サンローランを体現する、ベティという女性の魅力

  • 文:川上朋子

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イヴ・サンローランの“片割れ”とまで言われた女性、ベティ・カトルー。彼女の軌跡を追うと、メゾンの歴史も見えてくる。

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イヴ・サンローランの2018年フォールコレクションで、意外にも初めてキャンペーンモデルを務めたベティ・カトルー。撮影はデイヴィド・シムズが担当。photo: ©David Sims

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弱冠21歳の若さでディオールの後継者に抜擢され、華々しくデビューしたイヴ・サンローラン。その後、1961年には自らのメゾンを設立し、オートクチュール界に旋風を巻き起こした。ピーコート、パンツなどクラシックなメンズウエアを女性用にアレンジし、女性向けのタキシードで革命を起こしたのもこの頃だ。そんな激動の時代を生きたイヴ・サンローランが、67年に運命的に巡り合った女性がベティ・カトルー。当時、モデルをしていたベティとは、パリのナイトクラブで出会い、シャイな性格で有名だったイヴが友人に頼んで、自分の席に彼女を誘ったのが始まりだった。

「イヴの一目ぼれだった。私の見た目にね。私は中性的で、性を越えた存在だった。それが彼を惹きつけたのは間違いないけれど、共通点は見た目だけではなかった。モラルやメンタルの面でも似ていたの。そこが驚きよね。彼のすごいところは、私がこんなに息の合うソウルメイトになるということを見抜いたことよ」と、ベティはイヴとの出会いを振り返る。

183cmの長身に華奢な骨格。そしてまばゆいばかりのブロンドヘアのベティは、まさにアンドロジナス。イヴ・サンローランが追い求めた女性像そのものだった。彼は、ベティを自らの“分身の女性”と呼ぶほどの関係を築き、その親密な距離感は、イヴが亡くなるまで続く。

すべてにおいて自由奔放な女性ベティ・カトルーは、イヴ・サンローランの想像力をかき立て、やがて彼は、まさに20世紀を代表するファッションデザイナーの一人となっていく。

「イヴは彼がつくった服を次々と届けてくれた。でも彼はいつも、私の着たいように自由に着せてくれた。スタイルはいつもシンプル。タキシード、パンツ、レザージャケット。すべて黒」

そう語るベティは、彼女の膨大で貴重なコレクションをピエール・ベルジェ=イヴ・サンローラン財団に寄贈した。今回、そのコレクションを軸に、いまでもメゾンのスタイルに影響を与えているキーピースをセレクトして展示した展覧会、『BETTY CATROUX-YVES SAINT LAURENT 唯一無二の女性展』が東京で開催される。この展覧会の監修をしたサンローランの現クリエイティブ・ディレクター、アンソニー・ヴァカレロは、こう語る。

「ベティはサンローランのスピリットを体現する女性。魅力的でミステリアス、不埒とも言える側面をもち、みんなが憧れる存在。メゾンのオーラを形成するすべての要素を強烈に纏っている」

現在のメゾンを牽引する彼とも友好な関係を続けるベティがいまも貫くサンローランスタイルをぜひ、体感したい。

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80年代パリの街角で。ベティはパンツスタイルを好み、ジュエリーはあまり着けなかった。photo: Saint Laurent Paris ©︎ All rights reserved

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80年、パリのナイトクラブ、ル・パレスにタキシード姿で現れたベティとイヴ。photo: Saint Laurent Paris © All rights reserved

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イヴのもう一人のミューズ、ルル・ド・ラ・ファレーズ(左)とともに。イヴの自宅にて。photo: © Guy Marineau

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イヴ・サンローランのファッションショーでは、最前列の常連だったベティ。74年のショーにて。photo: © Jane Evelyn Atwood/Agence VU’

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東京の展覧会会場。黒で統一された世界観の中、豊富な写真や映像、貴重なコレクションなどが見られる。

『BETTY CATROUX-YVES SAINT LAURENT 唯一無二の女性展』

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2022年11月19日(土)〜12月11日(日)
東京・天王洲 寺田倉庫 B&C HALL / E HALL
10時〜19時 ※入館は閉館の40分前まで。事前予約制
無休 入場無料
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