「ゆでる時間はたった2分…」まったく新しいパスタ調理法“パッシブ・クッキング”とは?

  • 文:designboom

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イタリアの食品メーカー、バリラ(Barilla)は、「2分」が大きな違いを生むと考えている。そこで同社は、スマートホームデバイス「Passive Cooker(パッシブ・クッカー)」をつくった。パスタを2分間だけ茹で、「Passive Cooking(パッシブ・クッキング:火を止めて余熱で調理する方法)」を利用して調理を完了させるためのツールだ。

使うには、おもちゃのような見た目のそのデバイスを鍋の蓋に取り付け、スマートフォンと連携させる必要がある(スマートデバイスなので、アプリがあるのだ)。お湯が沸き、水蒸気が小型デバイスの中にあるチップに届くと、スマートフォン経由でお湯が沸いたことを知らせてくれる。

沸いたお湯のなかにパスタを投入する。2分経過すると、今度はコンロの火を消すよう通知がくる。消したら、蓋をしたまま、しばらくそのまま待つ(どのくらい待てばいいかは、パスタの種類によって違う)。あとは、茹で上がったパスタを食卓に出して食べるだけ。パッシブ・クッキングは成功だ。3Dプリントされたデバイスからアプリ経由で通知をもらえるので、それまでの間、日常の活動を続けることができる。

つまり、バリラのパッシブ・クッカーは上司のようなものだ。パスタを茹でるためにキッチンをうろうろしながらソーシャルメディアの短い動画を見たりせず、パスタについては機械に任せて、さっさと仕事を終わらせなさい、と言っているわけだ。

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画像提供:バリラ

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自分のパッシブ・クッカーをつくることも可能

自分だけのバリラ・パッシブ・クッカーをつくりたい人もいるだろう。独自のデザインにしたい人や、元の大きさだと自分の鍋の蓋につけるには小さすぎる、という人もいるかもしれない。そこでバリラは、つくり方をオープンソース化し、ファイルをウェブサイトにアップロードしている。ゆえに、自分だけのパッシブ・クッカーをつくって試すことができる。

「私たちは、このプロジェクトをオープンソースにして、誰もが同じものをつくり、希望すれば改良もできるようにしたいと思いました」とバリラ。同社はパッシブ・クッカーについて、ユーザーが正しい手順とタイミングに従ってパッシブ・クッキングの手法を取り入れるのに役立つスマートな解決策だと考えている。

バリラはこのデバイスを設計し、試作機を開発し、オープンソースのプロジェクトとして市場に出すことに決めた。だから、「誰もが私たちの製品をもとに組み立て、地球環境のために改良することもできる」のだ。

機械マニアではない人のために説明すると、現行のバリラ・パッシブ・クッカーは、100%生分解性のフィラメントを使って3Dプリントしたケースと、単4電池、温度センサー、Arduinoボード(マイコンボード)があれば力を発揮する設計になっている。このデバイスは、専用のモバイル・アプリケーションと接続することによって機能する。

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パッシブ・クッカーは、専用のアプリを介してスマートフォンと接続される。

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バリラは、なぜパッシブ・クッカーをつくったのか

まず、パスタはイタリアの「聖杯」...とまではいかなくても、誰もが追い求めてやまないものだ。だから、正しくきっちり調理することは絶対条件。すべての調理方法がそうだが、パスタも正しいタイミングに従うことが極めて重要だ。

一方バリラは、後述する理由で、従来の調理法に代わる「パッシブ・クッキング」を広めようとしている。そこで、パスタ好きの人たちがこの手法を取り入れやすくするために、テクノロジーを用いたスマートなデバイスを開発したわけだ。

2分間加熱したあと火を止めるパッシブ・クッキングは、19世紀半ばからあったもので、エネルギーの節約になる。バリラによると、パスタを茹でるときに代替手段としてパッシブ・クッキングを使えば、従来の方法と比較して最大80%の炭素排出量を削減できるという。今やバリラがこのテクニックを現代に復活させるテクノロジーをもたらしたのだから、人々は徐々にこの方法を調理に取り入れるようになるだろう。

「世界ではおよそ1600万トンのパスタが製造されています。言いかえれば、毎日約4億食のパスタが提供されているわけです。もし大勢の人がパッシブ・クッキングを取り入れたら、地球環境に大きな影響があるでしょう」とバリラは書いている。

同社は、パッシブ・クッキングをしたときに、すべての種類のパスタが同じような茹で加減になるわけではない、と但し書きをつけている。パスタの種類によって、同じ調理時間(火を切ったあとの待ち時間)でいいものや、変えなければならないものがあるのだ。バリラのウェブサイトには、ユーザーが正しいタイミングを見測れるよう、パスタごとの調理時間(2分茹でたあとで火を切ったあとの待ち時間)の表がアップロードされている。

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バリラによると、パッシブ・クッキングをすれば、最大80%の炭素排出量を削減できるという。
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バリラはウェブサイトに、オープンソースのファイルをアップロードしている。
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パッシブ・クッカーの販売時期については、今後バリラから発表される。

プロジェクト情報:

名称:Passive Cooker(パッシブ・クッカー)

企業名:バリラ

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※この記事はdesignboomからの提供です。

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画像提供:バリラ

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パッシブ・クッカーは、専用のアプリを介してスマートフォンと接続される。

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バリラによると、パッシブ・クッキングをすれば、最大80%の炭素排出量を削減できるという。
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バリラはウェブサイトに、オープンソースのファイルをアップロードしている。
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パッシブ・クッカーの販売時期については、今後バリラから発表される。

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