【東京クルマ日記〜いっそこのままクルマれたい〜】 第161回“アコースティックな感性が息づくアメリカンSUVには、心和ませる木の温もりがあった”

  • 写真&文:青木雄介
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試乗車のサミットリザーブはグランドチェロキーの最上級グレード。

3列シートの「グランドチェロキーL」。めちゃくちゃよいですよ。2家族乗せて軽井沢に行ったんだけど、3列目のスペースも十分で大人も快適。インテリアもオープンポアのウッドパネルに温もりのある音が特長のマッキントッシュのサウンドシステムで、アコースティックな感性が刺激される一台。5代目となるグランドチェロキーの醍醐味は名シリーズ、ワゴニア系アメリカンSUVってことに尽きるね。

実際にエクステリアも1963年に発売され、30年近く続いたSJ型をモチーフにしているんだけど、ワゴニアの不文律は「アメリカ人が理想とするファミリーのためのSUV」なのね。夏は子どもたちをキャンプに連れて行き、クリスマスは山荘で過ごすような、暮らしに大自然が入ってくるライフスタイル。

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フロントにはジープ伝統のセブンスロットグリルとともに、逆スラント型のフォルムを与えることでワゴニアの血統を印象づける。

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アメリカで数々の賞にノミネートされた人気家族ドラマ『ディス・イズ・アス』には、グランドワゴニアが家族のクルマとして登場する。ストーリーの中心になるピアソン家の父親ジャックは亡父の虐待や、ベトナム戦争での経験に苦しみながらも、妻や子ども、そして養子にした人種の違う孤児にも変わらぬ愛情を注ぐ、アメリカ人として敬愛されるべき人物。そんなジャックが経済的に無理をしてでも、「家族の幸せのために欲しい」と憧れ、手に入れるのが1991年製のグランドワゴニアなんだ。

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広大なパノラミックサンルーフが車内に陽光を届ける。

外装にはウッドパネルがはめこまれ、60年代の古めかしい姿形そのままのクルマなんだけど、そこにはアメリカの心が込められている。見るからに頑丈で、乗ればアメリカの偉大なる建国の精神に触れていると感じられ、「自分をアメリカ人だ」と心の底から感じられるのね。

ネルシャツやV8エンジンの音と一緒で、これは理屈じゃないんだ(笑)。この新しいグランドチェロキーは現代的に洗練されているけど、フルサイズSUVとしての堂々とした体格をもち、現代に生きるアメリカ人のアイデンティティを満足させる1台だろうと思う。3.6リッターV6エンジンはノンターボなのにとてもトルクフルで軽快な走り。モノコックボディで6人乗せていても高速の伸びや直進安定性も抜群で、走りは昔のグランドワゴニアとは正反対ですよ(笑)。

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キルト風に仕立てらえたパレルモレザーと余裕の空間が実感できるインテリア。

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最上級グレードは6人乗り。2列目が独立したキャプテンズシートになっている。

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でも広々としたキャビンと余裕のスペースは同じでしょ。エアサスの乗り心地も快適で、長時間乗っていた3列目の家族に訊いても不満は聞かれなかった。「ありがとう、グラチェロ」って感謝しちゃうぐらい、ハンドルを握った充足感を得られるんだ。

なにより本革にウォルナット材を組み合わせたインテリアは優しい美意識があり、子どもに無垢材のブロックを選ぶ感覚ととても似ている。クルマとしても運転すればするほど道具として自分になじんでいく感覚があり、愛着のアコースティック楽器みたいに離れられなくなる感覚が生まれる。

 この感覚は、キャンプにお気に入りのアコースティックギターをもち込む感覚に通じると思ったね。大自然にふさわしいクルマを選べばこうなるって必然があって、ちゃんと愛着を持たせるホスピタリティがある。そしてそれが美意識としてとてもアメリカ的に確立されている。

特にキャンプ好きではない自分はそのアコースティックな感覚に感動しつつ、マッキントッシュのサウンドシステムでロビー・ロバートソンのスチールギターをずっと聴いていたかった。そこは誰にとっても自分の部屋のように居心地のよい場所。もっと言えば家族が集まるリビングって感覚に近い。そんなクルマの担うべき役割は「なにも変えられていない」と確信したんだ。

いよいよ来年、グランドワゴニアがその名前で30年ぶりに復活する。さらにその先にはワゴニアとしてEVが発売される予定なのね。個人的に期待するテーマはEV時代のアコースティックな手触り。そのときはV8モデルとEVモデルの違いを確かめたいね。

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オープンポアのクルミ材を使用した温かみのあるウッドパネル。

ジープ・グランドチェロキー L

サイズ(全長×全幅×全高):5200×1980×1795㎜
排気量:3604㏄
エンジン:V型6気筒DOHC
最高出力:286PS/6400rpm
最大トルク:344Nm/4000rpm
駆動方式:4WD(四輪駆動)
車両価格:¥11,320,000
問い合わせ先/ジープフリーコール
TEL:0120-712-812
https://www.jeep-japan.com/

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フロントにはジープ伝統のセブンスロットグリルとともに、逆スラント型のフォルムを与えることでワゴニアの血統を印象づける。

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広大なパノラミックサンルーフが車内に陽光を届ける。

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キルト風に仕立てらえたパレルモレザーと余裕の空間が実感できるインテリア。

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最上級グレードは6人乗り。2列目が独立したキャプテンズシートになっている。

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