北欧デザインから仏教学者・鈴木大拙まで。Penが選んだ今月の展覧会2選

  • 文:川上典李子(ジャーナリスト)
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巨匠たちのデザインを通して知る、北欧デザインの新たな魅力

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フィン・ユール『イージーチェアNo.45』1945年デザイン 織田コレクション(東川町) 撮影:大塚友記憲

北欧デザインを代表する作家のひとり、フィン・ユール(1912-89年)。彼が手がけた家具はやわらかなフォルムと洗練されたディテールで、彫刻さながらの優美さだ。建築を学んだ彼の美意識はオードロップゴーに残る彼の自邸を訪ねれば瞬時にわかる。設計段階で描いた水彩画も魅力的だ。コーア・クリントをはじめ、デンマークの家具デザインの変遷をたどりながらフィン・ユールの魅力に迫る本展。椅子研究者・織田憲嗣の貴重なコレクションをまとめて目にできる機会としても見逃せない。

『フィン・ユールとデンマークの椅子』

開催期間:~10/9
会場:東京都美術館
TEL:03-3823-6921
開館時間:9時30分~17時30分 ※金曜は20時まで、入室は閉館30分前まで
休館日:月曜日、9/20 ※8/22・29、9/12・19・26は開館 
料金:一般¥1,100
www.tobikan.jp/finnjuhl

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現代アートの源泉ともなった、導師の教えと表現の系譜

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ジョン・ケージ『マルセルについて何も言いたくない』1969年、ワタリウム美術館蔵

1870年に金沢に生まれ、仏教学者として禅の教えを世界に広め「霊精」という概念を提案した鈴木大拙。アメリカでの大拙の講義には、ジョン・ケージやJ・D・サリンジャーも耳を傾けた。大拙の思想の影響はヨーゼフ・ボイスやナムジュン・パイクらにも。他にも西田幾多郎、南方熊楠、柳宗悦などに始まり、洋の東西を超えて展開された表現の系譜を10名以上の活動や作品を通して紹介、可能性を探る。展示作家には谷口吉生、坂本龍一、山口祥太も。表現分野を超えて現代に広がる鈴木の思想を、改めてひも解く。

『鈴木大拙展 Life=Zen=Art』

開催期間:~10/30
会場:ワタリウム美術館
TEL:03-3402-3001
開館時間:11時~19時
休完備:月曜日 ※9/19、10/10は開館。展示替えあり
料金:一般¥1,500
www.watarium.co.jp

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※この記事はPen 2022年9月号より再編集した記事です。