ヴァシュロン・コンスタンタンは1755年にスイス・ジュネーブで創業。創業から一度も途絶えずに現存する最古の時計ブランドとして、4つの世紀にわたって歴史を紡いできた屈指の名門であり、高度な技術とクラフトマンシップを継承・発展させてきた。こうした伝統を言葉で説明するのは容易ではないが、どのモデルもヴァシュロン・コンスタンタン特有の雰囲気を纏っている。新作の「トラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイス」も、アバンギャルドなオープンワークにもかかわらず、高貴で優美な風格を感じさせるのである。

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伝統的な器に現代感覚をアレンジ
カレンダーモデルでは小窓表示が一般的な月と曜日を、サファイアクリスタルの透明ディスクにプリント。これが回転して1週間、1か月の経過を示す。6時位置の高精度ムーンフェイズも、下部を半透明にしたサファイアクリスタルがマスクとなって月相の変化を表現する。ダイヤル上部には中央に向かうギョーシェ彫りの縦模様。その上のフランジ(周縁)に指針表示の日付(ポインターデイト)が白抜きになっている。
こうした斬新なスタイルの一方で、ベースモデルの「トラディショナル」はブランドの草創期である18世紀からの伝統を受け継ぐクラシカルなコレクション。ケースバックに細かく刻まれたコインエッジが象徴的であり、レイルウェイのミニッツトラック(分目盛り)にドーフィン針、バトン型インデックスも「トラディショナル」の基本的なスタイルだ。いわば伝統という器に前衛的な現代感覚を盛り付けたとも表現できるが、このモデルの真骨頂はムーブメントのカラーリングではないだろうか。

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余裕と遊び心をもち、謙虚さも失わない紳士に
地板とブリッジを腐食耐性に優れたNACガルバニック処理によってスレートグレーに仕上げており、前述したダイヤル上部やフランジもこれに合わせて同色になっている。落ち着きのあるスレートグレーをベースに、ダイヤル中央の奥に見える金色の歯車が鮮やかなコントラストを描く。宙に浮いたようなゴールド製のバトン型インデックスが立体感を強調しており、2面のファセットで光を逃さず反射するドーフィン針と合わせて、視認性も極めて高い。
機械式時計の構造を露出するオープンワークは、ともすれば煩雑な印象を与えかねないが、この新作はスレートグレーを基調として、3枚のサファイアクリスタルを巧みにアレンジすることで、高級時計にふさわしいステイタスを堅持している。余裕と遊び心があっても、謙虚さを失うことのない紳士のためのモデルといえるかもしれない。直径41㎜の美麗なラウンドケースのリューズトップにはマルタ十字の刻印がある。1880年頃にロゴマークとして商標登録しており、こちらも150年近い歴史があるという。

問い合わせ先/ヴァシュロン・コンスタンタン TEL:0120-63-1755