海老名サービスエリアに出現した期間限定EV専用ラウンジで、未来のライフスタイルを知る

  • 写真:小野広幸
  • 文:サトータケシ
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海老名に期間限定でオープンした「GREEN LOUNGE」。インテリアには再生可能なダンボールも使用されていた。

東名高速の海老名SA下りに日産自動車が期間限定でオープンさせた「GREEN LOUNGE」。ここは日産車オーナーに限らず、EV(電気自動車)に乗っている人ならだれでも利用することができるものだった。SNSでも話題になり休日はもちろん平日も大いに賑わったという、このラウンジを体験した。

すべてのEVオーナーに提供された特別なサービス

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EVオーナーと、その同乗者が利用できる「GREEN LOUNGE」。内外装ともに、サステイナビリティを意識し、環境に配慮した設計となっている。2022年3月16日までの期間限定で開催された。

東名高速下りの海老名SAは、伊豆・箱根方面へドライブに行く最初の休憩スポットとしておなじみの場所だ。サービスエリアの敷地の一角、EV用の急速充電器が3基並ぶエリアに、期間限定で見慣れない建物が出現した。日産自動車が期間限定でオープンした「GREEN LOUNGE」だ。

ブラウンでコーディネイトされたインテリアはシックな雰囲気で、広い面積のガラスを通じて初春の陽光が降り注ぐ。EVのオーナーは充電を待つ間、ここでゆったりと過ごすことができるのだ。

受付カウンターで、「りんごとセロリの酸味香る和牛ミニバーガー」と「お茶とショウガベースのクラフトジンジャエール」をオーダーする。オーダー、といってもいずれも無料で、ミシュランガイドの1つ星レストラン「sio」のオーナーシェフ、鳥羽周作氏が監修したものだという。

驚いたのは、日産車オーナーだけでなく、EVオーナーすべてにこのサービスが提供されるということだ。

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仲間を増やすため、日産はこのラウンジをつくった

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インテリアは、再生紙などサステイナビリティを意識した素材で構成されている。「GREEN LOUNGE」のほか、東名高速のSA、PAのショップでEVオーナーが優遇サービスを受けられる「GREEN COUPON」も実施した。

このラウンジを日産のEVオーナーだけでなく、すべてのEVオーナーに幅広く開放するのはなぜだろうか? 日産自動車の担当者は、こう答えた。

「2010年に日産リーフが世界初の量産EVとしてデビューした時には、当然ですが市場には日産リーフしか存在しませんでした。でも、現在はさまざまなEVの選択肢が増えています。EVのマーケットを広げて仲間を増やすことは、EVのパイオニアでありマーケットリーダーである日産の使命です。そのために日産車に限らず全メーカーのEVオーナーが利用できるラウンジを開設し、EVに乗ることの価値を高め、多くの人に知ってもらう機会をつくろうと思ったのです」

ではもうひとつ、単にスペースを用意するだけでなく、1つ星シェフ監修のミニバーガーを無料提供するという贅沢なサービスには、どのような狙いがあるのだろう?

「EVには、先進的で社会に貢献できる乗り物だというイメージがあります。一方で本当は乗り心地もよくて走りも楽しめるクルマなのに、どこか我慢して乗るクルマとイメージされてしまう方がいらっしゃることも事実です。なのでどうすれば、EVに乗っている人がより誇りをもってカーライフを楽しんで頂けるか、そしてまだEVにお乗りではない人は、どうしたら次にEVを検討していただけるのかを考えました。参考にしたのは航空会社のラウンジや百貨店のサロンです」

確かに、明るくて清潔、豊富な飲食物が用意される空港のラウンジにいると、乗り継ぎの時間が無駄だとは感じない。EV普及のカギのひとつは、充電時間の短縮にあると言われるけれど、充電時間の充実というアプローチもあるのかもしれない。

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椅子に座ると、スマートフォン用のワイヤレスチャージャーがオンになり、非接続での充電が始まる。つまり、人間がやすらぐほどスマホが充電される椅子なのだ。

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メニューは、サステイナビリティを考えさせられる素材を用いている。たとえば牛肉や卵は酪農における温室効果ガスの排出、野菜や穀物は気候変動による収穫の減少や発育不良などと関連付けられる。

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新しい自動車のことを考えると、未来の社会が見えてくる

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日産リーフは、専用機器を介することで、100Vで給電することが可能。室内に設けられたスマートフォン充電装置はリーフからの給電で賄われていた。

そうこうするうちに、「りんごとセロリの酸味香る和牛ミニバーガー」と「お茶とショウガベースのクラフトジンジャエール」が運ばれてくる。そして、トレイに敷かれたペーパーに描かれたイラストと文言を見て、ハッとする。たとえばこんな感じだ。

「牛肉/卵 畜産業で排出される温室効果ガスの影響で、世界的に消費量が制限される可能性があります」

トマトも、小麦も、このまま温暖化が進むと、いままで通りに口にすることができなくなるかもしれない。欧州自動車工業会の統計では、2021年にEU26カ国で販売された新車のうち、EVが占める割合は9.1%だったという。いまや、ヨーロッパでは新車の約10台に1台がEVなのだ。ちなみに、日本の新車販売においてEVが占める割合は約0.9%(日本自動車販売協会連合会)。

化石燃料を使った発電の割合が多い日本では、EVが増えてもそれに比例して二酸化炭素排出量が減るわけではない、という意見もある。けれども、世界の潮流が化石燃料を燃やさない方向にシフトしていることは明白だ。「GREEN LOUNGE」はEVを所有する喜びを感じさせてくれるのと同時に、クルマ社会、エネルギーの未来を考えさせてくれる場でもあった。

それほど遠くない将来に、日産はリーフに加え、SUVの「アリア」や軽EVという”切り札”を投入する。日本でも、EVがクルマ選びの有力な選択肢になるだろうし、「GREEN LOUNGE」のような取り組みは大きな推進力になるはずだ。

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すでに注文の受付も始まっており、539万円からという価格も発表された日産アリア。66kwhバッテリーを積む「B6」は、1充電あたりの走行距離は470km(国土交通省審査値)を誇る。

GREEN PASSサイト
https://ev2.nissan.co.jp/EV/GREENPASS/?sclnkid=QR_SYA_7G_TU_TUOT_PC_00553689

日産 ARIYA サイト
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/ariya.html?sclnkid=QR_SYA_7G_TU_TUOT_PC_00553690