“オロポ”がビールに!? 全国サウナ物産展オリジナルクラフトビール、ととのいました

  • 写真・文:岩田リョウコ
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「現実的じゃないかもしれないですが、サウナ物産展でクラフトビール出せたら最高じゃないですか?」


そう提案してくれたのは『サウナを愛でたい』『マグ万平ののちほどサウナで』でおなじみのプロデューサー柳橋弘紀さん。9月10日(土)〜25日(日)東急ハンズで開催される「全国サウナ物産展」の実行委員会のひとり。この言葉からすべてがはじまりました。


前回書いたように、クラフトビール本の共著者でミュージシャンのスコット・マーフィーさんにアドバイスをもらって、Be Easy Brewingのギャレス・バーンズさんに一緒につくってもらうことになりました。

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この3人でつくりました!

スコットさんはアメリカで自家醸造をずっとしていて、自家醸造のコンペでも優勝したことがあるビールづくりの腕前はプロ。そしてわたしのわがままな提案のビールをつくれる+サウナが好き+ブルワリーとして白羽の矢がたったギャレスさん。この3人でレシピ作りからはじめました。


まずどんなビールをつくるかです。サウナが好きすぎる人たちに「クラフトビールってこんなことできるんだ」とわかってほしい。さらには「クラフトビールってこんなにおいしいんだ」とも思ってほしい。今流行りのHazy IPAにするか。はたまたさっぱりした酸っぱみのあるサワーエールにするか。いろいろ考えていたある日。アイディアが突然降ってきました。


「オロポビール!」


サウナ上がりに愛されている飲み物「オロポ」。オロナミンCとポカリスェットを混ぜたものです。そんなオロポをビールで再現できたらおもしろいのではと考えてスコットさんとギャレスさんに相談。まずふたりにはオロポを飲んでもらって意見を聞いてみました。


するとプロのふたりですから、すぐに「このホップを使えばシトラス出せる」とか「麹を使えばクエン酸で酸っぱみもでる」など化学実験のような会話が飛び交い、温度設定から発酵時間など微調整をしながら試作品を一度仕込んでみて改善を加えること一カ月。「オロポエール」のレシピが完成!アルコール度数はちょうど3.7%になるようにレシピを調整しました。


「せっかくだからもう1つ、つくりたいかも!」というわたしのわがままにこれまた「やりましょう!」とすぐ乗ってくれたふたり。わたしはもともとコーヒーが好きで、ビールはまったく好きではなかったのですが、コーヒースタウトを飲んだことで「これがビールなのか!」と革命が起きました。それでクラフトビールにはまったということもあって、自分の原点に戻ることと、のどごしさっぱりのビールに慣れている人に「こんなデザートみたいなコーヒーのビールできるんだ」と思ってほしくて、甘みのあるコーヒーミルクバニラスタウトで行きたいなと思いました。


甘み……あまみ……!あまみっ!サウナで皮膚に出てくるあの模様「あまみ」!最高のサウナに入った時にだけ出てくるご褒美であるあまみ……。コーヒースタウトもそんなご褒美ビールであってほしいという思いから名前を決定。


「あまみスタウト!」

実際にコーヒー豆をビールに漬け込んでつくりたくて、サウナの本場であるフィンランドの豆をどうしても使いたかった。それで相談したのが、主にフィンランドのロースタリーのコーヒーをサブスクリプションで日本に届けている「SLURPさん。

大急ぎでフィンランドから関税を通って問題なく日本に届くようにSLURPの日本担当の猪狩さんがフィンランドの国全体が絶賛夏休み中のフィンランドのスタッフに猛烈にプッシュして送ってくれたのはフィンランドでも大人気のロースタリー「FRUKTの豆1.5キロ!

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SLURPさんのおかげでたった1週間でフィンランドから豆を輸入できました


SLURPさんがいなかったら、あまみスタウトは生まれてなかったです。フィンランドのコーヒーを使えて本当によかった!SLURP猪狩さんありがとうございました。

ちなみにフィンランドのコーヒーが飲みたいコーヒー狂のみなさん、SLURPでフィンランドから直輸入サブスクできます。


というわけでオロポエールはゴーゼというスタイル、そしてあまみスタウトはコーヒーバニラミルクスタウトというスタイル。この2種類のビールを仕込むためにBe Easy Brewingのある青森は弘前市へ!

