最近、縮小している部活動。そんな社会課題を解決するために僕ができること

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    39 為末 大|経営者

    各界で活躍する方々に、それぞれのオンとオフ、よい時間の過ごし方などについて聞く連載「MY Relax Time」。第39回は、陸上競技で世界的活躍を果たし2012年に引退。現在は執筆活動や会社経営を通じてスポーツやアスリートの新しい可能性を広げていく一方、その独自の目線で発信するメッセージから「走る哲学者」とも称される為末 大さんです。

    写真:殿村誠士 構成:舩越由実

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    為末 大(ためすえ・だい)●1978年、広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2022年3月現在)。3度のオリンピックに出場後、2012年に引退。現在は執筆活動、会社経営を行う。『走る哲学』(扶桑社)、『諦める力』(プレジデント社)など著書多数。

    アスリートを引退して10年経ちますが、その時には考えてもいなかった仕事をしています。特に最近は“まだなにも決まっていないタイミング”から相談される仕事が増えています。たとえば、いま進めているのは公園や幼稚園に置く遊具の開発です。遊具はケガの危険性により撤去されるというニュースもありますが、今回の開発は「そもそも遊具はなんのために必要なのか」と立ち返って考えるところから始めています。こういった根本的なところから相談を受けることが多いんです。

    また、2年ほど前からはYouTubeで『為末大学』というチャンネルをつくって発信を始めました。これは、部活動が縮小しているという社会課題が背景にあります。教師の過剰労働が問題視され、子どもたちが自主練をする時間が増えていると言われていますが、中高生にとってはスポーツを教えてくれる存在は重要です。その代わりとして、少しは役に立つかなと思いYouTubeで練習の参考になるような動画を僕が発信しています。課題が多く混沌とした状況を解決するために、どうかたちにしていくかを考えることが多いですね。

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    休日は子どもとの時間です。海の近くに住んでいますが、海に行ったり山に行ったりして遊んでいます。7歳の子どもなんですが、一緒にお茶してお喋りする時間も楽しいんですよ。子どもは21時に寝るので、そこから24時までは自分の読書の時間ですね。仕事で出会った専門家の著書を読んで、またそこに引用されている参考文献を読んでいくとそれだけでかなりの数になります。最近だと、認知心理学や地政学の本をよく読んでいます。その後は睡眠。やっていた競技の影響なのか、オンオフの切り替えが早いんだと思います。『ドラえもん』ののび太くんより寝付くのが早いかもしれません(笑)。

    リラックスタイムと言えば、コーヒーも好きですね。食事は毎日、6時と18時の2食ですが、その間に2~3杯飲みます。自分でミルを挽いて淹れますよ。昔は苦めのコーヒーが好きだったんですけど、最近は酸味の感じられるフルーティな風味を楽しむようになりました。家の近くに点在するおいしいコーヒーショップの影響もあるかと思います。

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    お酒も好きで、引退後は飲む機会も増えました。引退したばかりの頃は、葉巻にハマっていたこともあるんですよ。葉巻はウイスキーやブランデーとも合いますね。コーヒーも同じですが、独特の香りが好きなんです。これもリラックスタイムなのかな。

    僕はたばこは吸わないけれど、喫煙については社会の成熟という視点から分煙制度に注目しています。誰にでもそれぞれ“個人の自由”があります。社会はそんな“個人の自由”を担保すべきで、議論しながら両者の落としどころを探っていくことが理想だと思っています。喫煙所の設置など環境を整えて分煙を促すことで共存を実現できれば、もっと社会の成熟に近づいていくのではないでしょうか。

    問い合わせ先/JT
    www.jti.co.jp