のプロジェクトに関心があるとコンタクトがあり、共同でのプロジェクト実施に至ったという。

当初はライトの建築のなかでも傑作とされるラーキン管理棟から着手したロメロ氏だったが、あまりにも複雑であるため挫折しかけるという苦い経験をした。

よりシンプルなローズポーソン邸に着手し、スキルを積んだうえでラーキン管理棟に再び取り組み、その後も数々のライト建築に挑戦していったという。

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未完建築はなぜこうも魅力的なのか?

未完の建築は、なぜ私たちを惹きつけるのだろうか。英リバプール大学のニック・ウェブ上級講師(建築学)は、米メディアのカンバセーションに寄稿し、今回ロメロ氏がレンダリングした建築の多くは、もともと人を惹きつける目的でライトによってデザインされたとの見方を示している。

氏によると建築が未完となる理由には、大別して2つがあるという。1つめは何らかのやむを得ない事情により、建築家の意思に反して着工されない、あるいは工事が中断される場合だ。

具体的には、コンペに落選する、コストや技術面で高いハードルがあることが判明する、プロジェクトチームが入れ替えられる、地域や行政当局の反発を受けるなどの理由がある。

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難を逃れたサグラダ・ファミリア

こうした場合、建築家がすでに設計を終えているにもかかわらず、その意思に反してプロジェクトは中断に至る。

1880年代にガウディが手がけたサグラダ・ファミリアも、戦争の勃発と1926年のガウディ死去を受け、同じ運命をたどるおそれがあった。

しかしサグラダ・ファミリアの場合は幸運にも、ガウディ死去の時点ですでに40年以上もプロジェクトが進行していたことからキャンセルには至らず、今もなお建設が進められている。

いずれにせよ、こうした外部要因は、不幸な未完建築が発生する要因のひとつだ。ところがロメロ氏は、未完建築にはもうひとつのパターンがあると説明している。

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建築するための建築デザインとは限らない

ロメロ氏が明かす2つ目のパターンとは、そもそも建築家が着工を意図していないケースだ。

氏はわかりやすい例として、コンピューターゲームや大作映画を挙げている。こうした作品には凝った建造物が登場するが、いずれも入念にデザインされているにもかかわらず、現実世界で建設されることは意図されていない。

プレーヤーや観客を興奮させ、あるいは感動させることがその主目的だ。

現実世界のデザインを手がける建築家たちも、ときに同様に、見る者の感情をかき立てる目的でデザイン案を作成することがあるという。

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そびえる超構想ビルは完成可能だったか?

例として、ライトが1950年代に手がけた超高層ビル「イリノア」のデザイン案は、現在ドバイにそびえるブルジュ・ハリファにも匹敵するかのような超高層建築だ。

ロメロ氏は、設計当時の1950年代の技術では、このような高層建築が竣工可能だったとは思えないと指摘する。

ライトはおそらくそれを十分に理解しながらもなお、人々の想像力をかき立てる目的で、不可能な高層ビルのデザイン案を遺した。

なかには意図せず廃案の運命をたどった建築プランもあるものの、一方、はなから実現性を度外視し、空想を膨らませたデザイン案があるようだ。

実際には存在しないにもかかわらず、未完の建築はなおも私たちを強く惹きつける。まさにその心の動きこそが、ライトの思惑だったのかもしれない。

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