インテリアに注目したい、世界の“デザインが美しい”コワーキングスペース5選

  • 文:宮田華子

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国によって状況は異なるものの、「Withコロナ」を打ち出した国々では出勤再開に向けた体制が整いつつある。

小規模な会社や個人事業主、また在宅勤務をしている会社員がオフィスやデスクスペースをレンタルする共有型オフィス「コワーキングスペース」は、この2年間休業していたり、または「一部施設のみ利用可」等の限定営業を余儀なくされた。しかしコロナ禍を利用して工事を行い、With & ポストコロナに適したレイアウトやインテリアに改築したスペースも多いようだ。

そこで魅力的な建築デザインの世界のコワーキングスペースを紹介する。単に「素敵なインテリア!」というだけでなく、大胆な実験的試みも盛り込んだスペースも多い点が興味深い。

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「Cabinette」(バレンシア、スペイン)

水色を貴重にしたインテリアが涼し気な印象を与える、スペイン・バレンシアにあるコワーキングスペース。共有スペースでは同系色の薄いパープルやシルバー等を指し色に使い、「ひんやり感」を崩さない色使いが美しい。

パイプ製の椅子やデスクのシンプルさに、カーテンのドレープがほどよく柔らかさをプラスしている。

朝このオフィスに入っただけで、クリアにマインドセットできそうだ。

会議室は打って変わってダークな色でまとめている。重めの話もしっかりできそうな雰囲気。

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「Urban HQ」(ベルファスト、イギリス)

グリーンが壁一面に生い茂るロビー。

1つのコワーキングスペースの中に、雰囲気の異なる空間がたくさん存在するのが特徴。機能的で明るい「いわゆるオフィス」的なスペース(↓)もあるが、

まったく異なる「しっとり系」の空間も提供している。

くすんだピンクやベルベッド素材の家具が、落ち着ける雰囲気を演出。

一人で仕事に集中したいときに打ってつけのスペース。

「Urban HQ(アーバン・ヘッドクォーター)」という名にふさわしく、まるで都会にあるホテルのようなコワーキングスペースだ。

まるでホテルのバーのよう。上から降り注ぐグリーンが目に優しい。

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「Coworking Boitsfort」(ブリュッセル、ベルギー)

ブリュッセルにある9階建てモダニズム建築のビルの7フロア(7000㎡)を改築したコワーキングスペース。ふくらみのある外観と、曲線のある窓を活かし、どこかレトロな雰囲気を盛り込んだ内装が印象的だ。

外観のイメージを裏切らず、洗練された内観が魅力。

「オフィス」というよりも、「広いリビングルーム」的な心地よさを感じさせるのは、茶色の窓枠、そして家具とのコンビネーションの妙だろう。本来なら冷たく感じられるコンクリートがまるで大理石のように映え、温もりのある空間に変容している。

赤いビリヤードボード、そして花や緑が差し色になっている。

大きな窓を独り占め。贅沢なデスクスペース。

バーカウンターのついたロビー。話して、食べて、飲んで、そして仕事をする。活気のあるスペースだ。

古い建築物を現代的仕様にアレンジした良例といえるコワーキングスペースだ。

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「Infinite Area」(トレビーゾ、イタリア)

モンテベルーナの工業団地の中心に位置するInfinite Areaは、廃墟となった倉庫を改修・再設計したコワーキングスペース。イノベーションと新規ビジネスのための「グローカル(glocal)オフィス」として作られた。

Wallpaperの記事によると1階部分は床から天井までガラス張りとなっており、明るい光が差し込む。

赤や黄色などの原色を大胆かつ効果的に配置し、「イタリアモダン」を感じるデザインが目を引く。

まるで人工芝のような緑色のカーペット。本来なら難しい色だが、家具や壁の色とのコントラストに加え、壁にチラリと見えるケーブルとペアリングといい、絶妙な配色技。

広さとインダストリアル感が存分に楽しめる点もポイントだ。

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「Shop Workspace New Orleans」(ニューオリンズ、アメリカ)

ニューオリンズのダウンタウンにある、コンテンポラリー・アート・センターの3・4階部分に作られたコワーキング・スペース。かつて倉庫街だった同地の歴史を反映し、組んだ材木を活かした内観はスケール感を満喫できる。

古き良き時代を感じさせる外観。
さまざまな椅子を配置しているのもインテリアのアクセントに。

3700㎡のスペースには69のオフィス、7つの会議室に加え、ルーフトップや共有スペース等、ソーシャライズする場所もたっぷりもうけられている。

大きな窓、そしてレンガの壁のオフィスは心地よい雰囲気。

大きな掘りごたつ?を連想させる共有スペース。何気ない会話からビジネスが始まりそうだ。

吹き抜けならではの圧倒的な開放感を味わえるだけでなく、段差や区切りも多いことから「自分だけのコーナー」が捜せるのも嬉しい。

世界中が時代にあった働き方を模索している模索する現在。コワーキングスペースには「働きやすい環境のヒント」がきっと隠れているはずだ。