アナろぐフィールドワーク#5
思いたって日本大通りのレコード市。そのまま喫茶店をはしごする。

  • 写真・文:MOODMAN
  • 編集:穂上 愛
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MOODMANと申します。今回は、日本大通りでこじんまりとおこなわれていたレコード市にうかがった休日のことを書かせていただきます。

11:00AM 赤レンガパーク

2022年に入って、趣味の釣りを再開しました。コンパクト・ロッドを忍ばせながら、赤レンガ付近の水辺を散策していたところ、SNSを経由して、近場でレコード市が行われているとの情報が入りました。急遽、釣りの予定を変更して、レコード探索に向かうことにしました。

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ちなみに、赤レンガ周辺は投げ釣り禁止ということで、トリックさびきをしている方が多いようでした。観光客であふれるなか、人知れず存在を消しながら水辺で独自の時間を過ごすアングラーたち。次回は、私も混ざろうと思います。

12:00 PM 日本大通り 〜 レコ掘り大会

SNSで流れてきたのは、横浜のシルクセンターで開催中の「レコ掘り大会」というレコードフェアです。BAY SONIC YOKOHAMA、ファーイースト・レコード等が参加しているとのこと。
赤レンガ周辺から歩いて5分で、横浜シルクセンターに到着。地下一階「英一番街」の催事スペースに向かいます。昭和な空気が溜まっている、大好きな建物です。

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会期の終盤だからかお客さんはまばら。なごやかな雰囲気が漂っています。興味深かったのは客層です。20代と思しき女性が、50代と思しき男性と同じぐらいの数、来場されています。途中、外国人の大家族が来場してボニーMの日本盤に大喜びしていたのも微笑ましかったです。レコード箱からそれぞれの思いでレコードがピックアップされていきます。

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3枚100円の格安コーナーには、DJ目線で見るとなかなか良いレコードが残っていました。結果、ダンス系の12インチシングルを18枚救出。ほかにも帯付き日本盤を中心にLPを5枚。7インチシングルを2枚、購入いたしました。また開催される時は伺いたいと思います。

1:30 PM 馬車道 〜 ディスクユニオン横浜関内

催事スペースを出ると、横浜のシルクセンターの館内にはホール&オーツの「プライベートアイズ」が緩やかに流れています。郷愁を感じながら、館内をぐるりと一周した後、馬車道通り方面に向かうことに。徒歩10分ぐらいでしょうか、ディスクユニオン横浜関内店に到着します。

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こちらの店舗は私が80年代、つまり10代の多感な時期にしばしば通っていたお店です。キャバレー・ボルテールの「ジェイムズ・ブラウン」という曲の12インチを悩んで買った日のことがなぜか脳裏に浮かんできました。84年の作品なので、30年近く前ですね…。お店のオープンは1979年とのこと。

当時はもう少し窮屈だったような…と思い返していたら、ニューウェイブや、エクスペリメンタル系のレコードが欲しくなり、特売コーナーから12インチ5枚、LP5枚、DVDを1枚を救出。やってることが40年前と変わってないかもしれません。

2:30 PM 伊勢佐木長者町通り 馬燈書房 〜 ピロピロ

あとは、ひたすら散歩です。マリナード地下街を抜けて伊勢佐木長者町通りへ。マリナード地下街といえば、今はなきアイデアグッズ店「王様のアイディア」(​​​​株式会社金鳳堂)のショーウィンドーが大好きだったのですが、跡地がどこだかわかりません。

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小学生の頃に緊張しながら一人でぶらぶらしていた通りを5分ほど歩いて、古書店「馬燈書房」に到着。センスを感じる棚から、コンパクトカメラについての本を一冊ピックアップしました。ピストル型やライター型のミニカメラが多数紹介されていて素敵です。

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お店を出ると、伊勢佐木長者町通りをさらに黄金町方面へ。せっかくの機会なので、以前から気になっていたゲームセンター「ピロピロ」に入店してみることにしました。薄暗い店内。数十台のビデオゲームがぼーっと光っています。すべてワンプレイ50円。私でもできそうなゲームを探しましたが、プロがすでに格闘中だったので、お店を一回りして退散しました。

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3:30 PM 黄金町 TAKEYA 〜 珈琲山

小一時間歩いたので、喫茶店で休憩です。まずは大岡川近くの「TAKEYA」に。静かな店舗に、差し込む自然光。小さいスピーカーから、スタックスの名曲、Otis Redding & Carla Thomas「Tramp」が流れています。ナポリタンとホットコーヒーを注文。スモーキーなナポリタンを堪能します。こんなお店が近所にあったら…。

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黄金町まで来たので、もう一軒。友人から激推しされていた「珈琲山」は、黄金町駅徒歩1分のロケーションにあります。

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店舗に入ると、昭和なインテリアの中、鳴り響くクラフトワーク。そう、クラフトワークしかかからない素晴らしい喫茶店です。窓際には、クラフトワークの来日時にいただいたというサイン入りのポスターが。オーダーしたクリームソーダと「ミュージック・ノンストップ」との相性がバッチリでした。これまた近所にあったら、絶対に通うお店です。

