映画『スパークス・ブラザーズ』のあらすじと見どころ。エドガー・ライト監督が謎に包まれた兄弟バンドの真実に迫る

  • 文:上村真徹

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音楽界の“異端児”と呼ばれてカルト的な支持を集める兄弟バンド「スパークス」の真実に、エドガー・ライト監督が迫るドキュメンタリー映画『スパークス・ブラザーズ』のあらすじと見どころを紹介する。

【あらすじ】半世紀に渡って唯一無二のバンドであり続けたスパークスとは?

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2018年にバルセロナで行われたライブで大観衆との記念撮影に応じるスパークス。© 2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED

『ラストナイト・イン・ソーホー』『ベイビー・ドライバー』の鬼才エドガー・ライト監督が、自身初となるドキュメンタリー映画に挑戦。兄ロンと弟ラッセルのメイル兄弟からなる唯一無二のアート・ポップ・デュオで、近年はレオス・カラックス監督最新作『アネット』で原案・音楽を務めたことでも話題を集めた「スパークス」の真実に迫る『スパークス・ブラザーズ』が、4月8日から劇場公開される。

1970年代のデビュー以来、冒険心に満ちた創作意欲で25枚のアルバム・345の楽曲を発表し、約50年に渡って唯一無二の存在感を放ち続けるミステリアスなバンド「スパークス」。映画では、2人の幼少期の生い立ちに始まり、「Kimono My House」や「No.1 in Heaven」で一斉を風靡した70年代、80年代後半〜90年代前半の低迷期を経て、再びシーンの最前線に躍り出て今なお進化を続ける現在までを時代ごとに追っていく。

さらに、スパークスが世に与えた影響や功績を、ベック、フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、アレックス・カプラノス(フランツ・フェルディナンド)、トッド・ラングレン、デュラン・デュラン、ニュー・オーダー、ビョーク、ジョルジオ・モロダー、マイク・マイヤーズという、そうそうたるアーティストたちが語る。

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【キャスト&スタッフ】スパークスの魅力を知ってほしい!エドガー・ライト監督の思い入れが映像に熱を生む

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エドガー・ライト監督はスパークスに2年間密着し、ワールドツアーにも同行。© 2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED

本作の誕生は、スパークスの長年の大ファンであるエドガー・ライト監督が、Twitterアカウントを通じて連絡を取り合うようになり、仕事抜きで友情を育んでいったことがすべての始まり。あふれんばかりの実験精神から音楽界の“異端児”と呼ばれ、先進的な音楽で時代と共に革命を起こし続けてきたにもかかわらず、スパークスの世間における知名度はそれほど高くない。そこでライト監督は「スパークスが成功するために必要なのはただ1つ、彼らのこれまでを追ったドキュメンタリーだ」という思いに駆られ、ドキュメンタリー映画の製作を直談判。ライト監督をすっかり信頼していた兄弟は「以前からドキュメンタリー製作の話はあったけれど、ふさわしい人々とは思えなくて断り続けてきた。でも、君ならふさわしい」と了承した。

製作にあたってライト監督がこだわったのは、スパークスとはどんなバンドなのかを知らしめること。「ザ・ビートルズのドキュメンタリーなら、ほとんどの人が知っているからキャリアの説明も数分で済むし曲を紹介しなくてもいい。でもスパークスについては、しっかり説明する必要がある。スパークスを好きになるには彼らの音楽を聴かなければならない」と、可能な限り多くのスパークスの曲を、また彼らに影響を与えた音楽を取り上げている。

またライト監督は楽曲を取り上げるだけでなく、スパークスに2年間密着して12時間に及ぶインタビューを敢行。さらに、総勢80名の関係者、アーティスト、ファンらの証言をまとめ上げ、膨大なフッテージとアニメーションも駆使。スパークス・クロニクルの決定版というべきドキュメンタリー映画を完成させた。

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【見どころ】ドキュメンタリー映画でもエドガー・ライト節は全開

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撮り下ろしの取材映像だけでなく過去のライブ映像や資料映像も織り交ぜ、スパークスの50年間のキャリアを1本の映画に集約している。© 2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED

本作はドキュメンタリー映画ではあるものの、取材映像や過去の記録映像をただ淡々とつなぎ合わせたものではない。「スパークスはとても映画的な感性をもっていて映画への興味も深いから、アニメーションや、ポンポンあちこちに飛ぶ映像がぴったりだと思ったんだ」とライト監督が語るように、アップテンポな編集にアニメーションやタイポグラフィを用いる“エドガー・ライト節”を全開。こうした型にはまらない演出が、スパークスの多方面にわたるキャリアを映像的に表現し、謎に包まれた兄弟バンドの実像を等身大かつカラフルに魅せている。

そしてもう1つの注目ポイントは、約80名もの人々が語る“スパークス愛”だ。著名なアーティストだけでなく、友人やファンなど様々な立場の人々の証言を集めることで、スパークスがいかに多大なインスピレーションを与えてきたか、そして多くの人々にとって重要な存在で影響力を持っていたかが伝わってくる。スパークス愛に満ちた彼らの声を聞いているだけで、スパークスについて詳しくなり、彼らのことを好きになるだろう。

鬼才エドガー・ライト監督が惚れ込んだバンドとは? スパークスは半世紀以上も自分たちの音楽=生き方を貫き、どのような境地へたどり着いたのか? 多彩な音楽性で様々な時代を駆け抜けてきた彼らの活動と実像に迫る本作は、この50年間のポップカルチャーの歴史を知る上でも必見だ。

『スパークス・ブラザーズ』

監督/エドガー・ライト
出演/スパークス(ロン・メイル、ラッセル・メイル)、ベックほか 2021年 イギリス・アメリカ映画
2時間21分 4月8日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開

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