コモンウェルスゲームズは、イングランド、スコットランド、オーストラリア、カナダ、インド、ジャマイカなどのイギリス連邦に属する52の国や地域からアスリートが集まり、4年ごとに開かれる総合競技大会。今年はその開催年で、7月28日から8月8日までイギリスのバーミンガムで行われる。
映えある開会式でイングランド選手団チーム・イングランドが着用する公式ユニフォームを手がけたのは、サヴィル・ロウの老舗であるノートン&サンズのダイレクター、パトリック・グラントが率いるコミュニティ クロージングだ。
コミュニティ クロージングは英国産の素材を使い、確かな技術を持つ職人たちの手によって、トレンドに左右されることなく長く愛用できる日常着作りを目指す。そしてそのポリシーは今回のユニフォームにも色濃く反映されている。

例えば鮮やかな赤が印象的なジャケット。北イングランドのヨークシャー地方にあるトッドモーデンという町で染色したコットンを使い、ランカシャー地方のブラックバーンにあるコミュニティクロージングの工場で縫製している。
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ジャケットとともに国内のアーティストやクラフトメーカーたちによって作成された9種のワッペンも支給され、選手たちはそれらを自由に取り付けてカスタマイズができる。

ワッペンにはイングランドを示す赤い薔薇の花から、BLMやLGBTQ+のシンボルまで、さまざまなデザインが施されている。photo:Team England
チーム・イングランドとしての連携の象徴ともいえるユニフォームのジャケットでありながら、それぞれが自分らしさを加味できるというわけだ。またワッペンはベルクロ仕様で簡単に取り外せるため、大会終了後はシンプルなアウターとしてスポーツ以外のシーンでも着用可能となっている。
そのほかもマンチェスターで織られたコットン生地、レスターで生産されたジャージ素材、ブラックプールでプリントしたTシャツなど、すべてのアイテムは会場となるバーミンガムから160キロ以内の場所で生産されたもの。近年稀にみるサステイナブルなユニフォームなのも自慢だ。
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Tシャツには人々とのつながりが成功へ導いてくれたことと、イングランドの代表として出場する誇りを謳った詩がプリントされている。photo:Team England
「選手たちが求めていたのは努力、技、多様性、コミュニティ、プライドといった彼らのストーリーを物語ってくれるユニフォームでした。それはチームワークによってこのユニフォームを作り上げた生産者の私たちのストーリーでもあるのです」とパトリック。
イングランドの選手たちがこのユニフォームを着て誇らしげに行進する姿を、今から楽しみに待ちたい。