4:30 PM J’s STORE

突発的なフィールドワークでしたがずいぶん歩きました。ここで折り返して、日本大通り方面に歩いて戻ります。途中、アルコールを摂取したくなったので、タイ料理「J’ s STORE」に立ち寄り、チャンビールとパッチーサラダを注文。クオリティが高い。

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7:30 PM 赤レンガパーク

さて、帰宅の時間です。最後に、今日の本来の目的地だった赤レンガパークに戻り、夜釣りの状況をチェックしました。

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釣り人の様子を伺いつつ、ポイントを確認。予定とずいぶん違った1日でしたが、大満足です。あとは、帰ってレコードを聞くだけ。夜の波止場を後にします。ではでは。

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関内で出会ったレコード5選

■VA「BETTER AN OLD DEMON THAN A NEW GOD」

アメリカの詩人でありパフォーマンスアーティストであるジョン・ジョルノが首謀者となり、かつてご自身がオーガナイズしていた、電話で著名人による詩の朗読が聴けるサービス「ダイアル・ア・ポエム」をレコード化した作品です。1950年代のビートニクを代表する作家ウィリアム・S・バロウズを囲み、ポエトリーリーディングを筆頭に、アヴァンギャルド、エクスペリメンタルの個性が結集したコンピです。サイキックTVとメレディス・モンクがツボ。

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■Z’EV「Schönste Muziek」

1979年にカリフォルニアからニューヨークに移り住み、インダストリアル・ノイズ・パーカッショニストとして活動してきたZ’EVさん。本作は86年にリリースされた、おそらく7枚目のアルバム。その活動についてはドキュメンタリー「HEAT BEAT EAR DRUM」等に詳しいですが、スキンヘッドかつ上半身裸なイメージに反し、随所にアフリカ、アフロ・カリビアン、アジアなど非西洋音楽の要素が聞こえてくるところが好みです。残念ながら20 17年に66歳で没。

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■The Hafler Trio / Luciano Dari -「Ben, Ruach, Ab, Shaloshethem, Yechad Thaubodo / Idrogeni Superiori」

1987年にイタリアの<Musica Maxima Magnetica>から発表された限定1428枚のスプリットです。お目当ては、A面に収録されているザ・ハフラートリオ。アンドリュー・マッケンジーさんが、クリス・ワトソンさん、Dr. エドワード・モーレンベークさんとともに取り組んだ音響心理実験です。内容的には86年「Brain Song」の再録。94年「ALL THAT RISES MUST CONVERGE」にも収録されてますが、安かったし、ルチアーノ・ダリさんも堪能できたので、良しとします。

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■Colonel Abrams 「Trapped」


ガラージクラシックの王道「MUSIC IS THE ANSWER」に続き、コーネル・エイブラハムさんが1985年に発表したソロ3枚目にして最大のヒット・シングルです。B面収録のティミー・レジスフォードさんのミックスが素敵。ちなみにコーネルさんは、デビュー以前のプリンス御大が在籍していたバンド94 Eastのフロントマンでした。ちょっと変わった音好きの方は、ボーズ・オブ・カナダの変名ヘル・インターフェイスのリミックス(96年)もおすすめです。

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■Eveyn Thomas「Cold Shoulder」

1985年の作品。イヴリン・トーマスさんといえば「High Energy」というヒット曲もあるようにジャンルとしてはHi-NRG(ハイエナジー)のイメージが強いシンガーかと思いますが、こちらの作品では当時トレンドでもあったワシントンDCのGo-Goの要素がをわかりやすく混ぜ込んでいます。80年代初頭からじわじわ浸透したGo-Goですが、映画「Good to Go」(86年)あたりからワールドワイドな認知を得て、この作品のような進化系が世界中に頻出します。

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アナろぐフィールドワーク

MOODMAN

DJ・クリエーティブディレクター

1970年、東京都生まれ。80年代末からDJとして活躍。90年代半ばより広告業にも従事する。記念すべき第一回目のDJをつとめたライブストリーミングスタジオDOMMUNEにて、レギュラー番組「おはようムードミューン」を不定期実験配信中。町工場の音楽レーベル「INDUSTRIAL JP」は6年目に突入し、ASMRに特化した新プロジェクトも始動。Penオリジナルドラマ「光石研の東京古着日和」では音楽監督を務める。レコード、ポストカード、ボードゲームなど、アナろぐものをひたすら集め、愛でている。


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1970年、東京都生まれ。80年代末からDJとして活躍。90年代半ばより広告業にも従事する。記念すべき第一回目のDJをつとめたライブストリーミングスタジオDOMMUNEにて、レギュラー番組「おはようムードミューン」を不定期実験配信中。町工場の音楽レーベル「INDUSTRIAL JP」は6年目に突入し、ASMRに特化した新プロジェクトも始動。Penオリジナルドラマ「光石研の東京古着日和」では音楽監督を務める。レコード、ポストカード、ボードゲームなど、アナろぐものをひたすら集め、愛でている。


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