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早朝6時。朝から力仕事スタートです

仕込みは朝の6時から。スタウトの煮沸時間はモルトのあまみをたくさん出すためになんと4時間以上。


ビールの基本的な仕込み過程は以下の通り。

① 糖化(麦芽をお湯に浸してデンプンを出す)

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麦芽(モルト)とお湯をまぜてお粥みたいな状態にします

② ロータリング・スパージング(ろ過して麦汁だけを取り出します。最初の麦汁が「一番絞り」!)

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均等にお湯が通るように混ぜます

② 煮沸(苦味のホップを入れて煮込みます)

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甘い香りの中にホップの苦味を感じる湯気が立ち込めます

③ 冷却(酵母が働ける温度まで一気に下げます)

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サウナでもお馴染みの「チラー」にビールを通して循環させて温度が下がるのを待ちます

④ 発酵(酵母を入れてアルコールと炭酸を発生させます)

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発酵タンクの上から酵母をドカドカ入れます

つくるスタイルによって入れる材料やそれぞれの時間が変わってきます。発酵が止まったら1ヶ月ほど貯蔵して寝かせて完成です。


コーヒースタウトが発酵タンクまで行ったら、次はオロポの仕込み。トロッとした黒いビールからさわやかな黄色いビールまでを1日でつくるというのは、なかなかのハードモード。しっかりと洗浄、消毒をして同じ仕込み工程をはじめます。

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重たい麦芽の袋を抱えてタンクに入れるのは重労働

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こうして12時間以上かけて仕込んだ2種類のビール。ギャレスさんのこれまでのビールづくりの経験のおかげで、かなりチャレンジングな3.7%のオロポビールと7.3%のデザートビールであるあまみスタウトが完成。

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長時間の煮沸を待っている間に津軽三味線を弾いてくれたギャレスさん


ギャレスさんに加えてBe Easyのブルワーである中林さんもつきっきりでこのビールを仕込んでくれました。途中でコーネリアスの『サウナ好きすぎ』を口ずさんでいたのをわたしは聞き逃しませんでした!結局みんなサウナ好きなんじゃん〜!(笑)

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タンクの中に入って汗だくで掃除をしている中林さん。人間ってタンクに入れるんだって知りました!

考案からレシピ、仕込み、そしてラベルの作成まですべて自分でつくったビール。自分でも感激しています。このビールの実現のために動いてくれたすべての人に大感謝です。

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サウナ好きのみなさん、わたしたちが3カ月かけてつくったオロポを再現したオロポゴーゼとフィンランドのコーヒーを使ったあまみスタウト、東急ハンズ新宿店の全国サウナ物産展9月10日から販売です。楽しみにしていてください!(遠方の方、なんとか買える方法考えますね)

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十和田サウナでしっかりととのってきました

ちなみに9月10日(土)の初日は、青森からギャレスさんが来てくれるのでふたりで物産展会場にいるつもりです。ぜひお話しに来てください!

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岩田リョウコ

文筆家、イラストレーター

コロラド大学大学院東アジア言語文明学科卒。2009年から外務省専門調査員として在シアトル総領事館勤務。在米中に出版した『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』がベストセラーとなり世界5ヵ国で翻訳出版されている。サウナ愛好家でもあり、フィンランド政府観光局サウナアンバサダーに任命されている。著書に『週末フィンランド』、『エンジョイ!クラフトビール』、『コーヒーがないと生きていけない!』、『HAVE A GOOD SAUNA!』がある。
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岩田リョウコ

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コロラド大学大学院東アジア言語文明学科卒。2009年から外務省専門調査員として在シアトル総領事館勤務。在米中に出版した『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』がベストセラーとなり世界5ヵ国で翻訳出版されている。サウナ愛好家でもあり、フィンランド政府観光局サウナアンバサダーに任命されている。著書に『週末フィンランド』、『エンジョイ!クラフトビール』、『コーヒーがないと生きていけない!』、『HAVE A GOOD SAUNA!』がある。
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