Connectivity Standards Alliance(CSA)は現地時間の2022年10月4日、スマートホームの共通規格となる「Matter 1.0」をリリース。同時にMatter認定プログラムを開始した。

---fadeinPager---
スマートフォンから操作するスマート照明や電源プラグ、スマートロックにスマートTVなど、いわゆるスマートホーム家電は最近ますます増えてきている。AppleのSiriやGoogleアシスタント、Amazon Alexaなどの音声アシスタントに対応していることも多く、各社のスマートスピーカー経由で実際に操作しているという人もいるだろう。
ただ、こうしたスマートホーム製品は、メーカー毎に個別のアプリを使わなければならなかったり、Alexaでは使えるがGoogleアシスタントでは使えなかったりということもある。また、ネットワークに接続するために専用のハブを用意する必要があるものも多い。メーカー毎にハブを用意しなければならないので、できるだけ少ない数で済ませるために、消費者側がスマートホームのメーカーを統一するように気を付けなければいけなくなる。
こうした状況はとてもスマートと呼べるものではないが、これを解消するために考えられたのが、スマートホームの標準規格となる「Matter」だ。
Matterの中核を担っている団体、CSA(Connectivity Standards Alliance)は、以前はZigbee Allianceとしてスマートホームの通信規格Zigbeeを策定していた。スマート照明として有名なPhilips Hueや、AmazonのスマートスピーカーEchoシリーズがサポートしているので、Zigbeeの名前を見た、聞いたことがあるという人も多いのではないだろうか。
Philips Hueをネットワーク越しで使用するには、専用のブリッジ(ハブ)を用意する必要があるのだが、Zigbeeに対応した製品であれば、他メーカーの製品でも同じブリッジを利用できる。例えば、Philips Hueと比べて安価なIKEAのスマートライティング製品をPhilips Hueブリッジに接続して使用することも可能だ。
こうした互換性をさらに進めるために2019年12月、CSAとAmazon、Apple、Googleらが中心となり、スマートホームの統一された接続規格を目指す「Connected Home over IP(CHIP)」ワーキングループを結成。2021年に「Matter」に改名された。
---fadeinPager---

https://developer.amazon.com/en-US/blogs/alexa/device-makers/2022/11/matter-works-with-alexa-introduction-november-2022
では実際のところ、Matterによって何が変わるのだろうか。
簡単にいうと、先に挙げたような、こちらで使えてあちらでは使えない、照明はこのアプリ、スマートロックはこちらのアプリ…というような不便な状況が改善される。Matterに対応したデバイスであれば、メーカーや種類に関わらず1つのアプリで利用可能になるからだ。
もちろん、そのアプリがMatterに対応している必要があるが、AppleやAmazon、そしてGoogleもMatter対応を発表しており、SiriやAlexa、GoogleアシスタントからMatterデバイスを制御できるようになる。
消費者側からすると、スマートホームデバイスを購入する際に、Matterロゴが入っていればメーカーや互換性などを気にする必要がなくなる。また、メーカー側にとっても、これまでは各エコシステムに合わせて開発・調整をする必要があったが、Matterにさえ対応すれば済むようになるというメリットがある。Matterはロイヤリティフリー、つまり無料で自社製品に組み込むことができるので、製品開発期間の短縮やコスト削減も期待できるだろう。
ただ、こうした恩恵の効果はすぐに表れるものではない。標準規格として正式リリースされたMatter 1.0では、すべてのスマートホーム製品をカバーしているわけではなく、いまのところはスマート照明、スマートプラグ・スイッチ、スマートサーモスタット、スマートブラインド・シェード、スマートセンサー、スマートロック、スマートTVなどに限定されている。将来的にはセキュリティカメラやロボット掃除機などもサポートする予定となっている。
---fadeinPager---
いくら共通規格がリリースされたからといって、実際にMatter互換のデバイスが出てこないことには意味がないのだが、MatterにはAmazon、Apple、Googleのほか、Samsung、Signify(Philips Hue)など280を超える企業が参加している。また、Matter自体、BluetoothやWi-Fi、Threadといった既存技術の上で実行されるもので、特別なハードウェアを追加する必要はない。このため、メーカーやデバイスにもよるのだが、アップデートによりMatterに対応することが可能なようだ。

また、Matter 1.0のリリースにあわせて、Matter対応デバイスの認定プログラムも開始されている。アップデートはこの認定を受けると可能になるとのことだ。また、そうした製品ではMatterログも使用可能となる。なお、認定デバイスはCSAのサイトで確認でき、Philips Hueのブリッジがすでに認定済みとなっていた(参考サイト)。

今後、Matter認定を受けた製品が多数市場に出てくるには、しばらく時間がかかるかもしれないが、組み合わせをあれこれと悩む必要はなくなっていきそうだ。
---fadeinPager---
---fadeinPager---

---fadeinPager---

https://developer.amazon.com/en-US/blogs/alexa/device-makers/2022/11/matter-works-with-alexa-introduction-november-2022
---fadeinPager---

---fadeinPager---
