アナろぐフィールドワーク#2
横浜線に乗ってレコードを探しに。自販機バーガーにも挑む。

  • 写真・文:MOODMAN
  • 編集:穂上 愛

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MOODMANと申します。今回は、相模原〜町田周辺を、アナログレコードを求めてぶらりとフィールドワークした休日の記録です。緊急事態宣言下でのひとり歩きということもあり、わりとストイックな動きをしています。

10:30 AM 横浜線矢部駅

日曜日の朝。横浜線に揺られ、矢部駅に到着しました。ホームに沿ったブロック塀に「U.S. ARMY AREA」の看板。隣接している「米陸軍相模総合補給廠」用の臨時ホームから発展した駅のようです。こじんまりしています。
南口の駅前に商店はほとんどなく、いきなり穏やかな住宅街に突入します。今回はモーニングを我慢して、お目当てのレコードショップに直行することにします。なぜなら「新装開店50%オフセール」があるからです。

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11:00 AM 7インチ早川

最初の目的地は、その独特な店名とともに以前から気になっていた「7インチ早川」というレコード店です。本日より新装開店で、同じ区画内のちょっと奥まった家屋に引っ越しとのこと。駅から歩いて7分程度で、風情ある平屋が並ぶ一区画に到着します。開店セールということもあって、すでに7-8名の強者が並んでいます。

オープンと同時に1人ずつ手指消毒をして店内に。お店の名前の通り、7インチレコードを中心とした品揃えで、値段も良心的です。いわゆる名盤もいくつか見かけましたが、あえてそのゾーンには手を出さず。チャレンジングなレコードばかりをピックアップしてしまうのは、私の悪い癖。

結果、7インチ20枚とカセットテープ2本を購入。半額セールだし、あれはこの機会に買うべきだったか…。いや、寝坊したアナログ好きの方々のためにも、腹八分目で止めておくのが紳士的…。縁側でタバコを一服させていただいて、次の目的地に向かいます。

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12:00 PM イモンチ

朝からフルスロットルで飛ばしてしまったため、おなかが空いてきました。7インチ早川さんの並びにある、焼き芋専門の有名店「イモンチ」に駆け込みます。ランチタイムも始まったばかりというのに、ショーケースの中のお芋は残りわずか。シーズンオフのため良い芋の入荷が少なく、わりと早い時間に売り切れてしまうとのことでした。

本日のおすすめにしたがって、糖度60度の驚異的な甘さ「紅はるか」と、紅はるかのルーツである春こがねと紅まさりを掛け合わせて誕生したという「シルクスイート」の2本を購入。振り返ると、この2本が、本日のキー・アイテムでした。

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1:00 PM 中古タイヤ市場 自動販売機コーナー

焼き芋2本を懐に忍ばせ、つまみぐいしながら、住宅街をひたすら歩くこと50分。中古タイヤ市場の「自動販売機コーナー」に辿り着きました。こちらは、昭和40~50年代(コンビニが普及する少し前)に活躍したレトロ自販機がずらりと並ぶ人気スポットでして、うどん、そば、お茶漬け、ハンバーガーなど、懐かしの「自販機飯」が楽しめます。

しかし。まずはハンバーガーでも…と敷地に入ると、まさかの大混雑…。駐車待ちの車で長い渋滞までできています。どうやら1週間ほど前に、心ないお客さんによって、ハンバーガー自販機が一台壊されるという事件が勃発。SNSで話題沸騰。その真っ只中であったようです。カメラとマイクを持って声を張るYoutuberが何組も来ています。

ボンカレーや、ブリックパックなど、年期の入った自動販売機を眺めながら会場を2周しましたが、稼働しているベンダーの前はどこも長蛇の列…。来るタイミングを完全に間違えたようです。チンしたハンバーガーで静かにランチする夢はあきらめ、一番近いバス停へ。しかも小雨が降ってきました。

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2:00 PM 相模大野ステーションスクエア

バスから眺める景色が街へと変わり、相模大野駅に到着。駅ビルで行われている「中古レコードフェア」が本日最終日とのことで、6Fの踊り場に直行します。こちらはフェアというよりも、池袋のだるまやさんの出張コーナーという佇まい。郊外在住のアナログ好き中年をターゲットにしたと思しき、オーソドックスな品揃えでしたが、毛色の違う和ものコミックソングが一枚だけ紛れていたので救出します。

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3:00 PM 町田

ランチをミスったことが尾を引いており、なんだか消化不良気味だったため、小田急小田原線に乗って約10分。町田に到着です。まずは路地をぶらり。本来ならここで一杯と行きたいところですが、緊急事態宣言の影響で、いい感じのあの店もこの店もまったく営業していない。いたしかたないか…。ポケットに残っていた残りの焼き芋をほおばります。

