カエル「140万匹」を裏庭で大繁殖のTikTok人気投稿者、「今はちょっと後悔している」【動画】

  • 文:青葉やまと

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TikToker Thinfrog has caused controversy online after claiming to have raised an ‘army’ of 1.4 million frogs (Picture: Metro UK/Thinfrog/TikTok)

度を超えたカエルの大繁殖が、TikTokの人気コンテンツとなっている。190万フォロワーをもつ人気TikTok投稿者のThinfrog氏は、自宅裏庭を埋め尽くすほどの大量のカエル動画で視聴者の支持を集めている。氏の主張によると、その数は140万匹にも達する。

カエルが苦手だという人々を除けば、数匹だけならむしろ愛らしいと感じる人も多いだろう。しかし、100万匹を越える「ペット」の繁殖は、さすがにやり過ぎだったようだ。いまでは誰も庭に入れず、近隣住民のなかには引っ越しを余儀なくされる人も出はじめた。

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死にゆくカエルの卵を救いたくて

Thinfrogがカエル軍団を育てるようになったきっかけは、死にゆく未来のカエルたちを救いたいという思いだった。氏は当時、干上がりつつある地元の池を目にしており、そこにカエルの大量の卵があることに気づく。このままでは孵化したあと、多くのおたまじゃくしたちが死んでしまう。

なんとかして救いたいと考えた氏は、氏によると140万個ほどあったカエルの卵を、手当たり次第にバケツに入れた。自宅裏庭にある水遊び用の小さなプールに避難させたが、これが悲劇のはじまりとなった。カエルの卵の孵化率は7割以上あり、一説によると9割を越えるともいわれる。140万匹とはいわずとも、卵の大部分が孵化しておたまじゃくしとなり、成長した今では大量のカエルとなって裏庭を埋め尽くした。

氏は、史上最大のカエル軍団を作ったと満足げだ。しかし、誰も庭に招けなくなってしまったことから、「今はちょっと後悔している」とも本音を漏らす。当然ながらカエルたちに敷地境界線の概念はなく、生息地は近所にも広がっている。すでに削除された動画のなかで氏は、家の周囲をカエルに侵略された近隣の人が引っ越しを余儀なくされた、とも打ち明けていた。

一連の騒動を報じる英メトロ紙は、「裏庭をかわいいカエルでいっぱいにすることは、理屈のうえではいい考えにも思える。だが現実は、想像以上に有害だ」と述べている。

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人気の絶えないカエル軍団動画

迷惑顔の隣人たちをよそに、同様の動画はTikTokの人気ジャンルとなっている。メトロ紙によると、カエル軍団(#frogarmy)のタグがついた動画は合計で4億回以上再生されており、なかには単体で200万回近く再生される人気動画もあるという。純粋にカエルの飼育を好む以外にも、高い再生回数をねらえるという動機が働き、各地でカエル軍団が生まれていっているようだ。

こうした傾向に、専門家は懸念を示す。ある海洋生物学者はLADバイブル誌に対し、ゆくゆくは人間に影響を及ぼす可能性があると語った。本来ならば生存できなかったはずの大量のカエルが昆虫を食い尽くすことで、昆虫が担っていた植物の受粉プロセスが正常に行われなくなり、作物の収穫が減少するおそれがあるという。

イギリスの生態学者であるナオミ・デイヴィス氏はメトロ紙に対し、TokTokで流行のカエル軍団は「生態学の見地からして極めて無責任」な行いであるとコメントしている。周囲の環境は大量のカエルの生育を支えきれず、いずれは大半が餓死するおそれがあるとデイヴィス氏は警告している。さらに、大量のカエルによって水資源が汚染される危険性もあるという。過密な群れでは、病気がまん延する危険も高まりそうだ。

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法的な取り締まりは難しい

困ったことに、法的な対応は難しい。ハーバード法科大学院卒業の夫婦によるYouTubeチャンネル『The Law Says What?!』は、少なくともアメリカの法律をもとに考えた場合、カエルが侵略種などでない限り、法的な取り締まりは難しいと解説している。環境に有害な物質の放出を禁じる法律などはあるが、カエルの大量飼育を禁じる法律はない。

なお、動画ではたしかに大量のカエルを確認できるものの、氏が主張する140万匹という数については疑う声もあるようだ。あるユーザーは、イギリスで撮影された氏自身のカエル軍団に混じり、アメリカの別のユーザーが飼育している軍団の映像を編集で混ぜているのではないかと指摘している。

いずれにせよ、度を超えた大量の飼育は視聴者の注目を集める一方、非難も呼び寄せている。死にゆくカエルの卵を放っておけなかったというThinfrog氏の心情は理解できるが、どのような生物であれ、人為的な大量の生育には環境リスクが伴う。次の繁殖シーズンを迎えれば、数が指数関数的に膨れあがるおそれもあるだろう。TikTokでの再生数稼ぎとの動機も加わり増えるカエル軍団だが、#frogarmyのタグが下火になったあとも、無数のカエルたちは近隣の頭痛の種として残りそうだ。

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【動画】Thinfrog氏の自宅裏庭を埋め尽くすほどの大量のカエル動画

@thinfrog

little frogs will be coming out of water any day now🐸 I think my karen neighbour will move out😈kidding

♬ Notion - The Rare Occasions

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