「#Me Too」運動のきっかけとなったハーヴェイ・ワインスタイン、裁判で卑劣な手口が次々明らかに

  • 文:さかいもゆる

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被害を告白したグウィネス・パルトロウ。

2017年に急速に拡大した「#Me Too」運動のきっかけとなった、ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン事件。その後、ワインスタインは2018年5月に強姦と犯罪的性行為、及び性的虐待で逮捕・追訴され、すでにニューヨークでの有罪判決で23年の禁錮刑に服しているが、現在控訴中で、ロサンゼルスでは4件のレイプと7件の性的暴行について無罪を主張する裁判が現在続行中だ。裁判では、そのおぞましい内容が被害者たちの証言によって次々に明らかになった。

ワインスタインはこれまで自分の権力を笠に着て、多くの女性たちにセクハラや性暴力を振るってきたが、多額の示談金や脅しによって被害者たちは沈黙するしかなかった。それを暴いたのが、2017年10月にネット上で公開された、米『ニューヨーク・タイムズ』紙のスクープ記事だ。有名女優を含む10数名の被害者たちの証言によりワインスタインの悪事が明らかになると、そこから次々に過去に被害に遭ったハリウッドセレブたちが名乗りを上げ始めた。グウィネス・パルトロウにアンジェリーナ・ジョリー、サルマ・ハエックなどの大御所女優たちもSNSなどで被害を告白し、映画業界の闇深さが浮き彫りに。ここから、セクハラや性被害に遭った女性たちがSNSで「#Me Too(私も被害者よ)」とハッシュタグをつけて声をあげることで世の中を変えて行こうという「#Me Too」ムーブメントが広まったと言われている。

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被害者が震えながら証言台に…

今回のロサンゼルスでの裁判では、ワインスタインに暴行を受けた8人の女性たちが証言台に立つ予定。10月27日には、当時22歳だったダンサーのアシュリー・Mが、彼女がスタント役を務めた映画『ダーティ・ダンシング』の撮影期間に、ワインスタインから性的暴行を受けたことを証言。映画の制作会社社長だったワインスタインのアシスタントから、ワインスタインが滞在するホテルで、新しい映画のプロジェクトについて相談したいと呼び出されたアシュリー・Mは、ワインスタインの部屋に連れて行かれたという。

「アシスタントが私たちの後ろでドアを閉めてしまい、私は怖くなって泣き出しました」。するとワインスタインは突然彼女をベッドに押し倒し、上着を脱いでから上に跨ってくると、彼女の「やめてください」という懇願を無視したまま、マスターベーションを始めたのだ。

震えながら証言台に立ち、証言の前に泣き出してしまったことを何度も裁判官に謝罪したアシュリー・M。こんな屈辱的な経験をワインスタイン本人も居る法定で証言するのは、どんなに辛く、勇気のいることだっただろう。

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アシュリー・Mはこれ以外にも、ある日撮影のセットにワインスタインが現れて彼女に裸でマッサージをするように告げたことを証言。その際に彼女が「自分には婚約者が居るし、セットに戻らなければ」と断ると、ワインスタインは「この撮影のボスは私で、セットに誰が必要かは私が決める」と言い放ったが、ちょうどそのとき昼休憩のベルが鳴って救われたこと。ランチタイムにほかのスタッフに相談したら、誰もがワインスタインを恐れ、関わりたくないという態度を示したため、自分は孤立無縁の状態だと絶望したことなどを語った。

また、別の日の裁判ではニューヨーク市警のおとり捜査に協力した、アンブラ・バティラナ・ギテレスが証言台に。2015年にワインスタインから性的暴行を受けたというこの女性は、ワインスタインが彼女をホテルの部屋に連れ込んだ際、「私をこのホテル内で恥ずかしい立場に追い込まないように。ここは私の常宿なのだから。5分でいいんだ、たった5分の我慢で私との友情を台無しにしない方がいい」と、彼女のキャリアを手助けするのと引き換えに性的関係を迫る肉声を録音した音源を、陪審員たちに証拠として提出した。ギテレスによれば、ワインスタインは彼女の身体を弄りながらこれらのセリフを口にしたという。

「私を信用しないのなら、私たちが一緒に何かをする理由もなくなる。そうすれば君はこの業界で成功する大きなチャンスを失うことになるんだよ」。ハリウッドのドンという立場と権力を利用した、何とも卑劣なやり口だ。

先述の被害者、アシュレイ・Mは、2017年に『ニューヨーク・タイムズ』紙がワインスタイン事件を告発した記事で被害を証言した女性でもある。彼女のような性犯罪の被害者が、実名でこのような記事に取材協力するのは珍しいことだ。しかし彼女が名乗り出たことで、業界中の女性たちが勇気を持ってセクハラを訴えられるようになった。その功績は計り知れない。そして今、彼女は法定でこう述べる。「私はひとりではないのだと思えたことで、気持ちが楽になりました」

「#Me Too」は、「あなただけではない」と、性犯罪被害者たちが励まし合う絆。厚かましく控訴を続けるワインスタインが、適切で公正な裁きを受けることを、心から願う。

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【画像】「#Me Too」運動のきっかけとなったハーヴェイ・ワインスタイン、裁判で卑劣な手口が次々明らかに

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