4:00 PM レコードハウス PAM

こうなったら今日は、ストイックにレコード店巡りをしてしまおう。ということで、老舗のレコード屋さん「レコードハウスPAM」へ。アナログ好きな方には「超音波洗浄」でもお馴染みのお店です。午前中に和ものを買い込んだせいか、和もののパンク/ニューウェーブを中心にチェック。7インチ1枚、12インチ1枚、アルバム1枚を購入しました。

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5:00 PM DARE RECORDS

お次は、PAMから鶴川街道をまっすぐ5分。2021年5月にオープンしたばかりの「DARE RECORDS」へ。WEB情報からジャズのレコードが多いお店かなと勝手に想像していましたが、コンパクトな店内ながら幅広い品揃え。ここでもまたパンク/ニューウェーブを中心に12インチ4枚、アルバム2枚を購入。

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6:00 PM 町田 disk union

日も暮れてきたので、そろそろ家路につきましょう。町田駅方面に戻りつつ、定番「ディスクユニオン」にも立ち寄りました。なんと言いますか、やはり王道感がありますね。中古レコードの相場は概ね上がっていますが、その一方で、ネット上のアーカイブ化から漏れている良盤が値崩れを起こしているケースも多い。こちらではそうしたお得感のある7インチ1枚、12インチ1枚、アルバム3枚を購入。やはりなぜだか、パンク/ニューウェーブを多めに抱えていました。今日はそういう日だったようです。お腹が空いていたからでしょうか。ではでは。

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相模原と町田で出会ったレコード5選

■「相模原市子供会の歌」

今回もご当地ものを一枚。相模原市で育った方には懐かしい一枚かもしれません。市のホームページによると、相模原市の公式ソングには他に「相模原市民の歌」「相模原音頭」「伝えよう輝く未来へ」の3曲があり「相模原市の歌集」というCDとして250円で販売しているとのことです。

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■天地総子「小さなアクセサリー」

「コマソンの女王」とも称される天地総子さんのシングルです。A面の作詞作曲が浜口庫之助さん。歌詞とメロディのからみが良いです。コマソンに関しては、2007年に『天地総子大全〜フーコのコマソン・パラダイス』としてまとめられていますね。残念ながら2019年に亡くなられていることを知りました。

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■「われら怪獣部隊<正少年の巻>」

音楽とドラマで構成された一枚。怪獣部隊に入隊した少年が改造手術され、ゴジラと協力して悪い怪獣と戦う。そんな、サイケデリックな作品です。ゴジラが人間の言葉を喋る設定なのが面白い。ゴジラ・サウンドトラック・パーフェクトコレクションの、『怪獣の王ゴジラ』でも聴けます。

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■SWANKYS「Foolish! / I'm Gamble」

1988年にリリースされた、博多のパンクバンドSWANKYSの4枚目のシングルです。こちらのシングルの2曲と、ソノシート「Rock'n'Roll History FUCK OFF!」に収録されていた4曲は、1989年にコンピレーション「TOKYO」としてリリースされています。

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■Edwyn Collins「Coffee Table Song」

鳥ジャケが好きなので購入しました。1989年、オレンジ・ジュースのリーダー、エドウィン・コリンズが発表した12インチです。ソロアルバム「ホープ・アンド・デスペアー」からの2枚目のシングルカット曲。ベーシストは、UKダブ界のパイオニアの一人、泣く子も黙るデニス・ボーヴェルです。

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アナろぐフィールドワーク

MOODMAN

DJ・クリエーティブディレクター

1970年、東京都生まれ。80年代末からDJとして活躍。90年代半ばより広告業にも従事する。記念すべき第一回目のDJをつとめたライブストリーミングスタジオDOMMUNEにて、レギュラー番組「おはようムードミューン」を不定期実験配信中。町工場の音楽レーベル「INDUSTRIAL JP」は6年目に突入し、ASMRに特化した新プロジェクトも始動。Penオリジナルドラマ「光石研の東京古着日和」では音楽監督を務める。レコード、ポストカード、ボードゲームなど、アナろぐものをひたすら集め、愛でている。


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1970年、東京都生まれ。80年代末からDJとして活躍。90年代半ばより広告業にも従事する。記念すべき第一回目のDJをつとめたライブストリーミングスタジオDOMMUNEにて、レギュラー番組「おはようムードミューン」を不定期実験配信中。町工場の音楽レーベル「INDUSTRIAL JP」は6年目に突入し、ASMRに特化した新プロジェクトも始動。Penオリジナルドラマ「光石研の東京古着日和」では音楽監督を務める。レコード、ポストカード、ボードゲームなど、アナろぐものをひたすら集め、愛でている。


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