布、白木、革のハーモニー!ホテル「Zentis Osaka」は旬のニュートラルな色彩に満ちて<客室・朝食編>

  • 写真・文:高橋一史

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前回の、
『布、白木、革のハーモニー!ホテル「Zentis Osaka」は旬のニュートラルな色彩に満ちて<全体編>』
で概要をお伝えしたホテル、ゼンティス大阪(Zentis Osaka)の体験レポ。
後編となる今回の<客室・朝食編>では、宿泊の印象を中心にお届けします。

おさらいすると、ホテル全体の内装を手掛けたのはイギリス在住の女性インテリアデザイナー、タラ・バーナード。
中間色のスモーキーなニュアンスカラーを多様したジェンダーレスな色彩はモダンなファッション感覚。
優しくて知的で穏やかなムード。
使う人の動作や目線に配慮した部屋の構造設計や、狭めの空間を広く見せる演出といった工夫も満載です。

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スタンダードタイプの「Studio」に宿泊

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わたしが泊まったホテル層最上階となる13階の部屋。電気を消した昼間の様子。近代的なビルに囲まれたホテルですから眺めは気にせず、何階に泊まっても問題ないと思います。

1~2名用の25㎡の部屋「Studio」。
じっさいの面積のわりに広く感じ、床面積もたっぷりあるから旅行宿泊でも仕事でも不便さを感じることはまずなさそう。
十分に優雅!

入ってすぐにカウンターテーブルがあるのがすごく気が効いてます。
軽い荷物やスマホを置いたり、時計や帽子を外してさっと置いたり。
自宅の玄関横にとりあえず置く日常感覚。

このカウンター下には電気ケトル、加湿器、冷蔵庫も装備。
ビジネストリップの長期滞在が想定されてます。

テレビはApple TVが使えるようです(トライせず)。

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気になるバスルーム

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室内は目線を遮ったり、逆に見渡せたりの巧みな構造。ベッドはStudioでもキングサイズでゆったり。

トイレ兼洗面所が擦りガラスで覗けちゃうのは内装の不思議さのひとつ。
室内に柔らかな動きを与えるためと、洗面所に光を取り込む目的があるのでしょう。
とはいえトイレ部分には覗かせないパーツを取り付けるべきだった気がしますね。
女性なら友人同士で泊まることもあるでしょう。

もうひとつバスルームに関して、レビューで誰もが口にする賛否両論があります。
総客室数212室のうち168室を占めるStudioは、シャワーオンリーということ。
バスタブがないのです。

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電動式で降ろすロールカーテンでガラス貼りのシャワールームを隠せます。

限られた部屋空間を広くするか犠牲にするかで、広くすることを選んだホテル側の決断。
まったくの承知のうえです。
シャワー習慣で生きてる海外客なら何も問題なさそう。
問われるのは日本人客。
ふだん家でバスタブを使わない(とくに夏)わたしでさえ、足が疲れる旅先ではバスタブに湯をため体を沈め、ぼっ〜とリラックスするのが夜の愉しみになってますから。
「風呂が気持ちいい」はホテル選びの重要なファクター。

長期滞在ビジネスパーソンも週イチくらいは風呂に浸かりたいと思っちゃいそうですし、ゼンティス大阪のStudioを宿泊候補にする方はシャワーオンリーでOKかどうかよくお考えのほどを。

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1ランク上の「Corner Studio」はバスタブを装備。2室のスイートも同様。

角部屋で32㎡の「Corner Studio」にすればバスタブをゲットできます。
悩みどころですねえ。

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テクスチャーが素敵!

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ベッドが載せられたオリジナルデザインのカーペット。色も織柄も、素足で踏んだ感触も心地よく。

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吊り下げた全身鏡のフレームはレザー。優しい色がモダン。
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日本の信楽焼(しがらきやき)によるベッドサイドテーブルも。

前回も申し上げましたが、テクスチャー、とくに布が本当に心地いいのです。
目にも触感にも。
銅板のように鈍い色のメタルとベージュのレザーとの組み合わせや、白木の空間も爽やか。
ホテル運営側の目線に立ってみると、2年前の施工のときは汚れないように傷つかないように(アラが目立つマテリアルだから)気を遣ったでしょうし、
開業してからも清掃やリペアに追われているはず。
それをやろうとするゼンティス大阪のようなホテルこそ、「泊まりたくなるホテル」。
コロナ禍で客の戻りがまだまだこれからの旅の場において。

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オーバースペック!?の電源周り

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部屋のちょっとした一角が洗練されてます。オリジナルデザインの宝庫。ティッシュカバーまでレザーで、床にあるダストボックスカバーもレザー。

