シチズンは2016年に光発電40周年の集大成モデルとして、「エコ・ドライブ ワン」を発表した。厚さがわずか１㎜の世界最薄光発電ムーブメントを搭載。時・分の２針でケース厚を３㎜以下に抑えた極薄スタイルが高く評価されてバリエーションを年々拡充してきたが、このコレクションでは初となる秒針付きモデルが新登場した。しかも、６時位置にサブダイヤルを備えたスモールセコンド。すべてを削ぎ落としてスリム＆シャープに仕上げられた「エコ・ドライブ ワン」が、スモールセコンドの採用によってエレガントでクラシカルな雰囲気に変貌したといえそうだ。

現代の時計は秒針が時分針と同軸のセンターセコンドが一般的だが、これは20世紀半ばから始まったスタイルであり、それまでは独立した小秒針、スモールセコンドが普通だった。懐中時計の頃からの長い伝統があり、機械式時計のシンボルとも言えるだろう。一方の「エコ・ドライブ ワン」は、光発電クオーツという最先端技術を厚さ１㎜の限られたスペースに収めるために、構造や加工方法を根本から改革。低消費電力化によって、フル充電後は７カ月にもわたって動き続ける。この究極のハイテクウォッチに伝統的なスモールセコンドを組み合わせたのは、少なくとも針３本分の厚みが必要となるセンターセコンドに比べて薄くできるという構造的な理由も考えられるが、ケースなどの仕様は明らかにヴィンテージテイストを志向している。

---fadeinPager---

高級感と視認性を両立させた３種類のダイヤルをラインアップ

昔の時計は直径35㎜前後が常識的だったが、この新作もケース径を36.6㎜にサイズダウン。現代のメンズモデルとしては小ぶりだが、スーツの袖口にスムースに収まるだけでなく、ケースサイドにソフトな丸みをもたせているので、控えめながらも上質な存在感がある。裏蓋をカーブさせることで装着性も向上。ワニ革のストラップが紳士らしい品格と洗練された印象を与える。

ダイヤルはダークブルー、ブラック、ホワイトの３種類をラインアップ。ブルーとブラックは放射状に光を反射するサンレイパターンになっているが、ホワイトは「エコ・ドライブ ワン」では初となる土佐和紙を採用。これまでになかった質感の美しい白色が魅力だ。細身のバーインデックスは立体感のあるアプライドで、視認性と高級感を両立している。

---fadeinPager---

卓越した時計技能者が、ハイテクムーブメントに生命を吹き込む

このようにスタイルはクラシカルでも、光発電なので定期的な電池交換は不要。SSケースにはシチズン独自の表面硬化処理技術であるデュラテクト加工を施しており、傷がつきにくい。多彩なシチュエーションが想定されるデイリーユースに最適な利便性が、このモデルの本来的な真骨頂といえるだろう。

ちなみに、クオーツ時計は大量生産と考えられがちだが、「エコ・ドライブ ワン」のコレクションは卓越した時計技能者によって精密に組み上げられる。厚さ１㎜の極薄ハイテクムーブメントに生命を吹き込むのは、人間の手技に他ならない。それを知れば、この新作を腕にする価値と誇りがさらに増すのではないだろうか。

---fadeinPager---