「Google Pixel Watch」の登場でスマートウォッチ市場はどう変わる? アップルの牙城を崩せるのか

  • 文:山本竜也

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Googleは10月、同社初となるスマートウォッチ「Pixel Watch」を発売した。Pixel Watchは最新のWear OS 3を搭載し、Wear OSスマートウォッチとしては初めてSuicaに対応している。ちなみに、Pixel Watch以外でも、Wear OSでのNFC決済が日本国内でも解禁されており、Fossil Gen 6やGalaxy Watch 4/5などでもVISAタッチ決済が利用可能となっている。

そんなPixel Watch、日本国内だけではなく海外でも大きな話題となっており、現在のスマートウォッチ市場にどの程度の影響を与えるのかが気になるところだ。

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Google Pixel Watch

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スマートウォッチ市場は、Apple Watchの登場以来、Appleの一強状態が続いている。市場調査会社Counterpointのデータによると、2022年第2四半期の出荷台数別シェアではAppleが29.3%でトップ、Samsungが2位で9.2%。スマートウォッチの世界シェアでは、長らくHUAWEIが2位に着けていたのだが、米国によるHUAWEIへの制裁の影響もあってか、2021年からはSamsungがほぼ2位を維持するようになっている。ただ、1位のAppleと2位のSamsungでは常に2倍~4倍の開きがあり、この差は簡単にひっくり返りそうにはない。

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https://www.counterpointresearch.com/india-smartwatch-market-takes-second-spot-first-time-q2-2022/

ここまでAppleが強いのは、Apple Watchが優れたスマートウォッチなので売れているということはもちろんのこと、その製造をAppleだけが行っているということも関係している。というのも、Wear OS搭載スマートウォッチは、SamsungやFossilなど多数のメーカーが製造しているため、メーカー別に見るとシェアが分散してしまうのだ。

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では、スマートウォッチのOS別にシェアを見るとどうなるだろうか。

2021年第3四半期のデータとなるが、watchOSが21.8%に対し、Wear OSが17.3%と盛り返している。これは、2021年8月(日本では9月)にSamsungが発売したGalaxy Watch 4がTizen OSからWear OSに切り替わったためと考えていいだろう。メーカー別シェアで長年2位に着けているSamsungがWear OSを採用した影響は大きい。

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引用:https://www.counterpointresearch.com/wear-os-share-surges-samsungs-highest-quarterly-smartwatch-shipments-q3-2021/

とはいえ、2位のSamsungと1位のAppleでは、シェアの差が大きいのは冒頭にも書いた通りだ。2021年第3四半期のデータを見る限り、Wear OSのシェアはSamsungのシェア(14.4%)に3%ほど上乗せした程度。2022年第2四半期のシェア(Apple 29.3%、Samsung 9.2%)を考えると、ここにPixel Watchが加わったとしても、Wear OSのシェアがAppple Watchのシェアを上回るとは考えづらい。

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世界のスマートウォッチ市場は、2020年こそ新型コロナウイルの感染拡大により振るわなかったが、年々増加傾向にはあり、2022年第2四半期は前年同期比で13%の成長となっている。この成長傾向は今後も続くと考えられているので、Pixel Watchが新規ユーザーを引き付ける可能性はある。

ただ、スマートウォッチの最大市場である北米では、iPhoneのシェアが高い。これまでのWear OSスマートウォッチとは違い、Pixel WatchはiPhoneでは利用できないので、iPhoneユーザーがPixel Watchを使おうと思うと、Androidに乗り換えなければならない。Pixel Watchのためにそこまでする人は少ないだろう。iPhoneユーザーなら、第一にApple Watchを検討するはずだ。

結局のところ、Wear OSがシェアを伸ばすには、統計上で「Other」と分類されてしまう無数の、そして無名のメーカーのスマートウォッチを利用しているユーザーを取り込む必要がある。ここはAppleが対象としていないゾーンでもあるので、リーチできればWear OSのシェアは一気に伸びるだろう。ただ、このゾーンのスマートウォッチは安価なものが多い。2022年第2四半期に世界市場で2位となったインド市場では、販売されたスマートウォッチのうち、30%が50ドル未満とのことだ。この価格帯のWear OSスマートウォッチはさすがに厳しいかもしれないが、Googleは、廉価版シリーズとしてスマートフォンやイヤホンで「Aシリーズ」をリリースしている。この先、価格を抑えた「Pixel Watch A-Series」の登場も期待したいところだ。

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Google Pixel Watch

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引用:https://www.counterpointresearch.com/india-smartwatch-market-takes-second-spot-first-time-q2-2022/

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引用:https://www.counterpointresearch.com/wear-os-share-surges-samsungs-highest-quarterly-smartwatch-shipments-q3-2021/