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現代人にマストのUSB給電。一般的なType-B(2.0)式で、新しいType-C(3.0)の人は変換アダプタを用意しましょう(100均で買える)。
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ベッドサイドでもUSB給電可能。わたしは夜に帰るなり、速攻で各機器の充電をはじめました。

素晴らしい!
なにがって、部屋のなかにある電源コンセントとUSB給電の数ですよ。
なんとコンセントが11個、USB給電が5個!
(わたしが発見したものだけで)
大勢でゲーム大会開くのかってほどの充実した電源周り。

こういうのってホントに大切。
ひとつの充電終わりを待って次に差し替えるのってストレス溜まりますから。
そのままにして寝て、朝に慌てることもない。

わたしの充電状況だと一晩で、
2台持ちスマホ、iPad、モバイルバッテリー(USB計4個)
2台分のカメラバッテリー(コンセント計2個)
ってところでした。
他にドライヤー、電気ケトル、加湿器、パソコン電源などを使ったとしてもぜんぜんお釣りがきます。

何度も言います。
素晴らしい。
こんな家に住みたい。
USB給電の速度がもう少し早ければパーフェクト。

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夜の就寝前の様子。ベッド上の絵は日本人作家による手書き。

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廊下に出てみると

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部屋の表札もレザーで、なにげにラグジュアリー。照明が落とされた夜の風景。

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昼間は明るい廊下(実際は写真より暗かったかも)。

廊下の床のカーペットの模様、すごく洒落てません!?
ベージュで満たされた色彩に動きを与える北欧的な図案。
このホテルを訪れて、とくに新鮮だったのがこの廊下。
クリーンで爽やか。
ゼンティス大阪はよく「清潔」と評価されるようですが、こういうところも客の印象を高めているのでしょう。

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ホテル体験のハイライト、名店監修の朝食

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リビングふうの大きな棚の向こう側はオープンキッチン。

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中央の個室でフロアがセパレートされた構造。入り口近くのラウンジ・バー(写真奥側)の日中は宿泊客以外の人たち(主に女性)で賑わいます。

オールデイダイニングでいただく朝食。
7時〜10時までの営業。

わたしはホテル内食事に関して考え方がドライで、
「外で食べればいーじゃん」
な人間なんですが、朝食を楽しみになさっている方に向けた記事づくりのため試食でいただくことにしました。

結果。
う、うますぎる……。
どうしよう、味が高級すぎる……。

そりゃあ単体注文で¥3,388(税込)の食事となればおいしくないと困るって話もありますが。
それにしてもこのコンパクトなホテルで朝からこの贅沢さとは想定外でした。

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目の前に一気にどん!と出てくる、盛り盛りの小皿。和朝食「アップステアーズ 和食」です。ほかに西洋系、カレー、スープと計4種類のメニューから選べます。

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素材は新鮮で旨味にあふれ、料理に一切手抜きなし。ディナーだとしても大満足。朝7時前からこれつくってる料理人さんの苦労やいかに。

「味より栄養」がわたしの日常生活。
でも栄養バランスもよく思えます、この朝食は。
炭水化物が少ないのも嬉しい。

料理を監修しているのは東京・中目黒のミシュランガイド1ツ星店「クラフタル」のシェフ大土橋真也さん。
料理の道に暗いもので話はここで打ち止めしますけど、ゼンティス大阪に泊まるなら朝食付きにするのが幸せへの近道です。

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食後に「ドリンクいかがです?」でオーダーしたラテアートつきカプチーノ。時間が経つと浮き出る気泡が皆無。できあがりをすぐ持ってきてくれた証です。朝から優雅な気分でしたねー。


チェックアウト時間は遅めの12時。
朝食後に部屋に荷物を置いたまま、徒歩10分ほどの「大阪中之島美術館」に行けちゃいましたよ。

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10時オープンの大阪中之島美術館。今年2月に開館して話題の大規模美術館です。モディリアーニ展は7月18日で終了しました。

「開館記念特別展 モディリアーニ ─愛と創作に捧げた35年─」を観て、ホテルに戻ってチェックアウト。
(土砂降りの雨のなかを靴ぐっしょりで往復したから、部屋で足拭けてよかった)
チェックアウト後に再びホテルに戻れるなら荷物を預けて一日過ごす手もあるのでしょうが、この日は京都に行きそのまま東京に帰ったためそれはできず。
チェックアウトが12時なのは何かと便利なのです。

タクシーで約15分ほどで新大阪駅に、徒歩約12分で大阪駅に着くゼンティス大阪。
大阪に不慣れなわたしには利便性を判断する能力がありませんが、決して悪くないでしょう。
<全体編>と今回の記事を合わせてご覧いただき、ピン!と来たら選んでソンなしだと思います!

All Photos©KAZUSHI

KAZUSHI instagram
www.instagram.com/kazushikazu/?hl=ja

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高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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