名和晃平による試展から中崎透まで Penが選んだ今月の展覧会2選

  • 文:青野尚子(アートライター)
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“祭り” から生まれた、アートの実態を検証する

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名和晃平『Orbit』(参考画像)。名和も18歳から白州に関わり続けた。

身体・労働・自然との関係から芸術を考える。そんなアイデアに惹かれた舞踊家の田中泯は1985年、山梨県白州に移り住み、都市と農村、創造と生活といった対立観念を乗り越えようと「祭り」を始める。この展覧会は『アートキャンプ白州』など名称や形を変えて20年以上、断続的に続けられた試みを検証するもの。“白州”に参加していた名和晃平がゲストキュレーターとなり、故・原口典之が構想していた『オイルプール』や遠藤利克のトリビュート作品などが熱いエネルギーを伝える。

『試展―白州模写「アートキャンプ白州」とは何だったのか』

開催期間:~23年1/15
会場:市原湖畔美術館
TEL:0436-98-1525
開館時間:10時~17時、9時30分~19時(土・祝前日)、9時30分~18時(日・祝) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、12/29~1/3
料金:一般¥1,000
https://lsm-ichihara.jp/exhibition/the_trace_of_hakushu

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水戸との関わりを作品化する、中﨑透の魅力に迫る

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『Beauty is in the eye of the beholder』2021年 photo: Masaru Yanagiba

さまざまなもののズレ、個人の記憶や物語をテーマに制作している中﨑透。妖しく光るネオンのオブジェ、空き家に残されていたもので構成した、家1軒を丸ごと使ったインスタレーションなど、作品の形は多様だ。この個展は中﨑の出身地であり、拠点にする水戸で行われるもの。彼の両親を含む、水戸や水戸芸術館に縁のある人々へのインタビューをもとにした文学的なインスタレーション、代表作である看板をモチーフにした「看板屋なかざき」など新旧の作品を一挙に見せる。

『中﨑透 フィクション・トラベラー』

開催期間:~23年1/29
会場:水戸芸術館
TEL:029-227-8111
開館時間:10時~18時
※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、12/27~1/3 ※1/9は開館、1/10休館
料金:一般¥900
www.arttowermito.or.jp

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※この記事はPen 2023年1月号より再編集した記事です。